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【interview】自然に、シンプルに理想を目指す 学芸大学のセレクトショップ「AROY」
服を見に行く場所としてはあまり馴染みのない学芸大学駅。東口に広がる商店街から1本入った場所に、セレクト・オリジナル・古着を揃えた「AROY(アロイ)」がある。今回は、ファッションの最前線に立ち会った後、このショップをオープンした岡さんにお話を伺った。
バイヤー・ショップスタッフを経た今
セリュックス、ラブレス、コンテンポラリーフィックスの立ち上げから、数々の有名店でバイヤー・ショップスタッフを経てきた岡さん。コレクションブランドからクリエイターブランドを横断し、国内外のショップでバイイングやウィンドウ作り、スタッフの育成も経験してきた。華やかなイメージとは裏腹に、地道な作業と過密なスケジュール。長年の疲労が蓄積し、多忙が重なったことで、14年目に体調を崩す。当時はファッションを続けるか迷いもあったというが、ラブレスの店長経験もある奥さんに支えられ、2人で今のお店をスタートした。
フルリノベーションした理想の場
仕事で訪れた際に偶然見つけたというこの物件。もともとは郵便局員の詰所だった場所を、味のあるガラスを一部残し、今の形にフルリノベーションしている。
店名・ブランド名になっている“AROY”は、高校生の頃にハマっていたバンド、THE FLIPPER’S GUITARのアルバム「CAMERA TALK」のジャケットに書かれた<anarchicromanticism of youth>が由来。店内には、開催が決定しながらもバンドが解散し、幻となった彼らのツアーポスターが置かれ、ラジカセ(SHARP GF-535)からは様々な音楽が鳴り響く。自分のペースで仕事ができ、思考もシンプルになったという今、原点に立ち返り、出会う人にとって理想の場となることを目指している。
ベーシックなドメスティック、手頃なインポート
取り扱いブランドは、以前勤めていた会社から繋がりがある「FACETASM (ファセッタズム)」などに加え、比較的ベーシックなものをセレクト。中目黒のようなファッションのお店が当たり前にある環境と違い、通りがかりでふらっと入る人も多いこの場所では、すんなりと着ることができ、気軽に試してみようと思えるアイテム選びをしているという。
また、インポートものは古着で展開。ドリス ヴァン ノッテン、メゾン マルタン マルジェラ、トム ブラウンなど、ハイブランドがミックスされたラックは、手頃な値段に設定されている。
アイテムピックアップ
<AROY(アロイ)>
Tシャツから始まったオリジナルブランド。ありそうでない、ひとひねりが加えられたアイテムは、ワードローブに彩りを与える。こちらは、フロントにハンドペイントを施したスウェットシャツ。バックにはプリントがされていない為、着ることによって表情が出る1着。中が裏毛になっており、肌触りも気持ちいい。
<DISCOVERED(ディスカバード)>
落ち着いたトーンのオンブレチェック柄ローブ。ショールカラーとポケットの使われたキルト地がより温かな印象に。
<JOHN UNDERCOVER(ジョンアンダーカバー)>
レイヤード風のキルティングジャケット。リバーシブル仕様になっており、身頃のキルティングは裏返すとカーキに。シンプルながら存在感のある一着。
多くの経験を経たからこそ、自然に、シンプルに。体感し、比較してこそ本質がわかるという岡さんの、ふらっと入れるお店作りの背景には、まず服に袖を通して感じて欲しいという思いがある。試着をしたいけど、着たら買わなくちゃいけないかな、買わないのに着るのは失礼かなとか思わず、とにかくたくさん試着して欲しい。
AROY(アロイ)
東京都目黒区鷹番2-15-22
TEL.03-6451-2388 OPEN.12:00~20:00(定休日.月曜日)
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Text.Koichi Kondo