FEATURE
大人ストリートの駆け込み寺で見つけた夏の銘品|夏の“大三カッケー”発見 #01
ベガ・アルタイル・デネブ、3つの一等星が紡ぐ「夏の大三角形」にちなんで、この「夏の大三カッケー(かっこいい)」をお店で探していく本企画。何を隠そう、ダジャレです。が、しっかり実店舗に行って、見て、着て、探してきました。
第1回は、高円寺にお店を置く『Lampa』さん。タフで男らしく、シンプルで都会的なアイテムを、ストリート風味な味付けで料理するオーナー・遠山さんが切り盛りするお店です。

遠山勇
“TOKYO STRONG STYLE”をテーマに、タフで男らしく都会的なアイテムをセレクトする『Lampa(高円寺)』のオーナー。生まれも育ちも東京のヒップホップ好き。最近はスーパー銭湯にハマっている。マスクは同店で販売中のマウトリーコンテーラーのもの。
まずは、今季のイメージから…
ーーもう21SSの商品はだいたい入荷したんですか?
遠山 ほぼ入ってる、と思う。
ーーと思う……?
遠山 思い出せないんだよね、自分でもびっくりするくらい。いざ納品されて「あ、そうそう。あったよね」となってしまう(笑)。今はもう、次のやつ(21AW)をオーダーしてる段階だから、頭がそっちに切り替わっちゃってるんだよね。
ーーああ、そうですか。でも、これから売っていくのに(笑)。
遠山 でも21SSも21AWも連動してるから。ぶった切られていないからね、気分ってのは。ある程度の流れはある。みんなもそうだと思うよ、今の服はこんなんだから秋冬はこんなイメージっていう風に買うでしょ? お店としてもそんなに難しい作業ではないんだよね。
ーートレンドは繰り返すとも言いますよね。
遠山 そうそう。この仕事を長いことやってるから「これが来たということは次はあれかな?」という予測はある程度できる。

ーー今季はどんなイメージで仕入れたんですか?
遠山 う〜ん、基本的には自分が多感な時期に過ごした90年代のストリートが軸になってるから、そんなにやってることは変わってない。今日の自分の格好だってそうだし、昔とほぼ変わらない(笑)。ブランドとかサイズ感は違うけど、色味はほぼ同じ。
ーーたしかに、そのノリを感じますね。せっかくなのでここで一枚、全身写真お願いしてもいいですか?(笑)
遠山 こんな感じ?(笑)

ーー最高です(笑)
遠山 50を迎える男がこんなんしてて大丈夫なんかな。
1品目「再現度が高いM-47」

ーーさて、夏の“大三カッケー”を探していきたいわけですが、なんですかこれは。フランス軍のM-47?
遠山 そう。〈オーディナリーフィッツ〉が去年から新しく始めた軍パンの定番ラインで、これはM-47を忠実に再現してるんだよね。ただサイズ感は日本人向けにリサイズしてる感じかな。

ーーM-47、いま人気ですよね。
遠山 ミリタリー自体が人気だね。オーディナリーフィッツのようにミリタリーに特化させたラインを作るブランドも増えているし。
ーーなんでなんですか?
遠山 なんでだろうね。
一同 (笑)
遠山 でもM-47に限って言えば、この前、お客さんに聞いて始めて知ったんだけど、昨年末くらいにM-47のヴィンテージを某俳優が着用したらしいんだよね。それで火が付いちゃって。いま相当な値段になってるらしいよ?
ーーそうですね。手が出せない値段です。
遠山 でしょ? 無理だよね。その流れがあって、このM-47も納品されたら即売れた。あっという間だった、瞬殺。
ーーそんなに勢いがあるんですね。
遠山 でも2ヶ月後に再入荷したら落ち着いてたっていう。
一同 (笑)

ーーレプリカと言えど、やはりガチな香りがしますね。
遠山 ディテールはほぼ変わらないんじゃないかな? 中でもやっぱり生地がいいよね。岡山・児島で生地から作ってるから、縫製もクオリティーが高い。ネップの感じもすごい良く出てるなって思う。本人たちもかなり再現度の高いものにしたって言ってた。

遠山 でも基本、おれはいわゆるVintageのミリタリーアイテムが好きじゃない
ーーえ。
遠山 存在感がありすぎて、コーディネートを組むとなると難しいんだよね。年代が古くなればなるほどオーラが出すぎて、他の服と合わない。全身そういうもので合わせるしかなくなるから。
ーーその点、M-47はどうですか?
遠山 比較的使いやすいよね。軍パンと言えばアメリカ軍のM-65も例に挙がるけど、M-47のほうがシュッとした印象でコーディネートしやすいと思う。
ーー試しに穿いてみてもいいですか?
遠山 もちろん。



ーーわ〜! これはいいですね〜!
遠山 シルエットも綺麗だね。やっぱりそこらへんはオーディナリーが整えているんだと思う。
ーーシャツを合わせても良さそうですね。
遠山 シャンブレーのシャツジャケットとかも良いんじゃないかな?

