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【先週のベストキックス】 adidasのSTAN SMITH RECON 〜vol.3〜
“3パーセントのアプローチ”
私事ですが、一番最近買った本のひとつが、ヴァージル・アブローのハーバード大学での講義録(「複雑なタイトルをここに」)。自身のオフホワイトのブレイクだけでなく、ルイヴィトンのデザイナーにも上り詰めた彼が、デザイン哲学を語った講義をまとめた一冊です。
中でも“3%のみ既存のものを編集する”という手法を、自ら種明かしするように聴衆に語っていた姿が、何とも印象的でした。思えば、オフホワイトとナイキのTHE TEN(ザ・テン)コレクションも、言ってしまえば、ほぼ原型から変わっていない。それにも関わらず、「欲しい!」とこちらに思わせるのは、やはり“デザインの妙”なのかとひとり納得した次第。
さて、前置きが長くなりましたが、本題はこちらです。題して「先週のベストキックス」。FACYで先週もっとも売れた一足を紹介する、新コーナーの第3弾です。FACYユーザーが支持したのも、どうやら「ただのスタンスミス」ではないようですよ。
際立つのは、レザーシューズとしての存在感
世界一売れたスニーカーとしても知られるスタンスミス。支持される理由は、やはりこれ以上差し引きする余地のない「デザインの完成度の高さにある」と言ってしまっていいでしょう。それでは、何がこの一足をちょっと特別なスタンスミスたらしめているのか。
まず、「ん、何か違うな」と思わせるのは素材使い。定番モデルはガラスレザーで張りのある素材を使用していますが、今作は最上級モデルの名に相応しく、滑らかなスムースレザーを採用。スニーカーのカテゴリーにとどまらず、「レザーシューズとしての存在感」を放つ面構えになっています。
見えない部分にもこだわりを
大人っぽさを加速させるディテールは他にも満載です。同モデルの顔とも言える、シュータン部分のスタンスミス氏のイラストは型押し仕様。「スタンスミスは好きだけど、パッと見でそう悟られたくない」なんて、ちょっと天の邪鬼な方には嬉しいアレンジです。
また、見えない部分にもこだわるのがこの一足。ライニングまでリアルレザーで統一することによって、高級感だけでなく、足の湿気を吸ってくれるメリットも期待できます。スペシャル感を盛り上げる、筆記体でプリントされたロゴもいい感じ。
唯一のアレンジポイントのさじ加減が秀逸
唯一、デザイン面でのアレンジで際立っているのが、ヒール部分のスクエア型のモノトーンのペイント。高級感のある素材使いとも相まって、モードな雰囲気すら漂うバックスタイルを演出します。
絶妙なさじ加減で、参照元の“スタンスミス”が持つスポーティさを払拭した一足。今まで「ベタすぎる」とスタンスミスを避けてきた方も、ぜひ手に取ってみるべきかと。もちろん、すでにお持ちの方もまた違う一足として楽しめると思いますよ。