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5年前って何着てた?|私的アメカジアップデート術【HUNKY DORY 塚本さん】

昨年あたりから本格的に復権の兆しが見えてきたアメカジスタイル。今回はFACYの数あるショップの中でも「アメカジのことを聞くならこのお店でしょ」ということで、大阪にある老舗アメカジショップ・HUNKY DORYのスタイルの変化に注目しました!

お題はズバリ「5年前の着こなしと今とはどこが違う?」。店主の塚本さんには、5年前のコーディネートを再現してもらうという実に面倒くさいお願いをしてみました。普遍的なアメカジスタイルを体現しているように見える塚本さんですが、実は比べてみると細かい違いも見つかりました!


塚本康博さん
大阪・南堀江にある「HUNKY DORY OSAKA」の店長(42歳)。アメリカンカジュアルを中心に買い付け品から国内ブランドまで幅広く揃える老舗セレクトショップを切り盛りする。古着やスニーカーにも精通する、FACYの頼れる兄貴的存在。


いま求められているのはアメリカのスタンダード

―今世間では改めてアメカジが注目されている流れがあると思うのですが、塚本さんはこの状況をどう見ていらっしゃいますか?

そもそもですが、純粋なアメカジというよりは、スタンダードなアイテムを求める意識が強くなっているのかなという印象があります。

―アメカジ云々というより、もう少し広い意味合いがあるということでしょうか?

それこそ古い歴史から言ってしまうと、第二次世界大戦で敗戦した時からアメリカの文化がどんどん入ってきて、今の日本の社会はアメリカ抜きでは語れないくらい影響があるわけじゃないですか。その流れの中でファッションにおけるスタンダードを見直すとなると、自然とアメリカものに目が行くということなんだと思います。

―確かにアメカジと言ってしまうより、“スタンダード”と表現するほうが腑に落ちる感じがします。

で、今まさに見直されているのが90年代頃のスタンダードなのかなと。90年代って、アメリカのブランドが自国で生産をしていた最後の時期でもありますし。当時のものってそれより古い年代のものに比べて現在でも手に入れやすく、またそこまで大げさなヴィンテージ感がないのも今の時代に合っているのかなって思います。


ジェイクルー全盛だった5年前

―なるほど。では5年前の2015年というと、具体的にどんなコーディネートをされていましたか?

当時はまだうちの店が堀江ではなく、アメ村にあった頃ですね。店には今よりもっと王道なアメカジアイテムが多かった。〈ラルフ ローレン〉とか〈ジェイクルー〉のようなアメリカで買付けてくる商品がうちの主力ブランドだったし、自分でもよく着ていました。

5年前はお店が堀江ではなく、アメ村にあったんですね。

アメ村と堀江の違いっていうのは結構大きいですね。アメ村は昔から古着屋さんも多くて、それこそアメリカ村って言うくらいなんで、ザ・アメカジっていうイメージの街なんですよ。うちでは特にアメリカ買い付けブランドの人気が高く、ラルフを見つつ、ジェイクルーも買っていくようなお客さんが多かったですね。

―確かに今回の5年前の着こなしもジェイクルーっぽい雰囲気です。

\5年前はこう着てた!/

アウター(ヴィンテージのファティーグジャケット)、パーカー(ベルバシーン)、シャツ(ジェイクルー)、パンツ(リーバイスヴィンテージクロージング)、シューズ(ジェイクルー別注のニューバランス)、キャップ(ハンキードリー別注のクーパーズタウン)


―今振り返ると、ジェイクルーというブランドの魅力はどこにあったのでしょうか?

2008年にジェイクルーで長年勤務していたジェナ・ライオンズがクリエイティブディレクターに就任したんですが、商品の価格よりも自分達が愛せるものだけを作る路線にシフトしていったんです。価格は手頃だったけど、ファストファッションほどチープじゃないし、ルックのイメージなども含めたセンスがすごくよかったですね。あとは、その当時にメンズヘッドデザイナーだったフランク・マイジェン(元ラルフ ローレンのデザイナー)がオランダ出身だったこともあって、アメカジなんだけどヨーロッパの洗練された空気感も持ち合わせていた。要はなんか小奇麗だったんです。ラルフにはない個性がありました。

―ラルフとは似ているようでいて、少し立ち位置が違うブランドだったのでしょうか?

ラルフってコーディネートにワンアイテム取り入れると、良くも悪くもオーラが強い。なので、他のアイテムの邪魔をしてしまうことがあるんです。その点、ジェイクルーのアイテムは極端な主張がないので、スタイリングに取り入れやすかったですね。

インナーはジェイクルーの看板アイテムとも言えるシャンブレーシャツ。5年前は襟付きのシャツをベースにして重ね着するスタイルが基本だった。レイヤードをアピールしやすいダブルジップもその頃よく見かけたディテールだ。

―パンツやシューズなどのチョイスは当時どうされていましたか?

実はパンツは昔から細いのも太いのもどちらもよく穿くんです。ただ、穿き方のアレンジで言えば、裾をロールアップして足首を見せるスタイルはよくやっていました。これも元を辿れば、ジェイクルーのルック(カタログ)のイメージですね。

―袖や裾をまくる着こなしは僕もよくやった記憶があります(笑)

これも、先ほどのクリエイティブディレクターのジェナ・ライオンズが広めたスタイルなんですよね。彼女はファッションセンスがずば抜けていただけでなく、180cmくらい身長があって背が高いから、パンツの丈が合わないことも多いらしくって。それでアンクル丈が彼女の代名詞みたいになって、社員も皆それを真似する。もう「裾をロールアップしていたらその人はジェイクルーの社員だ」って言われるくらい同ブランドのユニフォーム的な着こなしだったようです(笑)。

裾をロールアップして足首を見せる着こなし。素足風に見せるノーショーソックスがよく活躍したのもこの時期だ。ジェイクルー別注のニューバランスは日本にも並行輸入され、人気があった。塚本さんが着用している「1400」は同モデル初代の別注カラーであるパイングリーン。

(上)当時ジェイクルーのデザイナーだったフランク・マイジェンは日本国内のみの販売だった「1400」に注目。本国に持ち帰り、数多くの別注カラーがリリースされた。(左下)日本製の生地を採用したシャンブレーシャツは同ブランドの代名詞的なアイテム。(右下)〈リーバイスヴィンテージクロージング〉に別注した1947年モデルの501XX。※すべて塚本さんの私物





レイヤードはシンプルに。ソックス選びも変化

―5年前と現在で特に変わったポイントはありますか?