ーー大人な感じがします。でもなんとなくノリが……
遠山 B-BOYっぽいよね。
ーーはい。
遠山 昔のB-BOYって、軍パンにシャンブレーとかデニムのジャケットをよく着てたから。俺も着てたし(笑)。でも、インナーは白いTシャツのほうがよりB-BOY感が出るかな。
ーー夏はこのM-47と白Tでも良さそうですね。
遠山 うん。パンツが存在感がある分、それで十分だね。
2品目「弱点がない? 大人のタオル地シャツ」

ーー夏も近づいてきましたが、Tシャツはもう売れ始めているんですか?
遠山 売れてる。最近2回目のオーダーをかけたところかな。
ーーFACYにも上がっていましたが、〈シングファブリックス〉も人気のようで。
遠山 そうね。うちではブラック、イエロー、カーキベージュの3色を仕入れてるんだけど、カーキベージュが特に。他には無い独特の色味が良いんだよね。

ーーたしかに、あまり見ない色味ですね。シルエットも大きめで、今っぽく着られそうです。
遠山 今っぽいよね。あと、着てみて初めて気づいたんだけど、特に自転車なんかに乗っていると風がバカバカ入ってくるんだよね。だから見た目に違わず着ていても気持ちいい。
ーー夏は心強いですね。
遠山 あ、そうだ。シングファブリックスといえば、これもすごいよ。

ーーあれ? シングファブリックスなのに、タオル地じゃない?
遠山 いや、実はこれタオル地で。
ーーえ?タオル地なんですか?
遠山 そう。タオル地の弱点ってやっぱりベルクロらしく、それを克服するために開発した生地みたい。それでも吸水性は今治タオルの水準を保ってるからすごいよね。
ーー 一枚で着ても問題ないですか?
遠山 問題ない。むしろ快適。

ーーシルエットもゆったりですね。Tシャツと同じく、今っぽいサイジングで着られそう。
遠山 特にTシャツに抵抗のある大人の方はいいんじゃないかな? 袖丈も長いから品もあるし。これは自分も買おうと思ってる。

3品目「大人の白バッグ」

ーーあとは、ものすごい存在感を放ってる、あの白いバッグも気になりますね。
遠山 フランスとイタリアの2人組デザイナーによる〈リレイションズ デ ボヤージュ〉のバッグね。まだあまりやってるお店が少ないんじゃないかな? オーダーする前に資料だけはもらってて、その時点でもう入れようってことはほぼ決めていて。だから展示会は最終確認で行ったような感じ。
ーーどこに惹かれたんですか?
遠山 やっぱり生地かな? ヴィンテージのセイルクロスを使っているところ。白いバッグって汚れが気になるじゃん。でもこれの場合、古いものを使ってるから最初から若干汚れてるし、気にする必要がない。あとはヨットで使われているものだから耐久性もあるし撥水性もある。

ーーこれも遠山さんは買う予定で?
遠山 うん。自分が買う予定のものはあっちのマネキンにかけてるんだよね(笑)。
ーーそんな(笑)。でもあれ、個体差? ステッチが……。

遠山 そうそう。多分、取れた生地の大きさによってステッチの入り方が違うんだよね。自分が買う予定のものは色が入ったステッチを使ってる。でもおそらくだけど、みんなは白いステッチのほうがいいんじゃないかな?

ーーパーツも古いんですか?
遠山 そうね。錆びてて、味があるよね。さすがに耐久性が求められる持ち手の部分は新しいものを使ってるっぽいけど。
ほんと一つ一つセンスを感じるよね。THE・インポートって感じ。日本人だとあまりこういう物を作らないんじゃないかな? こういったクリーンなものをリメイクさせると、向こうの人のほうがセンス良いような気がする。なんとなくだけどね。
ーートートとショルダーの2WAY仕様ですが、遠山さんはどっちで使う予定ですか?
遠山 自転車に乗る機会が多いからショルダーかな? こんな感じ?

ーーおお、なんか大人ならではの品格が漂っていますね。
遠山 あ、そんな感じする?
ーーはい。あと、白だから軽さが出てこれからの季節にぴったりですね。
遠山 でしょ? 季節感があるでしょ? 冬は冬でダッフルコートとかと相性が良さそうだし。
ーー洒落てますね。
遠山 これだったらみんな良いんじゃないかな? お店としても今さらになって定番の白のキャンバストートを入れても仕方がないし、これは自分でも良い提案かなって思ってる。
Lampaの「夏の“大三カッケー”」
1.Ordinary fits surplus/M-47
2.THING FABRICS/Short Sleeve Shirt
3.Relations de Voyages/Oxygen

高円寺「Lampa」
住所:東京都杉並区高円寺南4丁目8-1
電話:03-3316-4030
営業:13:30〜19:30(不定休)