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【突撃!巷の隠れヒット品番】レプリカのヘルメットバッグ(渋谷「ZABOU TOKYO」)

スマホの画面を眺めているだけでは知りえない、お店で地味にひっそりと、でも確実に売れている商品を調査するこの企画。
名付けて、「突撃!巷の隠れヒット品番」。
ただ悲しいかな。これを機に露わになるわけで、若干の矛盾を感じなくもない…。とまぁ細かいことは気にせず、お店に話を聞いてきました!
今回、忖度なしで教えてくれたのは、渋谷「ZABOU TOKYO」のスタッフ、大井さん。“紳士をつくる”をコンセプトに国内・海外問わずオーセンティックなアイテムをセレクトするお店の隠れてヒット品番とは?

大井勇人さん
“紳士をつくる”をコンセプトに国内・海外問わずオーセンティックなアイテムをセレクトする『ZABOU TOKYO』の若頭。いつも素敵な笑顔と関西弁で迎えてくれる同店のフロントマン。
ー企画名に「突撃!」とあるのに、事前に今日ご紹介していただく隠れヒット品番についてしっかりご相談させていただきました。
はい(笑)。その節はありがとうございました。
ーその際は、〈スタンレイ〉のペインターパンツ、〈ジーエイチバス〉のローファー、〈ディスイズ〉の靴紐、レプリカのヘルメットバッグを候補として挙げられていましたね。どれも気になるわけですが、やっぱりヘルメットバッグが気になりまして(笑)。
はい、ヘルメットバッグですね。
ーバッグはバッグでも、なぜヘルメットバッグ? それが気になりますね。
ビッグマック的な売れ方をするヘルメットバッグ

ーさて、主役のヘルメットバッグ。ズバリ、隠れヒット品番たらしめる理由はなんでしょう?
うーん、これと言ってないですね(笑)。
ーな・い?
さすがにそれは言い過ぎかもしれません(笑)。でもまぁ、なんてことはないんです。僕らが軍モノを仕入れる時に使わせてもらってる京都のディーラーさんがいて、そこの会社がレプリカとして作っているんです。これはアメリカ軍のヘルメットバッグをモチーフにしているんですけど、いわゆるノーブランドで。
ー「あれこれ本物に近づけました」みたいなバッグとは、方向性が違う?
はい。あくまでファッションのバッグとして作られています。今だったら、例えばポケットをたくさん付けたりとか、コーデュラ、バリスティックあたりのナイロン生地を使ったりとか、それぞれのディテールをアップデートさせる方向で作ると思うんですけど、そうではない。値段も税込で5,280円と、気軽に買えてしまいます。
ーなんてことはないデザイン、質、お値段が売れているポイントなのかもしれませんね。

ー実際はどれくらいのペースで売れているんですか?
2ヶ月に1回、定期的に20個単位で仕入れているので、3日に1個売れている計算ですね。気づいたら「あら?もう無くなってるやん。ほな追加せな」という感じで。
ー気づいたら、ですか。
はい。いつ売れたかの感触がないぐらい馴染んでいる、という言い方のほうが正しいのかもしれません。なにか大きなきっかけがあって一時的に火がついて売れるタイプのものじゃない。ずーっと変わらず売れてるみたいな。
ー「あら、そういえば七味がなかったわ」的な。
そうです(笑)。七味に流行り廃りがないように、この手のオーセンティックなアイテムにも流行り廃りはありませんから。 マクドナルドのビッグマックみたいなものじゃないですかね。大々的に宣伝は打ち出さないけど、ずっと人気、みたいな。
ー月見バーガーとはまた違う。とはいえ、ヘルメットバッグです。持っていない人からすれば馴染みがなく、手に取りづらいアイテムだと思います。
逆に持っていないから新鮮なんでしょうね。いわゆるバッグの代名詞的な、〈エルエルビーン〉のボートアンドトートや〈ジャンスポーツ〉のリュック、〈トゥミ〉や〈ブリーフィング〉など、そういう定番は既に持っていらっしゃる。で、お休みの日に何を使うかとなった場合に、ちょっと違うものを使いたい。これは本格志向じゃない分、手が出しやすい。お値段的にも。
ーたしかに、税込5,280円という値段は興味を引き立てるパワーがありますね。
気軽に買えますよね。奥さんや彼女さんにもたぶん怒られない値段かと(笑)。ただ、作りとしてはもちろんすごく簡素なもので、現代的なニーズに全て応えられるわけではありません。

例えばここのアウトポケット。スナップとバジバジのテープを取ってようやく開けられるっていう。かつ、荷物が手に届くまで遠いんですよね。荷物が奥底にあるから安心感はあるけど、いかんせん取り出しにくい(笑)。

あとはこのハンドル。取っ手が短い(笑)。長いほうが肩にも掛けられるし、便利じゃないですか。ただ、体の近くでバッグを持っている様は「THE・男のバッグ」といった感じで、かっこいいんですけどね。


スタッフ全員、誰も持っていないのがミソ

ー表現として正しいかわかりませんが、その鈍臭さがなんだか、かわいいですね。
だと思います。うちで取り扱っている〈バッグナウン〉のデザイナーの思想にもあるんですけど、利便性とかじゃなくて、そのバッグを持ちたいかどうか、かっこいいかどうか、かわいいかどうか、そういうところなんでしょうね。バッグに関わらず「利便性」という言葉でアイテムの魅力が語られることが多い今、それを一度取っ払ってバッグについて考えてみる。大事なポイントだと思います。

ーちなみにオリーブとブラックの2色展開されています。人気なのはどちらでしょう?
言うても、オリーブですね。オリーブが7、ブラックは3ぐらいの割合です。やっぱりヘルメットバッグといえば、オリーブ。軍パンもオリーブですし、そこはレプリカながら“軍モノらしさ”がポイントになっているのかと。
ー逆にブラックにはどんなニーズがあるんですか?
ビジネスで利用される方が多いですね。出張用に着替えを入れたりして、いつものリュックの補佐的な役割で使っているみたいです。たしかにそれなりの容量があるので、大きめのサブバッグとして使い勝手が良いかもしれませんね。
ー大井さんはどのようなシーンで使っているんですか?
実は、持っていないんです(笑)。
ーえ?
うちのスタッフ、誰も持っていないんです(笑)。
ーそんな摩訶不思議なことがあるんですか?(笑)。
逆に、それが良いんでしょうね。僕らがめっちゃ好きで紹介してお客さんに薦めているから売れているんじゃなくて、僕らが使っていないけどなんか売れてるっていう。そこがこのヘルメットバッグの魅力でもあり、すごいところですよね。隠れヒット品番たる所以です。
渋谷「ZABOU TOKYO」の隠れヒット品番

アメリカ軍が使用していた、ヘルメットを収納するためのヘルメットバッグのレプリカ。素材には軽くて丈夫なナイロン素材を使用。外側・内側にポケットが2つずつ配されている。付属のストラップを取り付ければショルダーバッグとしても使える2WAY仕様。
ZABOU TOKYO
住所: 東京都渋谷区神南1丁目5番2号 川村ビル 2F
TEL: 03-3461-7773
営業時間: 12:00–19:00