先ほども言ったように、パンツは基本いろいろ穿くのであまり変わっていませんが、強いて言うならワークパンツが増えたことかな。ミリタリーのファティーグジャケットは5年前からずっと着ているので、あえて共通にしてみました。変化と言われると、トップスの重ね着の枚数やサイズ感は結構変わりましたね。

\今年はこう着てる!/

アウター(ヴィンテージのファティーグジャケット)、ニット(マニュアルアルファベット)、パンツ(レッドキャップ)、シューズ(ヴァンズ)、ソックス(ニシグチクツシタ)、ベルト(モニタリー)

―アウターこそ共通ですが、現在は上半身のほうが変わったんですね。

5年前は襟付きのシャツが基本ベースにあったんで、とにかくシャツの上にスウェットやパーカー、ニットを重ねることが多かった。気分としてはタイドアップしてベストも着るようなイメージでした。今はそれを全くしなくなりましたね。襟付きのシャツとクルーネックの合わせってクラシカルではあるんですけど、おじさんっぽくも見えてしまうので。今は首元に襟をのぞかせるよりも、クルーネック単体でラフに着るほうが逆に大人の色気みたいなものが出るのかなって。

中に着たのは〈マニュアルアルファベット〉のコットンニット(¥15,180)。“大人が楽しめるシャツ作り”をコンセプトに、シャツを基本とした国産メーカー発のブランド。国内有数のニット産地として知られる大阪・泉州のニット工場で生産されている。

―確かにレイヤードがシンプルになった感じがします。サイズ感についてはいかがですか?

トップスはひと昔前というか、20代の頃によく着ていたような、ゆったりしたサイズ感に戻りつつあります。これはやはり90年代の空気感がトレンドになったことが大きいですね。あとは僕が5年分の年を取ったということもあって、単純にタイトな服はしんどいなって(笑)。


―パンツは昔から太いのも細いのも穿かれるとのことですが、着こなしの部分で変わった点はありますか?

レングスのニュアンスはちょっと変わったと思います。ロールアップするというよりも、最近はなるべくジャストサイズか気持ち短めくらいの丈でよく穿きますね。5年前は2ロールや3ロールくらいロールアップするのが当たり前でしたけど。

〈レッドキャップ〉の2タック入りのワークパンツ(¥8,690)。塚本さんの私物はあえてダブルの仕様で裾上げ。ワークブランドだが、トラウザーのような上品なニュアンスがあるので、少しきれい目に穿きたい人にもおすすめだ。

―色で言えば、黒を選ばれているのは少し意外でした。

確かにアメカジ好きな身としては、これまで黒のパンツって穿いてこなかったんですけど、去年一昨年あたりに少しトレンドのカラーになった時に買ってみようかなと。自分の中ではちょっとした挑戦でしたけど、全体を引き締める効果もあってわりと調子いいですね。全身の色が落ち着いてくる分、ソックスなどの小物は少し派手なものを選ぶようになりました。

―なるほど。全体の色使いやレイヤードがシンプルになった分、ソックス選びに注意が行くようになったんですね。

ですね。もしかしたら一番変わったのはソックスかもしれない。素足履き風に見せるノーショーソックスはほとんど履かなくなりました。10年前だと3足組などのチープなものをよく履いていましたが、最近は国産のソックスが中心です。ソックスの世界にはどっぷりハマっているかもしれない。些細なところですが、これは結構大きいですね。

日本国内の靴下の産地として有名な奈良県で靴下作りを行う老舗ファクトリーブランド〈ニシグチクツシタ〉の一足。ヘンプ混の素材感と柔らかい発色のイエローが目を引く。着用カラーは2020年のシーズンカラーのため完売。他モデルは販売中。

―最近の定番になっている白のソックスは履かないんですか?

いや、ちょっと前まで白ソックスも履いていましたよ。ただ、最近久しぶりに履こうと思って合わせてみたら、スポーツをしに行くようなイメージに見えてしまって(笑)。特に最近は〈クラークス〉を履くことが多くて、白ソックスだと色移りしたりして嫌なんですよね。なので、全然履かなくなってしまいましたね。

―個人的にも、ソックスのチョイスって昔より重要になってきてるように感じます。

そうかもしれないですね。もちろん未だに白は定番ではあると思いますけど、やっぱり少しありきたりというか。白であることの必要性は少なくなってきたかなという感じはします。当分は色味や編み方にこだわって、いろいろと探したいですね。

―塚本さんは今でも5年前のようなコーディネートをすることってあるんですか?

ほとんどないですね。アイテム単体を着用する機会はあっても、同じような組み合わせをすることは基本的にありません。アイテムは当時のものでも、それを今の時代の中で着こなすというのがファッションの楽しさなんだと思いますけどね。



HUNKY DORY OSAKA
住所:〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江1丁目20-20 アンシャンテ南堀江1F
営業時間:12:00 ~ 20:00
※現在は新型コロナウイルスの影響で12:00 ~ 19:00の時短営業中

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