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「商品を上手く作るためにはお客様の肌感がいる」高円寺のAudienceに聞く、今ショップをオープンした理由とは?

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“10年先の未来を想像し、新しい価値を創造する”

プライスもデザインの一部と考え、 着た人が楽しくなる提案をし続けているファッションブランド『Audience(オーディエンス)』。今回は高円寺にある直営店「Audience Atelier Shop」にお伺いし、同社の社長である太田さんに、今この時代に直営店をオープンした理由をディレクターHがインタビュー。果たして、太田さんが今ショップをオープンさせた理由とは…?

・杉並区は23区の一番真ん中っぽい街

─ Audienceさんは直営のアトリエショップを高円寺に出店していますよね。原宿や渋谷、新宿など都心ではなく、高円寺に出店したということにはなにか理由があるんでしょうか?

私の私見で思い込みですが、杉並区が23区の中間と感じたからですね。美意識、価値観、経済等々も含めて、基本的には東京都の一番真ん中っぽい街。ということは日本の平均点に親しい街なのかなと思い、高円寺に出店しました。

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─ 高円寺には古着や音楽など独特のカルチャーなどもありますが、そこは出店した理由とは関係ないんでしょうか?

昔はそんな感じもあったんですけど、今は落ち着いていますね。どの街もそうなんですけど、熱量を発揮できる場所がなくなっているような気がします。

─ 最近、高円寺には新品のセレクトショップなど増えてきましたが、そこはどう思われますか?

そうですね、スタバもない小さい街にしては、お店は相変わらず多いです。でも、やっぱり高円寺は古着の街ですよね。なので、高円寺を目当てで来る人はほとんどうちには来ないんですよ。通りを歩く人もほぼ入ってこなくて、ウェブやSNSで拡散してうちの予備知識、前情報のある人がわざわざうちに行く目的だけで高円寺に来てくれています。だから、客層は少ないけど、買い上げ率は高いですね。

でも、今後は実店舗というのは有り様が大きく変化していくと思っているので、トラフィックの悪い通りでも考え方によっては勝負できる時代っちゃ時代だなと思います。

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・直営をオープンさせたのは、より商品を上手く作るため

─ Audienceを始められたきっかけは何だったんでしょうか?

前職がアパレルの営業部長をやっていて、結構よく働く社員だったんですね(笑)。その頃はまだアパレルも牧歌的な時代だったんですが、年の売上を達成できないときがあって、そこで責任を取ってやめました。それをきっかけに今の会社を始めました。

正直、すごく高い志があってとか、すごいバックボーンがあってというわけではなくて。多少は美意識もあるし、経験則もあるので、こだわって作っている部分ももちろんあるんですが、一番は集積と分析、品質と価格の整合性を重要視してものづくりをしていますね。

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─ オンラインを見ていても商品に較べて、価格が安いなという印象があります。

そう言っていただけると嬉しいですね(笑)。ただ、高い安いはお客様の判断ですので。あとは気が利いてるというか、たくさん作るということは汎用性のあるサイジングにせざるを得ないのですが、うちのは小さかったり、丈が足りなかったり、もろもろ汎用品とは違うサイジングで作っています。あと、綿100%の方が肌に当てるにはいいよねとか、そういう多少気を使ってやっている商品が多いですね。

─ 今は直営を持たないお店というのがすごく多いですよね。それも家賃や資金繰りなどいろいろ問題が多いので分かるのですが、その中でこのアトリエショップを開かれた理由っていうのは何だったんでしょうか?

