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MBFWT day4:「伝統の踏襲と革新」はファッションの世界にもある。
Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 4日目の注目は、【Fashion Tech】対談にも登場した天津憂さんが手がける「Hanae Mori manuscrit」。何十年も続く老舗ブランドを若手デザイナーが引き継ぐことは海外ではよくあることだけど、日本のブランドではあまり見ないことでした。一つのブランドが短命に終わることが多い日本では、老舗ブランドによる若手デザイナーの起用自体が革新的なこと。
半年ごとに流行が変わっていくためトライアンドエラーがしやすい分、芯を持ちながらも時代の流れに沿うバランスを取るのが難しいファッションの世界。技術はもちろん、ブランドが築いてきたイメージや伝統を踏襲した上で、「今の時代」に必要とされる空気感をうまく取り入れてブランドをアップデートすることがいかに難しいか考えさせられます。
幾つかのトレンドキーワードが見えてきた折り返し地点、今回も独断と偏見で選んだショットで最新のコレクションをお届け!全身のルックはMBFWT公式サイトでご覧いただけます。
DRESSEDUNDRESSED(ドレスドアンドレスド)
寝ぼけ目をこすりながら始まりを待っていると目の前に現れたのは、ハッと覚めるような白。それとともに「abstracts(抽象的な)」を象徴するアイテムが最初のモデルの素肌に纏われて横切る。襟はジャケットのピークドラペルを踏襲しながらも、ウエスト部分を同素材の紐でギュッと閉めたガウンのような羽織りもの。その他シャツコートやジャケット、カットソーなど、様々なアイテムに落とし込まれた1パターンのチェック柄はもちろん、ベージュのトレンチコートを挿し色に挟みながら白から黒へグラデーションしていくランウェイが印象的でした。
DRESSCAMP(ドレスキャンプ)
朝に見てしまったナイトメア、というべきか、いつもずっしりと体に入り込むコレクションを披露してくれるDRESSCAMP。今年で13年目を迎えるベテランブランドらしい、貫禄のあるランウェイでした。首が埋もれるほど大きなリボンやハート型のヘア、全面に施されたスパンコールなど、華美な装飾に溢れた今回のテーマは「SWEET」。色のトーンや柄をレイヤードして遊ぶことでトゥーマッチな可愛さの中に毒を盛った危ういバランスに、心拍数も上がります。レディスでは“ラッフル”、メンズでは“柄のレイヤード”が16SSのトレンドキーワードに追加できそうな予感。
Hanae Mori manuscrit(ハナエモリ マニュスクリ)
冒頭でも紹介した天津憂さんが手がけるHanae Mori manuscritは透け感のあるドレスからスタート。これこそ老舗ブランドが見せる王道スタイルとも言わんばかりのショーは「五大湖」 をテーマにしたもの。雄大な自然、息づく動植物、そして自然と共存する都会を表現し、現代的に落とし込んだコレクションでした。また老舗ブランドとテクノロジーの融合として、今回はパナソニックとコラボレーションしたヘッドホンが登場。ソフトウェアだけでなく、ハードウェアまで広がりを見せる同ブランドの次の一手にも期待です。
DISCOVERED(ディスカバード)
「badass(強くて、かっこいい)」というスラングをテーマにコレクションを展開したDISCOVEREDはお得意のレイヤードスタイルを惜しげも無く披露。どこまでが重なっているのか、はたまた一枚で表現しているのか、境目が分からないルックはまるでこちらを試しているかのよう。テーマがスラングということもあり、いつもよりストリートな雰囲気が強め。会場に設置された連なる鏡に映し出されるモデルたちの表情はまさに「badass」でした。
CHRISTIAN DADA(クリスチャン ダダ)
ランウェイ奥のスクリーンに映し出された夜明けとともに、柔らかなタッチで開始されたピアノの伴奏。カットソーにプリントされた「NO LOVE LOST」という言葉が、ショーコンセプトである<恋人との日常>の始まりを暗示しています。そんな日常は洋服の色に合わせて移り変わり、黒からスカイブルーへ、スカイブルーから彩度が強いブルーへ、そして再び黒へ。歩く度に軽やかになびくプリーツや、刺繍や立体で表現された花から、女性らしさが色とともに変化していく様を感じることができました。
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Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2016 S/S 開幕!
Text.Yuya Iwasaki,Shunsuke Mizoguchi Text&Photo.Azu Satoh