FEATURE
いま欲しいブラックデニム3本。まず注目すべきは“後染め”でした。

デニムの正解ってブルーだけじゃない
近頃また盛り上がりの気配を見せているデニムジーンズ。そう言われると、無意識にあのインディゴブルーを思い浮かべる方も多いはず。ただ、よく考えてみると、別にブルーだけがデニムの正解ではないですよね??
ということで、今回は古着の世界に精通するヴィンテージTシャツ専門ショップの「anytee」さんが最近プッシュしている“ブラックデニム”に注目!ちょっぴりマニアックな染料の話までしっかり聞いてきましたよ。もちろんプレミアムショップの商品を問合せ、取置き、即日配送できるFACYは、全品レジよりも1000円安く買えます。今どきレジに並ぶのは野暮というもの。是非、この機会にFACYをダウンロードを。
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高橋龍さん(anytee主宰)
映画、音楽などカルチャーの香りただようヴィンテージTシャツ専門店。オンラインだけでなく、不定期のポップアップストアでも独自のテーマを設けて販売を行う。老舗の中華飯店や銀座の写真館など、過去の出没スポットはさまざま。4/24(土)から“オーダーメイドクリーニング”をコンセプトに掲げる「WARDROBE TREATMENT(目黒青葉台店)」にてポップアップショップを出店予定。
ブラックデニムでも注目しているのは後染めの”サルファブラック”

―まずanyteeさんが今ブラックデニムに注目している理由を教えてください。
単純に昔から好きだったんですよね。もちろんブルーデニムも好きなのですが、色落ちしたものは土臭い印象が強く、どうしてもワーク感が強いですよね。その点、ブラックデニムはもう少しクールなイメージがあるかなと。オンオフ問わずに使えるメリットがあります。実際に僕はクライアントとの打ち合わせでも穿いていきますよ。
―確かに、最近アメカジの気分が戻ってきているとはいえ、「実はブルーデニムは苦手」という人も案外多いかもしれません。
僕は仕事柄ヴィンテージTシャツをよく着るんですけど、例えばトップスを目立たせるためにはパンツは目立たないほうがいいんですよ。ブラックデニムは例えるなら、額縁のようなパンツというか。コーディネートにおいて、前面に主張するアイテムではないんです。
―なるほど。具体的にはどんなブラックデニムに注目されていますか?
そもそもブラックデニムって、3パターンあるんです。まず、先染めっていう糸から染められてるパターンと、製品染め(※1)をしている完全なる後染めの2パターン。そして、僕が今注目しているサルファブラック(※2)という染料を使っている後染めのパターンです。
(※1)製品が仕上がってから最後に色を染める手法。別名ガーメントダイ。
(※2)黒色の硫化染料の一般名。
―ひと口にブラックデニムと言っても、染色方法が異なると。それぞれどんな違いがあるんですか?
従来の古着屋さんは「これは先染めなんで」っていう感じで、先染めを重宝する傾向があるんですけど、良くも悪くも色落ちがしづらい。平板なグレーに色落ちしていくだけな気がして、僕はあまり好きじゃないんですよね。一方サルファ染めのデニムは、めちゃくちゃかっこいい色落ちをするんですよ。後染めという点では2パターン目と同じですが、サルファは生地のみが後染めされています。

―サルファ染めはどういう経緯で生産されるようになったのでしょうか?
これまで集めたものの製造年月をチェックすると、80年代後半から2000年代前半くらいまでのようですね。アメリカでは環境汚染につながるということで現在は使用が禁止されています。生まれた理由は効率の観点からでしょうね。糸から染めるよりも、白いデニム生地を一気に染めてしまったほうが早いし、安いんですよ。で、早く染まるっていうことは当然早く色落ちするということ。素材がコットンなので、洗っていくと生地表面が波打つようにぼこぼこっと浮いてくる。そうすると、その部分がしっかり色落ちしていきます。
―現在は生産されていないんですね。ではいい色落ちを求めるならサルファ染めに着目して探せばいいのでしょうか?
いや、かっこいい色落ちをするものとべたっと染まったままのものがあるので、一概には言えません。2000年代に入ってからのインド製とかベトナム製、チャイナ製の黒いリーバイスのデニムはサルファ染めだったとしても、こういう色落ちをしないんですよ。
―生産国で色落ちの良し悪しが変わってくるということですか?
まあ、大部分での目安にはなりますね。ただ、最初は僕もサルファ染めのブラックデニムはアメリカ製じゃなきゃダメなんだろうと思っていたんですけど、別にウルグアイ製でも、メキシコ製でも色落ちのいいやつはあるんですよ。なので、今では地理的にアメリカに近い国で製造された個体にも注目しています。おじさん世代はアメリカ製を好みがちですが、若い人は「この色落ちかっこよくない?」と提案すると、ちゃんと分かってくれるので、今はアメリカ製だけにこだわるのはやめました(笑)。
やはり外せない「501」。レングスはジャストで。

