FEATURE
売れた=良いもの?千歳船橋のLICLEで、売れるはずの良質なアイテムについて根掘り葉掘りしてきました!
「めちゃくちゃカッコイイのに、売れないんですよね。」
ショップでの取材中に、時折聞くその言葉。言わばショップのそのシーズンの推しアイテムであるわけですが、なぜだか手に取られない…。そんな着れば分かる、接客を受ければ惚れ込むような、至高の一着の魅力をお届けするのが本企画。売れたのはもちろん良い商品だからなのだろうけど、売れてなくたってお宝はあるのだ!
そこでお忙しい読者の皆さんに先立って、今回は千歳船橋のセレクトショップ LICLEへ“ディグり”に行ってきました。推しのアイテムは、『S.E.H KELLY(エスイーエイチケリー)』のトレンチコート約15万円。セールで15万円の服となると絶対的には高額かも知れませんが、この服については話を聞けば聞くほど、相対的には決して高くない逸品だということが判明。ではその理由とLICLE 鶴田さんの思いの丈をご覧ください。
トレンチなのに機能性がまず段違いなんです。
触ってみると生地感がすごいんですが、やっぱり推しポイントとしては生地ですか?
もうとにかく生地。Ventile社とS.E.H KELLYが開発(世界初)した生地「Ripstop Ventile(リップストップベンタイル)」を使用してます。小雨の日にスタイリング写真用で着たことあるんですけど、ガンガン水弾きますよ。硬すぎないし重くないので、さらっと着れるっていう魅力もありますし、シェル系アウターではなく、こういうトレンチコートでここまでの高性能を発揮するのは良いところかなと。目に見えない分、分かりづらいところではあるんですけど。
トレンチと機能性とかまるで縁のないものだと思ってました(笑)防寒性はどうですかね?
ありますね。全然風を通さないです。でも通気性も備えてるっていう。背中の裏地上部にはウール素材のライニングが貼ってあるので、保温性もありますよ。
ぱっと見だと肩も面白いですね。生地のすごさだけでも感服するレベルなんですけど、他にS.E.H KELLYだからこそすごいみたいなポイントあります?
肩はラグランですね。ラグランだからこそスーツとかジャケットと重ね着する時も楽です。あとはこのポケットですかね。定番のスキュータムとかバーバリーのベルトの幅とかを踏襲してたりはするんですけど、その中でもS.E.H.KELLYのオリジナル感、アイデンティティーを出してる細かい部分もやっぱり良いかなと思います。
誰にとっても新定番になりうる服
上からも横からも物が入る仕様に。ポケットに手を突っ込むのが様になります
あとはうんちくみたいな感じなんですけど、生地もボタンも全部イギリス国内での生産なので、男心をくすぐられますよね。
その生産過程で、この生地で、この作り込みでって考えると…別に高くないし、それ相応な価格なのかなという気がしてきました。
そうなんですよ。高くないんです。やっぱりトレンチには定番というものがありますけど、自分の中で新たな定番を作るとなったらS.E.H.KELLYはハマるブランドだと思います。
新定番として成立するポイントはなんですかね?
ガバッと着たい人はトレンチコート本来のサイズ感で着ていただくのが良いと思うんですけど、タイトというかスマートに着こなしたい人で、シンプルな見た目よりかはちょっと味のあるアイテムを求めてたり、オーソドックスに飽きた人にはオススメです。あとは何度も言いますけど機能性ですね(笑)オリジナル生地だからこそ他のトレンチとも差別化しやすいと思います。
タイト目なシルエットだからこそ、今まで身長の関係でトレンチを敬遠してた人でも着れそうですよね。
そうなんです。だから僕みたいな身長170センチぐらいで、トレンチはちょっと諦めてた人でも様になるんですよ。なおかつ背の高い人ならより一層似合います。着る人を選ばないんですよ。見た目的にはカチッとしてますけど、そんなに力入れずに見るんじゃなくて、さらっと着れば全然着こなし易いです。
実際に試着されたお客様っていらっしゃいますか?
いますよ。その方はバーバリーのトレンチを持ってるお客様だったんですけど、それでも良さを見出してくれて。あまりに手足の長い方だったので、サイズが合わなくて断念されてました…。
やっぱり実際に着て、こうやって話を伺わないとどれだけ良いものかのかが伝わらないブランドだったりアイテムですね。
それでも見て触って、着て見たら確実に物の良さがすぐ分かるというか、分からせるブランドですよ。こういう物つくりの姿勢はどのアイテムにも共通しているので、ハマる人にはどハマりすると思います。
僕はこの服見てるだけでお酒飲めます。
合わせるならどんなスタイリングがいいですかね。
基本はジャケパンスタイルがいいですけど、コーデュロイの太めのパンツに、エンジニアブーツみたいなごつっとしたブーツで、男らしく雑に着る感じもカッコいいかなと思います。
でも着方は人ぞれぞれで合わせてもハマってくれるのがこのトレンチのすごいとこなので、固定観念なく着てほしいですね。いやー着てほしい。もうオススメするところいっぱいあるんですよ。これ見ながら5杯ぐらい酒が飲めます(笑)
それぐらいの内容があるしかっこよさもある。あーもうかっこいいんです。
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あまりの熱の入りように、いつもの1.5倍速ぐらいで語る鶴田さん。それは多くの服を見てきたショップスタッフ=プロであっても、興奮させるほど上質なトレンチコートってこと。僕は規格外の肩幅をしてるので店頭のサイズは着れなかったのですが、来年はこのトレンチのMサイズを買うことを決意しました。
価格も価格だから、試着に対して若干敷居が高いと感じてしまうかもしれませんが、「見た目的にはカチッとしてますけど、そんなに力入れずに見るんじゃなくて〜」と鶴田さんも仰ってます。ぜひ気軽にご試着を!然るのち鶴田さんとS.E.H KELLYの良さを語ってgood vibes感じてみては。
LICLE(ライクル)
「人類は皆平等」をモットーとする鶴田さんがオーナーを務める千歳船橋のセレクトショップ。本人の持っているゆるさがそのままお店で過ごす時間につながる。癒しを求めるも良し、服を求めるも良し。セレクトブランドは、tim.・crepuscule・LIVING CONCEPT・S.E.H KELLY・ED ROBERT JUDSONなどのインポート、ドメスティックブランドをメンズ・レディース共に取り扱い。今後はまずストリート系に分類されるブランドを多く扱っていく予定。アメリカから直接仕入れた古着も店頭で販売。
Text.Akira Ono