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【後編】三軒茶屋の老舗SEPTISに聞く、シャツの定番『SERO (セロ)』がショップスタッフに支持される理由。
定番から現代的な洋服まで酸いも甘いも着てきたSELECT STORE SEPTISのショップマネージャー小山さんに、定番ブランドの魅力を聞いていく本企画。前編の『SERO(セロ)が着やすい理由』に続いて、今回は『SERO (セロ)がショップスタッフに支持される理由』と題してSEROの魅力を深堀りしていきます。
私服でシャツを敬遠しているライターS含め、シャツに対して同じイメージを抱いている方もきっとSEROを着たくなるはず。どうぞご覧ください。
「パーティーにはなかなか行きませんからね。」
ライターS(以下、S):メンズカジュアルの基礎を作ったアイビーブームの火付け役、というだけで魅力的なSEROですが、敷衍してシャツ選びのポイントはどこにありますか?比べる、という作業が必要だとは思うのですが。
小山さん(以下、小山):シャツ選びって大変ですよね。やっぱりモノを見る時って視覚的なデザインから入るじゃないですか。シャツだとなおさらで、目に見えて分かりやすいポイントが無い。だからサイズが合ってる、とか、袖が丁度いい、とか、着た時にしっくりくる、とかで買われる方が多いんですよね。僕もそうなってしまいますし。
S:無地Tもそうですよね。着たら首が詰まってるぞ、とか、袖が長いぞ、生地が厚いぞ、とか。だから全て着た時の比較になってしまう。パックに3枚入っているともう大変。ハイリスクハイリターンです(笑)。
SEROを着るお二人。左:バイヤー廣川さん、右:ショップマネージャー小山さん
小山:たぶんそこに良い悪いは無くて、やっぱり自分に合うかどうか、というところになってしまいますね。その意味でSEROはある意味普通というか、日常に寄り添っている感はあります。例えばめちゃめちゃ小さいボタンダウンだとそれはそれでアクセントになってしまうし、大きいのは大きいので綺麗になりすぎてしまうっていう。じゃあ、どんな感じでも着れるか、というとそうではなくて、一番は僕らの生活シーンに馴染んでいると言えば分かりやすいかもしれません。パーティーにはなかなか行きませんからね。
S:アイビーですね。
小山:しかもリアルなアイビーですね。IKE BEHAR (アイクベーハー)とかGANT Rugger (ガントラガー)のボタンダウンもアイビーの括りには入っていますけど、自分が当時の大学生だったらやっぱりSEROを着ちゃいますね。
S:当時は大学の近くにSEROのお店があって、さらに手に取ることができましたしね。
小山:何気なく着ているだけにシャツは奥が深いんですよね。どれを着てようが、どれを着てまいが、確かに違う、というのはあるんです。自分はよくキャップを被るんですけど、それにはアイクベーハーのシャツは襟が高くてしっくりこない。シャツに目がいってしまって「良いシャツ着てるね」となってしまう(笑)。悪いということではないんですけどね。
「髪を切った次の日に自分でセットした姿がリアルじゃないですか。」
S:コンバースもジョンスメもですが、小山さんは日常に馴染んだものがお好きですよね。
小山:好きですねぇ。買ったらいっちばん最初にまず洗いますからね(笑)。自分の中で洗って初めて完成するという感じがあるんですよ。洗わないと決めたものは洗わないですけどね。
S:支配下に置くみたいな感じですか(笑)。Euphonicaの井本さんと一緒ですね。
小山:あ、そうなんですね。支配下に置くってほどではないですけど(笑)。例えば、髪を切った次の日に改めて自分でセットした姿がリアルじゃないですか。美容室でセットしてもらった姿ではなく。
S:あぁすごく分かります、それ。
小山:レザーも洗っちゃいますし、真っ白のアイテムは余計ですね。少し黄ばませたいっていう(笑)。洗わないで着てきたものをいざ洗って、それまでと「なんか違うな」ってなったら、すごいショックじゃないですか(笑)。
S:あぁ、ありますあります。日常で着るからこそ安心したいんですよね。髪を切った後の心境と似てますねぇ。僕もセット云々だけじゃなく髪切ること自体がちょっとしんどいです。どうしても身体を介在させなきゃいけないじゃないですか。だからなかなか髪を切りに行けなくて、髪を切る2週間前は帽子を毎日被ることになる(笑)。身体に纏うという意味での服もそれと一緒で、大事に手洗いしていた服を満を持して洗濯機に突っ込んだらその後は毎回洗濯機で洗うことになる(笑)。
小山:ドレスのシャツ、カジュアルのシャツ、使うシーンが違えば洗い方ももちろん違ってくるんです。
「普段の姿からスムーズに移行できるんですよ。」
S:自分が唯一持っているシャツがなんでネルシャツなのかが分かってきました。素材感もですがチェック柄で一目でカジュアルだと判別できるから。そのカジュアルという部分に定位すれば、シャツという体裁を持ちながらもラフで決まりすぎないSEROは、もう僕にとっては買いやすいアイテムの一つです。普段スーツを仕事着の基本としない小山さんはよりSEROの活躍の場があるんじゃないですか?
小山:かなりありますね。取引先の人と初めて会うってなった場合に、「Tシャツじゃちょっとな…」という時はもうだいたいSEROですね。普段の姿からスムーズに移行できるんですよ、SEROって。
S:うんうん。自分の生活から逸脱しないということでしょうね。今までの自分の髪型をさほど変わらないっていう。
小山:普段は金髪でセットもしないけど、その時は七三にセットするっていう(笑)。印象としてはキチっとしてるのは分かる、尚且つその人らしさも損なわない、という感じでしょうか。
S:すごく分かりやすいですね(笑)。僕も髪を切る2週間前以外は七三ですからね。というのも格好が全身カジュアルなのでそこでなんとなく全体を引き締めるというか、成立させるというか、そんなことを狙っていたんだなって今気づきました。
小山:七三こそアイビーですからね。
S:おっ……。そ、そうでしたね。いつの間にかシャツを敬遠していた僕にも日常にアイビーが馴染んでいました。いやー、ストンと落ちましたね。本日はありがとうございました。
小山:いえいえ、こちらこそありがとうございました。
毎度そのブランドへのイメージが一新していく私ライターS。“金髪に七三”という卑近な例でこの記事のピークを迎えるとは思いもしなかったわけですが…(笑)というように、ネットでは得られない体験が得られるのが店頭に行くことの醍醐味ですね。酸いも甘いもオーセンティックなブランドから現代的なブランドの魅力を知っている小山さんに読者の方も会いに行ってみてください。
・プロフィール – SEPTISショップマネージャー小山さん
『SELECT STORE SEPTIS』に入って2年でショップマネージャーとなり、今年2016年に4年目突入。お店のフロントマンとして、接客を中心に携わる。趣味は飲み歩き。同店HPの三軒茶屋散策ブログでは、オススメの飲食店などを紹介。今注目の商品情報や、定番アイテムを定番には収まらないスタイリングで提案しているInstgramも必見。
SELECT STORE SEPTIS
東京都世田谷区三軒茶屋1-41-13
TEL.03-5481-8651 OPEN.13:00-21:00 (土曜・日曜・祝日.12:00-20:00 定休日.水曜日)
Photo.Yuya Iwasaki , Text.Shunsuke Mizoguchi