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【interview】新旧ミックスしたオーセンティックなアメリカンスタイル 原宿のセレクトショップ「MAIDENS SHOP」
原宿のとんちゃん通りを過ぎ、千駄ヶ谷方面へ抜ける道の途中。少し奥まった場所に、今回取材した「MAIDENS SHOP(メイデンズショップ)」はある。2015年の2月にリニューアルオープンし、ますます世界観を強めた同店について、バイヤーの平沢さんにお話を伺った。
大切にする3つのキーワード
同店を現す際に欠かせないキーワードは「トラディショナル&コンテンポラリー」「オーセンティック」「アメリカンスタイル」の3つ。それぞれ補えば、トラディショナル&コンテンポラリーは、新しいものと歴史のあるものをミックスすること。オーセンティックは、新旧ブランド関係なく、遺産のように残り、受け継がれていくもの。アメリカンスタイルは、今のカジュアルの根底であるアメリカのスポーツ、ワーク、トラッド、ミリタリーを軸に、それを日本的、またヨーロッパ的に解釈したものも含め、アメリカらしいもの。この3つを兼ね備えたアイテムのセレクトこそ、同店らしさとなっている。
落ち着きのある隠れ家的な場所
移転リニューアルしたが、元の店舗とも近く愛着のある原宿を選んだ。前ショップに比べ、約2.5倍広くなったという店内は、シンプルな作りで落ち着いた雰囲気。これは、万人に向け、安価で質の良い建築を提供するというアメリカの建築家フランク・ロイド・ライト氏が考案した〈ユソニアンハウス〉が裏テーマとなっている。雑多なエリアから少し離れ、隠れ家的な場所にしたのも、ゆっくり見て欲しいという思いから。またデザイナーの来店や、トランクショーなどのイベントも2ヶ月に1度ほど行われ、服とその背景がより伝わる空間を目指している。
ものづくりの背景まで知ること
スタイルの基本はカジュアルであることを前提とした、ミリタリー、ワーク、スポーツ、そしてトラッド。これらをミックスし、時に変化を与えながら毎シーズンのアウトフィットを組み立てる。国内外に渡るセレクトは、モノだけでなく、作っている人、そしてその背景も含めた上で判断しており、直接会っているからこそお店で伝えられることも多いという。モード寄りのブランドでもここで合わせると自然にマッチするのは、そんな地道なバイイングがあってこそだ。
アイテムピックアップ
S.E.H KELLY – Summerset Fox Flannel Duffle Coat ¥181,440(tax.in)
セカンドシーズンから取り扱いがある英国ブランド「S.E.H KELLY」。サヴィル・ロウの老舗で10年間経験を積んだサラ・ケリーと、パートナーのポール・ヴィンセントによるブランドで、生地からボタン、すべてをイギリス諸島内のメーカー製を使い、すべてを自国で生産している。こちらのダッフルコートも、シンプルで着やすいながら存在感のある一枚。
Individualized Shirts – Shirts ¥23,760(tax.in)~
アメリカに残る数少ないシャツファクトリーによるブランド。BDシャツの原点を作り上げたBROOKS BROTHERSのカスタムシャツ部門を全て任され(2003年BROOKS BROTHERS USAが外資に買収され契約関係を終了)、現在も最高級百貨店から紳士服専門店、さらにはセレブリティーまで数多く手がけている。ここでは、おそらく日本で一番多いという定番型から季節ものまで素材違いで揃う。
同店には3つのキーワードの他にこだわっていることがある。それはセレクトショップであるということ。足したいアイテムがあってもオリジナルを作り補うのではなく、純粋なセレクトショップであり続ける。その美学はセレクトする際に、ものづくりの背景まで探求するシビアさと似ている。実直であり時に愚直ですらある。そんな姿勢こそ同店が捉えるアメリカらしさなのかもしれない。
MAIDENS SHOP
東京都渋谷区神宮前2-19-12
TEL.03-5410-6686 OPEN.12:00~20:00(不定休)
Text.Koichi Kondo