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【編集部】名作はなぜ名作と呼ばれるのか。greenのモッズコートから考えてみた。
Dior HOMMEのデストロイスキニー、NUMBER(N)INEのグランジパンツ、tenderloinのバッファロージャケット、Martin Margielaの八の字ジャケット…
古今東西、名作と呼ばれる服は枚挙に暇がありません。リリースから10年以上経った今もなお、オークションサイトではプレミアム価格で取引されているほど人を惹きつけてやまない服たちは、なぜ名作たり得るのか。今回はそんな名作のうちの一つ、greenのモッズコートから探ってみたいと思います。
力強い機能性と美。下支えするのは構築的なディテール
10〜20代の方には『green(グリーン)』はあまり聞き馴染みのないかと思いますが、同ブランドは現在adidasとのコラボなどで話題の『HYKE(ハイク)』のデザイナーが2009年まで運営していたブランドです。
そして、こちらがgreenのラストシーズンである、2009 SSシーズンに発売されたモッズコート。ライナーはないものの、フィッシュテールやロクヨンクロスのような張りのある生地など、モッズコートのスタンダート的な要素は抑えているかと。なぜこれが、今もなお名作として出回っているのか、秘密は肩周りと袖のパターンワークによる、ミリタリーらしからぬ綺麗なシルエットにあると思っています。
(袖を織り込んだ状態。純粋な肩幅がこれ。)
分かりやすくするために、肩幅だけ残して、袖は折り込んでみました。これで肩の実寸は40㎝。レディースのXLサイズです。でも僕の肩幅は、水泳をやってたので50センチ弱はある。小学生でも分かる計算を覆すのは、もう一つの秘密、袖のパターンワーク。
肩から袖にかけて3枚のパターンを用いることで、立体感が生まれています。肘には2箇所ダーツが入り、ソリッドな作りなのに動きやすさもある。モッズコートってミリタリー由来のアイテムだけに、袖周りのもたつきや野暮ったさがネックだったけど、ネックをブランドの技術とこだわりでここまでアップデートしたことで、名作として認知されるようになったのでは。
名作になりうる服。名作を見出す術
デザイン、作り方の真新しさだったり、時代の空気感とのマッチングだったり、結局市場が評価することで名作扱いされてる節があるけど、実は毎シーズン名作となりうる服はローンチされてるんです。情報過多ゆえに気づきにくいだけで、どのブランドも本気で作ってるし、バイヤーさんも本気で作られたものをお店に揃えてる。
ただどのアイテムが将来の名作になり得るか、自分で判断するのは至難の技なので、ここは多くの服を見てきたショップスタッフに聞いてみては。経験則に基づいた意見は、きっと買い物上手への近道になるはず。
Text.ライターA