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#スタイラー編集部の愛用品。不完全さが愛おしいMASAHIRO MARUYAMAの眼鏡。
「親の悪いところばかり遺伝する」のはどうやら正しい、と気づいたのが中学1年生の時。二次性徴を迎えるにあたり顔も声も一層父親に似てきて、ご多分にもれず思春期かつ反抗期全開なもんだったから、嫌いな父親に似た自分に対する嫌悪感がひどかったと記憶しています。鏡を見る度に自覚する不都合な遺伝を見ないようにするためか、二次性徴と同時に視力が1.3から0.05に急降下。どうやら目の悪さも遺伝してしまったようで、中1以来ずっと眼鏡をつけています。
それから毎年眼鏡を新調していたのですが、MASAHIRO MARUYAMAのこちらを買ってからというものぱったり買わなくなりました。「unfinished art..(未完成のアート作品)」をコンセプトに、完璧なラインや普遍的美学であるシンメトリーに対して疑問を投げかけ、一視力矯正器具をアートと呼べるレベルで造形しているブランドです。
手書きのラフデザインで必ず生まれる微妙なブレを、そのままリムやテンプルに落とし込むことでご覧のような歪なシルエットに。
蝶番やノースパッドのネジ止め部分は左右非対称な作りで、購入した眼鏡のセレショスタッフ曰く、「鯖江の職人ですら泣きそうになるほど大変なプロダクト」だそう。
思春期も落ち着き、自分の至らなさもなんだか許せてきたのか諦めがついたのか、自分と同じように歪なシルエットに愛着が湧いてきました。この眼鏡で自分をよく見せれるとは思わないけど、とりあえず裸眼よりは良く視えるようになります。
Text.Akira Ono