より商品を上手く作るため、ですね。やっぱり自社スタッフで販売していたほうが、お客様からの生の情報がもろ入ってくるので。もともと東中野でスタートしたんですが、そのときはテラスハウスで1階がガレージで、2階がリビングで、3階が寝室みたいなところで。住居兼事務所で、ガレージで展示会してたんですよね。そこで2年やったあとにここに移ってきて、最初は不定期開催でやってていたんですが、2年前くらいに本格的に実店舗を始めました。会社ができて10年でようやく実店舗とウェブとメーカー業務の3チャンネルが揃ったという感じですね。

当然、商品のおかげで利益が出たので、商品が良く見えるショールームだったり、より商品が評価されるように練り直して作っていくためには購買されるお客様の肌感のようなものが必要だと思っています。

僕は、社長業はしてるんですけど、イチ営業マンとしても働いていて。それで全国の小売さん、バイヤーさんと話はするんですけど、あくまでそれは想定の話なんですよね。彼らの経験則において仕入れされるので結構あたってはいるんですが、やっぱり本当にお金を払って買ってくれるお客様との声とは違うと思います。

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─ お客様の声をデザインに反映させるということを重視されていますが、お店が出来る前と出来た後では洋服のデザインも結構変わったりしたんでしょうか?

やっぱり、サイズ感とかは変わりますね。特に2年前くらいからアンクル丈のパンツを売ってるんですけど、その裾幅って平置きで16cmという結構キワキワで、通らないって人もいたりするんですよね。だからこそ綺麗にキマるシルエットだったりもするんですが、やっぱりそれは実店舗でお客様から話を聞かないと分からないところですよね。お客様に穿いてもらって、問題ないとなったら品番広げたりとか。より確信を得られやすくなりますし、それがお客様の反応が先か、バイヤーさんの反応が先かっていうのはどちらでもよい話です。当然ユーザーさんの反応が先で、バイヤーさんに伝えられる話もできますし、こっちも熱がこもるというか。

僕はひとつ決めていることがあって、それは本当のことしか長く続かないということ。やっぱり、お客様にお金を払って購入してもらうことは本当のことなので、そこでお話することもお客様にとって本当のことじゃないですか?それを商品に落とし込めるようになる微差ですよね。バイヤーさんに取ったら気にならないことを詰められる微差が詰められるようになったという強みはあります。

─ デザインだけじゃなく、接客、ディスプレイにもこだわりはあったりしますか?

残念ながら、あらゆるお店がある中で一点突破でここだけは尖ってしまうっていうのは現状に関してはないですね。ただ、あまり接客をしないんですよね。20坪にぽかんと商品がある感じなので、お客さんの滞在時間も長いです。ウェブで服を買える中、こんな高円寺の端っこの実店舗に入ってくれるのは稀なことなので、その経験を邪魔しないということは心がけていますね。

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・もうトレンドは早くない?

─ 今はトレンドの流れも早いと思うのですが、お客さんは長く店に通っている方が多いんですか?

そうですね。ただ、僕はトレンドについては見解が違っていて、もうトレンドは早くないと思っています。前職の先輩に言われたことがあって、例えば14〜15年前に今までフォーマルだったテーラードがカジュアルに落ちてきたじゃないですか?そのときにメンズカジュアルは終わったと。なんでかというと、フォーマルで100年以上続いた美意識のものがカジュアルに落ちてきたから。トレンドというのは前の美意識を押しのけないとトレンドにならないんですよ。テーラードがカジュアルに落ちてきたときにそれを押しのけるものってなんだよと。メンズカジュアルで量をたくさんさばいていく時代が終わりつつあったんですよね。

それよりお洒落なものって何なのと考えると、昔はカルチャーなどミックスで売れたと思うんですけど、今は文化的背景でこの格好が好きなんだよというのでコスプレみたいなコアなものは残ったとしてもトレンドで大きく物を動かすっていうのはなかなか難しいですね。そういうことや少子高齢化などもあって、今作られているものは高いレベルで美意識や耐久性も伴っていてなかなか手ごわいんですよ。そう簡単にいかないというか。

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あと、うちのお客様もそうなんですけど、「3年前に買ったパンツがダメになったんでありますか?」って来たりするんですよね。特にメンズの人ってそうじゃないですか?1回自分のフィット感に合うものを手に入れたらそれを3~4色買いしますし、ダメになったら買い足しますよね。靴に近いというか。それをある程度の規模感で、会社でやろうとしたら不可能なんです。買い替え需要をあてこんで、バンバン商品を売りたいじゃないですか?うちはやり始める頃からそれがうっすら無理だと思ってたので、必要最低限の人数でのんびりやってる感じですかね。

─ それがものづくりにも反映されているんでしょうか?