――本日はおすすめのサルファブラックデニムを3本ご用意いただきましたが、まずは定番の「501」です。サイズがおもしろい一本ですね。
今であればゆったり穿いてほしいですから。縮んでいるので表記ほど大きくはないですよ。そもそも、僕が選ぶサイズのこだわりとしては、35以上のウエストでレングスは30から33まで。レングス33以上は選びません。やはり長いレングスを裾上げするとシルエットが崩れるし、裾のアタリもなくなってかっこ悪いので。これはウエストが38で、レングスが30というサイズがすごく希少ですね。基本的にウエストが大きくなると、レングスも長くなってしまう。これだけレングスがジャストなパターンは珍しいです。

これからの色落ちが楽しみな「505」

―「505」は「501」と比べてどう穿き分ければいいですか?
505は裾幅が501よりやや狭いテーパードの形なので、サイズを上げても結構キレイなシルエットになります。これはまだめちゃめちゃ濃い色なので、今後の色落ちの過程を含めて楽しんでほしいですね。バックポケットの縁とかを見ると「ああ、これはもう(いい色落ちが)始まってるな」と分かるわけです(笑)。

―すごい。この濃さでも今後の色落ちがいいことがわかるんですね(笑)。ピックする時は他にはどんな部分をチェックしているんですか?
前のポケット周りはコインポケットなどの生地が密集していて、アタリが出やすいのでチェックしますね。あとはウエストとボディのつなぎ目の部分とか。裾上げされていないオリジナルのレングスであることを気にする人も多いので、裾部分も大事です。

今後もっと価値が出る?90sトレンドとリンクする「550」

―聞き慣れない品番ですが、「550」はどんなモデルなのでしょうか?
「550」は僕も最近ちゃんと穿き始めたんだけど面白いですよ。ウエストや腿回りはゆったりしているけど、裾幅が今回の中では一番狭い。つまり、テーパードがすごく効いているんです。なので、長いレングスのものを選んで裾でくしゅくしゅっと溜めて穿いてもかっこいい。ウエストだけ気にすればいいので「550」は試着しなくても買いやすいモデルとも言えますね。

―このモデルに注目したきっかけは何かあったんですか?
去年、映画の「mid90s」を観てから、あのシルエットのデニムが穿きたいなってずっと思っていたんですよ。「550」のシルエットが結構それに近くて。今後は「501」や「505」より人気が出るモデルだと睨んでいます。90年代のアメリカ製デニムという枠の中なら、90年代リバイバルのトレンドとリンクする「550」のほうが価値があるかもしれないなと。



anyteeが4/24(土)から5/31(日)の期間限定で、一点ずつの手洗いに評判のある目黒区青葉台「WARDROBE TREATMENT」店内にポップアップ店舗をオープン。同店でクリーニング済みのヴィンテージシャツの他、本記事で登場したリーバイスのブラックデニム、オニータの無地Tなどが並びます。実際に目にすることのできる貴重な機会なので気になる方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
期間:4/24(土)〜5/31(日)10:00〜20:00(定休日はWARDROBE TRETMENTに準ずる)
場所:東京都目黒区青葉台3-8-10 aobadai chou chou1F(東急田園都市線 池尻大橋駅 徒歩10分、東急東横線 中目黒駅 徒歩15分)
anytee
instagram:@anyteeshop