吉祥寺駅から井の頭通りを一本入った路地にある“SEEK&FIND”。オープンしてから数年とまだ間もないながらも「世の中に物が溢れる時代だからこそ“本当にいい物”を提案する」といったコンセプトを元に多くの人たちを魅了するセレクトショップである。

シックとカジュアルの両者をうまく融合した店内は、ゆっくりと買い物を楽しめる空間だ。そんな同店の店長兼アシスタントバイヤーの須田真行さんにお店のコンセプトやスタッフの特色を聞いた。

─ SEEK&FINDのコンセプトは何ですか？

これまでいろいろな時代の洋服を見て着てきた大人の男性でも楽しめるお店にしたい。そういった面から「ファストファッションが全盛期となり物が大量に溢れている今だからこそ、“本当にいい物”を提案したい」という想いがコンセプトとなっています。

また、お客様に洋服を提案するときはその物の堅ろうなつくりだけを伝えるのではなく、生産国の文化やデザイナーさんの感性といった“ひとつの物が完成するまでの背景”も伝えています。そうすることでその物がお客様の“お気に入り”になればいいなと。そのお気に入りを長く大事に使っていただけたらお店としても嬉しいですね。

─ ブランドのセレクトについて教えて下さい

メインバイヤーと私が国内外のブランドをセレクトしています。数多くの本当にいい物を見極めてきた実績あるメインバイヤーとともに、実際に自分の目で見ていいなと思った物を店頭に並べたいなと。またお客様に物の背景を伝えるためにも、セレクトする場でそのブランドのデザイナーさんに直接お話を聞くようにしています。

─ どんなスタイルを持った人にいい物を提案していきたいですか？

特定のジャンルに絞らず、どんなお客様にもいい物を提案していきたいと思っています。吉祥寺が賑やかな街ということもあって、もっといろいろな人たちが気軽にお店に来てくれたらいいなと。そして私たちスタッフがフィルターとなって多くの人に洋服といった物の面白さを伝えていきたいですね。私たちスタッフをきっかけにその楽しさや面白さを知り、そういった部分に共感していただけたらいいなと思っています。

─ お店やスタッフの特色について教えて下さい

今店頭に立っているスタッフは私を含め男性3人です。この3人には共通点があって、それは洋服が大好きであるということ。その共通点を大切にしながらお店とともに成長していきたいと思っています。

また3人ともお客様とは洋服の話の他にグルメや趣味、仕事といった話もするほど親密な関係を築くよう心がけています。実際に私たちスタッフに気軽に会いに来てくださるお客様も多く、本当に嬉しい限りです。

─ 最後に、おすすめのブランドを教えてください

カジュアルアイテムだと国内ブランドのHAVERSACK（ハバーサック）です。シャツに関しては全て別注し、オリジナルのパターンをひき直してもらっています。HAVERSACKはもともと生産の背景（縫製の仕様など）がとても良いブランドで、ミシンのピッチ目などシャツのディティールがとても繊細。そういった部分が別注シャツのベースになっていて、HAVERSACKの良さを残しながらポケットのデザインを変えたり、そのシーズンの雰囲気によってボタンを変えたりしています。

シックアイテムならドイツブランドのFRANK LEDER（フランクリーダー）。布地や縫製のすべてがドイツ製であることにこだわっていて、アイテムによってボタンをヴィンテージボタンにするといったユニークなアプローチをしているブランドです。そして今シーズンのテーマはヨーロッパの内陸水路の船曳き＝ボートマン。豊富なブルーのカラーバリエーションは内陸水路や運河の水の色を表しています。

BONCOURA（ボンクラ）はデザイナーさん独自の目線でヴィンテージを忠実に再現してつくったデニムアイテムがメイン。デザインとしてはシンプルなものの、デザイナーさん自ら原綿からこだわりの配合を見つけだしたり、インディゴにしてもピュアインディゴを使ったり、糸も綿糸（綿100％の糸）を使うなど素材と縫製にとてもこだわっています。お店のコンセプトどおり、自分だけのお気に入りとして長く使っていただけるブランドのひとつとなっています。

低価格でトレンドを楽しめる、ファストファッションは確かに便利だ。ただその安さゆえに「買っては捨て」を繰り返し、クローゼットの中は不必要な服で溢れているのではないだろうか。

手軽に流行を楽しめる一方でその場限りのものが多く、本物とは言いがたい。そんな時代に本物を提供してくれるお店は貴重だ。10年後も共に歳を重ねていけるようなお気に入りを探しに、ぜひSEEK&FINDまで足を運んでほしい。

SEEK&FIND
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-18-2 リッツ1F
TEL. 0422-27-5733　営業時間11:00〜20:00

Text.Noriko Hashinaga