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川越のGarageに聞く、“他に無いものを扱うショップの在り方”とは
埼玉・川越Garage
歴史ある街並みで、近年観光客が増え続けている埼玉・川越。そこで「流行に左右されないもの」、「背景にストーリーがあるもの」、「リアルなもの」をコンセプトとするをメインに展開するのが『Garage』です。
もともと洋品店としてその場所に根ざし、現在3代目だというGarageの店主・並木さん。今回は「どんなお店なのか?」と気になり、お話を聞いてきました。
時代によって変化し続ける、新しい老舗の形
– 本日は宜しくお願い致します。早速ですが、前職は何をされていたのですか?
一番始めの職になるんですけど、OEMメーカーにいまして、大手のカットソーなどのオリジナル商品を作っていました。
– 学生の時は服飾の専門学校へ行っていたのですか?
いえ、服飾の学校へは一切行かず、1年程そこの会社で勤めました。
その後は2年程フリーターみたいな感じで都内でバンドをやっていました。(笑)
– えー!すごい面白い!(笑)ジャンルはなんですか?
ゴリゴリのパンクでした(笑)その頃のカルチャーや色んな人や経験があって・・・今の僕のルーツになってます。
– なるほど。では、セレクトショップをオープンさせた理由やきっかけを教えてください。
実はここは自分が引き継いだっていう形で、すでに先代が2代いたんです。家業が洋服屋だったので。お店自体は1987年にオープンして、当時は古着っぽい、ハリウッドランチマーケットとか置いてたり。途中はポールスミスも置いていたし、2000年以降はドメスティック系のブランドを揃えたりと、色んな時代があるんですよ。
– 時代に合わせて変化していってるんですね。
そうなんですよ。老舗のイメージを全く感じさせないように、常に変化し続けてます。
– 店舗内装のこだわりは?
引き継いでいるので、もともとあった場所にはなるんですが、店頭を当時の2倍ほどに広く改築しました。あとは、落ち着く感じのレイアウトを心がけています。
– 「セレクトショップ」と聞くと、冷たい感じの什器が置いてある印象をイメージするのですが、木製の棚などもあって温かみを感じますね。
密なコミュニケーションによって生まれる、こだわりのオリジナル商品
– 今のショップのコンセプトをお伺いしたいです。
今は構成している商材がオリジナル中心になってきているんですが、”自らの経験に基づくカルチャーなど、製品の背景にこだわりやストーリーが可視化出来るもの”をコンセプトに企画しています。シンプルでベーシックだけどこだわりが詰まっているような。
– そうですよね、こう見てみると、ほとんどオリジナル商品かな?と思うのですが。
そうですね、ほぼオリジナル商品になってきています。オリジナルの取り組みにさしあたっては、他に無いものをお届けしたい、独自に作れる力を持ちたいと思い取り組んでいます。実は、うちのオリジナル商品は、昨年、阪急メンズうめだで「ジャパンクリエーション」に参加していたんですよ。
– どのくらいの期間出していたのですか?
約1年間です。(笑)
– すごいですね(笑)遠方のお客様に知っていただく機会になったんですね。
そうですね、わざわざ大阪から来てくださったお客様もいらっしゃったので、やってよかったなと思いました。
– ところで、オリジナル商品はOEMに企画をお願いしているんですか?
色んな形態があるんですけど、カットソーやシャツは自分で直接工場へ行って企画しています。その他は、OEMや国内ブランドのデザイナーさんと一緒に企画したりとか。生産側との密なコミュニケーションをとって、独自の技術を製品に活かした特殊な技法で仕立てています。
– ご自身で工場へ行ってお話しされているのですね。
そうなんですよ。納品時は自分で取りに行ったりもします。そうやってここら辺の工場巡りをしている中で、たまたま世界的なハイブランドに生地を供給している生地屋さんを川越で見つけたりとかもしました。
– それはすごい出会いですね!(笑)
そうなんですよ、企画の人も来てるみたいで。川越で糸を染めて、機織りしてるみたいでびっくりしました。(笑)
オーダーとは、“他に無い服の究極の形”
– そういえばブログにて、オーダースーツの受注を最近始めたと拝見したのですが、始めたきっかけはありますか?
そうですね、今年の8月に始めました。自分で工場へ通ってオリジナルをやっているうちに、自分の好きな形や生地、付属で仕上がってくるオーダースーツは、お客様に対して他に無い服をお届けできる究極の形だなと思ったんです。
国内随一のテーラーであるカインドウェア・NASU夢工房・のファクトリーブランド「TAILORGLYPH」とのダブルネームによるパターンオーダーを使っています。とてもデザイン性が高く、補正幅が広くてフルオーダーに近い内容で提供できるんです。
– 個人的にかなりオーダースーツへの憧れがあるのですが、とても美しいです。
ありがとうございます。(笑)普通の工程の1.5倍を踏まえて丁寧に縫製しているんですよ。
“品質の良いアイテムを現実的な価格帯に留めた、「落差」に価値を見出していきたい”
– 並木さんが今後やってみたいこと、挑戦したいことを教えてください。
そうですね、やっぱり他の飲食などの業態は増やさず、アパレル一本でやっていきたいと考えています。あとは今のように、オーダースーツとカジュアルアイテムの両方を提供できる空間を続けていきたいなと思ってます。品質の良いアイテムを現実的な価格帯に留めた「落差」に価値を見出して、他に無いものを扱う知る人ぞ知るショップで在りたいですね。
あ、あと、さっきもお話ししたんですが他のブランドさんのデザイナーさんと一緒に企画をしたりするので、そういう機会も増やしていきたいと考えています。オリジナル商品を作りたいなと思っていて、でも在庫を抱えるのがちょっと・・・と思っている方とも一緒にできたらいいなと思っているので是非!
– 本日はありがとうございました。
Garage独自の取り組みは、皆さまに必要とされ文化のように地域から自然発生したものをイメージしているという。
また、ラグジュアリーな高級路線を目指しているわけではなく、お客様との関係を大切に考え、お客様の声の先に有る「こういうものが欲しかった」という需要を喚起する物を作っていきたい思いが根底にあるそう。
オーナーである並木さんの話を聞けば聞くほど、“お客様のこだわりを叶えていきたい”という思いが強く伝わって来た。
シンプルだがこだわりのある服が欲しいと思っている方はもちろんのこと、こんな服が欲しいのに…と強く思っている方や、どんな服を着たら良いかわからないという方まで…。
garageに行けば、きっと答えが見つかるだろう。
Garage
PLACE:埼玉県川越市新富町2-7-2 garage
HP:http://www.inthegarage.jp/
TEL:04-9224-9200
OPEN:11:30~20:00(水曜定休日)