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「優れたデザインで長持ちする服を作る」。ニューヨークのブランド〈druthers〉が導き出したサスティナビリティの最適解│編集部Yのアメリカ通信 #2

毎年の年末年始はアメリカに滞在する編集部YがInstagramで見つけた、アメリカのローカルなお店やブランドをメールインタビューで深堀り。#2はNYを拠点に活動するブランド〈druthers(ドゥルーサーズ)〉。

2013年にNYで設立した〈druthers〉は、メンズのアンダーウェアやニット帽などをメインに展開。サスティナブルなものづくりにもいち早く取り組んできたブランドです。今回CEO兼デザインディレクターのアダム・ジャノッティ氏がメールインタビューに答えてくれました。


ーまずはブランドがスタートした経緯を教えてもらえますか?

私は1996年からメンズデザイナー、商品企画者としてファッションビジネスに携わり、アウターからセーター、スニーカー、革小物までさまざまなカテゴリーのデザインをしてきました。当時から素晴らしいブランドはたくさんありましたが、主にフォーカスされるのはプレタポルテ。アンダーウェアなどのベーシックセグメントなどは後回しにされていました。

2014年にスタートさせた〈druthers〉は、その注目されていなかったカテゴリーのために立ち上げたブランドです。ソックスやボクサーパンツ、Tシャツ、ニットキャップを中心としたプロジェクトを立ち上げるのは、難しいチャレンジであると同時にすごく楽しかったですね。

ー〈druthers〉はNYでスタートした後、素材の調達先や工場などを世界中に広げています。この経緯と工場を選んでいる基準を教えていただけますか?

〈druthers〉のもう一つの使命は、日本、米国、フランス、ポルトガル、イタリアのハイクオリティーな工場にフォーカスを当てること。工場を選ぶ基準はシンプルです。優れた職人技と公正な労働条件の両方を持っていること。私は不公正な労働慣行をサポートするブランドを作りたくはありませんでした。

工場の多くは、以前から取引のあったビジネス関係者や工場の友人からの推薦です。ブランド当初に使用していたNYのガーメント・ディストリクト(マンハッタンにあるアパレル産業エリア)では、〈Engineered Garments〉、〈Steven Alan〉、〈Rag & Bone〉、〈Opening Ceremony〉など、友人のブランドたちと同じ工場を使用していました。

彼らは素晴らしい職人技を持っており、その時点までは他の工場に行く理由はなかったのですが……。ニューヨークのガーメント・ディストリクトは年々事業を縮小し、多くのスポットが閉店しています。使っていた工場もニュージャージー州とサウスブルックリンに移転してしまったんです。

ーそこからNY以外に生産拠点を拡張していったのですね。

はい、それ以降は工場を東京、大阪、埼玉、ポルトガル、フランスに移転しました。 2021年にDruthersの裁断と縫製を開始するポルトガルの工場とアメリカ中西部のセーター工場には新型コロナウイルスの旅行制限のため行けていませんが、それ以外の工場にはすべて訪問し、私たちの基準に達しているのを確認しています。

また、GOTS(グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード)、BCI(ベター・コットン・イニシアティブ)、Global Recycle Standardなどのフェアトレード認証ラベルも探していますが、一部の工場では『フェアトレード』はただの言葉に過ぎません。

例えば、さいたまのカットソースポット、東京の靴下工場、大阪と奈良の帽子工場などはフェアトレードを取得しようとしていません。これらの事業は小規模で、地元の職人たちによって運営されています。彼らは熟練した専門家であり、おそらく『フェアトレード』という言葉を気にしていません。

ー世界中の工場にフォーカスを当てるのと同時に、2013年の立ち上げからいち早くサスティナビリティにも力を入れているんですよね。

ブランド当初からクオリティファーストの基準に加え、できる限りサスティナビリティに配慮しようとしていました。アイデアは、オーガニックコットンの栽培者やリサイクル糸の施設を見つけること。ブランドが始まった7年前と比較すると、今でははるかに一般的なものになりましたが……。

東京で靴下の製造をスタートしたときは『オーガニックコットンのオプションはありますか?』と工場に聞いていたが、現在ではオプションを尋ねずとも最初から選択肢として用意されるようになった。『これはサスティナブルな糸の選択肢に向けてサプライチェーンを推進している〈Druthers〉のようなブランドやデザイナーのおかげだと思います』

ーブランドサイトにはサスティナビリティの主な要素は『製品のライフサイクルの長さ』だと記載しています。これについて詳しく教えてもらえますか?