全部納得するものを作って、バイヤーさんに紹介しているとは言わないですけど、納得できないものはやってないです。例えば、一時期PUがブームだった頃もPUは生地ができた瞬間から素材劣化を始めるので、流行っててもやらなかったですし。

基本的には本当のことしか残らないと思うので、なるべくバイヤーさん、お客様の理解に近しいものを提案したいとなるとそんなにたくさんものは売れないかなと。

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・駅から15分くらい歩いていただけるような魅力がなければ、店をやる意味はない

─ 高円寺以外に出店を広げたりというのは考えていないんでしょうか?

必要とされればですかね。もし第二段階があるとしたら、第一段階は最初の10年のメーカー、実店舗、ウェブじゃないですか?第二弾階、これからの10年は工場とメディアだと思っています。

実は今、練馬ってすごい人が増えてて、70万人超えるくらいの勢いがあるんです。それは中央線とは別のトラフィックですよね?それでちょっと広いところ借りて、さっき言った「3年前に買ったこれありますか?」というお客様に対応するために多少在庫を持って大きい倉庫を借りて、ウェブメディアを構築するための人材、商品を100%に見せるためのスタジオ、それでその家賃分くらい出せるような利益があれば大丈夫ですね。

もしそういった形で出店するなら、ここはアトリエとして残して、スタッフはあちらに行かせます。ただ、駅から15分くらい歩いていただけるような魅力がなければ、店をやる意味はないと思っていますね。

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─ 改めて、Audienceの洋服についてもお聞きしたいのですが、デザインはミリタリーやアメカジなどを意識されてるんでしょうか?

デザインは時代に合ったものを作るということで、そこまでミリタリーとかアメカジとかそういうのは意識したりはしていないですね。それよりもカットソーの襟の形をどうするかとか、ニットに指ぬきをつけるかつけないのかという微差だったり、素材感だったり、ケアをしやすくしたりというところは気をつけています。

やっぱり、ニーズですよね。デザインは動かないですが、全くベーシックの練り直しみたいなのだと話にはならないので。昔はデザイン盛ってたら売れましたが、今は引き算なので。あとは何が気を利いているのかですね。あまりカテゴリー、コンセプトにとらわれず、ニュートラルにやれるようにはなってきていますね。

─ 2〜3年前は映画のあれからデザインを発想してなんて方も多かったですが、そういうのが減っているのはやっぱりそういう考えがあるからなのかなと思います。

ファッション誌よりモノマガジンに広告を打った方が売上が良いなんてときもありましたね(笑)。今は実需の部分というか、お客様も選択の幅が広がっていますし、やっぱり前情報が半端じゃないですよ。

昔は情報も少なかったので、こんなところに店があるなら入ってみようで入ってくれたけど、今は見ても俺知らないしで素通りですからね。ただ、やっぱり1回入っていただけるとリピーターになってくれたりはするんですよね。

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─ ゼロをどうイチにするかという話ですよね。

そこにあまり焦りがないというか、今のペースでやっていければという感じですね。うちも僕を含めて5人の小さな会社なので、みんなが納得するペースでやれればいいかなと思います。

─ 実際に太田さんとお話して、Audienceの魅力がすごく伝わりました。やっぱり、この魅力は実店舗に行かないと分からなかったのかなと思います。本日はありがとうございました。

こちらこそ、魅力が伝えられたようで良かったです(笑)。ありがとうございました。

・Audience Atelier Shop – ショッププロフィール

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〒166-0003 東京都杉並区高円寺南2-45-1三協ビル1F
TEL.03-5305-4377 MAIL.info@aud-inc.com
OPEN.平日 13:00~20:00 土日祝日 12:00~20:00(定休日:水曜日)

Interview.ディレクターH

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