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仲町台の洋品店Euphonicaに聞く、『EEL (イール)』の替えが利かない理由。
そのショップの顔とも言える、その店だけに置いているブランド。ひとえにブランドと言えど、取り扱うショップが違えば取り扱うアイテムも異なり、そして展開するサイズまで違うものです。着る人が違えば洋服の表情が変わってくるように、置いているお店が違えば洋服の表情が変わってきます。それもこれも取り扱うに至ったお店の店主の思いがあるからこそ。
あのショップにはなぜあのブランドが置いているのか…?その魅力とは一体何なのか…?そんなことをインタビューしてきました。今回は横浜・仲町台のセレクトショップ『Euphonica (ユーフォニカ)』の店長・井本さんに、店の顔と言えるブランドについての魅力をお伺いしていきます。ブランドは『EEL (イール)』。ベーシックだけどラフに見えて着れる、そんなイメージがあるわけですが果たしてプロはどう見ているのでしょうか…?
「替えが利くようで替えが利かないブランド」
─ 普段からブログなど楽しく読ませていただいています。編集部から見て『EEL (イール)』がEuphonicaの顏としてのイメージがあるのですが、取り扱うきっかけになったのは何だったんでしょうか?
EELはもともと個人的に好きだったんですよ。だから最初はそのまま「着ているからやらせてくれ」っていうアプローチをしました(笑)。
─ それは説得力ありますね(笑)。
今日着ているジャケットは5、6年前のものなんですけど、これが自分にものすごくフィットしたんですね。形がジャストフィットしているのもそうですし、清潔感を感じるし、なおかつ買える値段でケアが楽っていう。全て自分の要求するものに応えてくれました。洗う時はそのまま洗濯機に突っ込んできました。
─ え…(笑)。でも洋服にとって手軽さってかなり重要な要素ですよね。
そうです。そうでなければ登場回数ももちろん少なくなりますしね。そういう自分にとってのちょうど良さがありました。
─ EELのデザインはベーシックに見えるのですが、それも着続けている魅力の一つですか?
デザインは基本的にベーシックですけど、スタンダードではないんですよ。シンプルに見えてどこかデザインの手が入っています。なので似ているブランドがあるかって言われたら無い。
─ 素人には分からないところですね…。でもぱっと見でEELっぽいよねっていうのは感覚的にあります。
そこなんですよね、EELの最大の魅力は。替えが利くようで実は利かない。某ブランドYもイメージ的には似ているように思われがちですが、EELのほうが断然クセが強いんですよ。デザインもですがサイズ感もアイテムによって違っていてブランドの志向性が感じられます。
「EELは偉そうに見えない」
─ EELの目玉のアイテムは何ですか?
断然サクラコートだと思います。もうKING OF KINGSです。
─ KING OF KINGS(笑)。サクラコートというネーミングですが、サクラが咲く頃より断然早く入荷しますよね。やはり毎シーズン買い足す方もいるのですか?
色違いで買われる方がいますね。中には三色持っていますという方もいます。サクラコートが無ければうちは潰れているかもしれません(笑)。僕自身も3、4年着ていてお客さんに伝えやすいところはあると思います。ちなみにこれですね。
─ おーー!!良い色ですねぇ。
これも洗濯機にポイポイ入れて洗ってます。冬はインナーにmontaneのベストを着ていますね。ブルーが綺麗なので秋以外は依存しています(笑)。
─ やはりサクラコートも手軽に着れるというのがポイントですね。
そうですね。気楽なのに清潔感もしっかりあってちゃんと見える。僕は自分の服に関しては扱いが非常に雑な人間なので、だからなおさらEELが好きなんだと思います。
─ 井本さん以外のファンはどんな方が買っていかれるんですか?
EELは誰でも着れちゃいますね。それこそおじいさんおばあさんも買っていきます。あとは、お母さんと一緒に来た女子高生が大学に入るにあたって私服の機会が多くなるからといってコートを買ってくれましたね。偉そうじゃない人というのが共通項としてあると思います。EEL自体も偉そうに見えないんですよ。ジャケットもそうで、構築的ではあるんですけどカチッとは見えない。今お店全体を見渡しても威圧感がある服が無いと改めて思います。そのフィーリングが一番マッチしているんだと思います。
─ 確かにお店全体に流れている雰囲気がそうですね。仲町台という町もそうですし。
ここが好きで住んでいる僕がやっているお店、というんですから必然的にそうなりますね。
Euphonica
横浜・仲町台にあった服を仲町台に住む人たちに提案したいという思いから、「町の洋品店」を心がけているセレクトショップ。ベーシックながら独特の視点のセレクトが魅力的。店主・井本さんの好奇心を唆られるお話もまた一つの魅力で、気づいたら2時間が過ぎていたということが度々起こる。スタイラーのアカウントはこちらから。
横浜市都筑区仲町台1-33-19ピアッツァ仲町台ノバA
TEL.045-532-8460 OPEN.12:00-20:00(定休日.水)
Photo & Text.Yuya Iwasaki , Shunsuke Mizoguchi