“消費”は世界的に大きな問題です。私はすごく長持ちする服を着ることが、サスティナビリティであるための最善の方法であると確信しています。次に、リサイクルコットンとオーガニックコットン、リサイクル生分解性ナイロンとポリ、動物に優しいウールなどで製品を作ることができればプラスアルファになる。〈druthers〉ではこの両方からのアプローチに取り組んでいます。

化学薬品を使用して成長するバージンコットンよりオーガニックコットンを使うのは素晴らしいことです。しかし、その製品が長持ちしない場合はどうでしょうか? 私は『10か月後に穴が開くファストファッションブランドのオーガニックコットンの靴下より、10年着続けられるノンオーガニックコットンの靴下の方が地球にとってはずっと良い』と思います。

一生に5倍の量の靴下を生産し、消費しなければならないのなら、オーガニックで作る意味はあるのでしょうか? “過剰消費”にサスティナブルなことは何もありません。

ーこのようにサスティナビリティに関心を持ったきっかけはあるんでしょうか?

サスティナビリティはデザインプロセス自体に付随するものであるべきだと思っています。昔、パリのCDGから親友のMehdiと一緒にドライブしたときのことをはっきりと覚えています。それはパリでオーガニックフードが定着し始めた頃で、どこのマーケットやスーパーにも『BIO』と太字でウィンドウに印刷されていました。

そのときMehdiが『BIO, BIO, what’s all this with BIO all the sudden? Why was it not BIO to begin with? (「BIO、BIO、急にBIOってなんだ? そもそもなんでBIOじゃなかったんだ?)』と言い、その言葉にすごく共感しました。正直、どの食べ物も美味しくなかったし、大量にあるせいで腐っていたり、季節外れのものもあったりしたんです……。つまり、BIOであっても一方に無駄や過剰消費がある場合は正しいとは言えません。

『why is it not BIO?』

それが私がサスティナビリティ運動について感じていることです。最近のブランドは“サスティナビリティ”なだけでいいのでしょうか? オーガニックコットンのTシャツブランドが世界に必要とされていると判断しただけなのか? いや、それだけではないですよね。レストランはシェフが素晴らしい仕事をして、他にない素晴らしいレシピを作れるからオープンするんです。オーガニックフードを提供しているからといって、どこにでもある料理でレストランをオープンするのはダメ。まずは素晴らしいシェフにならなければならない。

つまり、まず必要なのはアーティストです。サスティナビリティは言うまでもなく、仕事の一つの側面でしかない。デザインが微妙なブランドだったら、それがサスティナビリティかどうかというのは誰が気にしますか? 〈druthers〉は、何よりもまずファッションブランドです。私たちはサスティナビリティに基づいて自分たちを売り込もうとはしていません。優れたデザインとコレクションを作成し、サスティナビリティの側面を全体の一部にしたいんです。

ー〈druthers〉は世界中の多くのハイエンドショップで取り扱いがあります。これらのショップと取り引きがスタートしたのは何がきっかけだったんでしょうか?

世界中のたくさんの素晴らしいショップと取り引きできていることをとても光栄に思います。ブランドがスタートした2013年、元々いたクルーたちはストリートウェアに集中してロードサイドモールやスケートショップに販売したいと考えていました。その市場に問題はありませんでしたが……私の頭の中にあったイメージとは何かが違いました。“これらの場所では買い物をしない”というシンプルな考えにいきつき、すぐに計画に変更を加えたんです。

『why don’t we make products for stores in our market, where we shop”?(自分たちが買い物するマーケットに向けて、店の商品を作ればいいんじゃない? “)』。

私たちはみんな〈Opening Ceremony〉と〈BEAMS STYLE〉で買い物をしていたし、私の過去の仕事もその市場がメインでした。過去の10年間、Kimou Meyerの下でNYのNIKE IDのレジデント・デザイン・ディレクターを務め、友人であるTeddy Santisのブランド〈Aime Leon Dore〉の立ち上げを手伝いました。他にも〈Ralph Lauren〉のデザインや、〈steven alan〉のプロジェクトなど、多くのメンズウェアブランドのフリーランスを行っていましたが、これらは全てハイエンドなリテール市場向けのものです。なので、私にとってこの方向性はすごく自然なことでした。

ー最後に2021年の新しいプロジェクトについて教えてください。

2021年にはベーシックアパレルをリニューアルします。あと、今年は約12の新しいスペシャルプロジェクトを予定していて、それがすごく楽しみです。

プロジェクトの多くは仲間であるアーティストやデザイナーと一緒に作るものです。去年は友達の〈Lite Year〉と靴下、カリフォルニアの〈General Admission〉とニット帽のコレクションを発表しました。

NYを拠点に活動する〈LITE YEAR〉とのコラボソックス。
カリフォルニアのセレクトショップ〈General Admission〉とはニット帽のコレクションを展開。

私たちが常に心がけていることの一つは、コラボレーションが不自然にならないようにすること。例えば、〈NIKE〉×〈adidas〉というコラボがあったとしても、どちらもシューズメーカーなのであまり意味がありませんよね?

アパレルブランド以外と協力して、本当にユニークなものを作るというアイデアが大好きです。今年はたくさんのたくさんのアーティストやデザイナーが私たちと一緒に仕事をしているのを目にするでしょう。


Info
Druthers
HP:https://www.druthersnyc.com/
Instagram:@druthersnyc

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