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いま話題の「CCP」のマスクシャツ。高円寺Lampaの店主にZoomで質問。

新型コロナウイルスに端を発するマスク不足問題。そこに正々堂々、ファッションアイテムで切り込んだ〈CCP(シーシーピー)〉のマスクシャツがいま大人気。

3月下旬に発売され、完売→再生産を繰り返していることからもその人気ぶりが窺えるでしょう。

CCP/フィルタートップオーバーマスクシャツ(Lampa)

今回は、FACYのご意見番にして〈CCP〉をセレクトするお店のオーナー、さらに愛用者の一人でもある高円寺「Lampa」の遠山氏に直撃インタビュー。

取り扱いに至った経緯は? 使い勝手は? 着こなし方は? Zoomにて約1時間聞きました。その模様を画面を交えながらお届け。

※取材は4月下旬に敢行。あいにく現在(5月16日時点)は完売…。ご了承くださいませ。


最近の事情

左:Lampa遠山さん、右:FACY編集部おしゅん

開始(00:00:24)

Lampa遠山さん(以下、遠山):(パソコンのインカメと顔の高さを調整しながら)あ、この高さがいいかな。

FACY編集部(以下、編集部):バッチリですよ〜。

遠山:でも、背もたれがないんだよね、この椅子。

編集部:え。

遠山:壊しちゃったんだよね。

編集部:なんでまた。

遠山:無理な体勢で作業しちゃうからね。

編集部:長いこと使っているんですか?

遠山:お店始めた時からだからねぇ。それとここ、もともとはパソコンを置いて作業する場所としてしか作ってないからね。レジだけあって、そこに立って、って感じだった。だから狭く見えるでしょ?

編集部:……はい。

遠山:だよね。次にお店をやる時はもっと広くしてやろうと思っていて。

編集部:お、二店舗目をやる予定が?

遠山:それがないんだよね。

編集部:(笑)。新型コロナを受けて、どうです? 変わりました?

遠山:おれの場合、普段からそんなに用がある人じゃないからあまり変わっていないっちゃ変わっていない。ただ営業時間を短くしたから帰るのは早くなったかな。だから家族と過ごす時間が増えた。

編集部:着る服も変わらないですか?

遠山:そんなに変わらないね。ただ、子供がベルクロの靴を履いているからそこには気をつけるようにしてる。この前、〈thing fabrics〉のパイル地の服がベリッて持っていかれたから(笑)。

編集部:それはショックですね。

遠山:「な、なんだこれ!うわぁ、やっちゃった…」みたいな。…ってあれ、これライブで配信してるわけじゃないよね?

編集部:大丈夫です、ご安心ください。

遠山:あとで文字に起こすんだっけ。

編集部:そうですね。


「来季から納期が始まります」って。

(00:5:27)

 

編集部:最近、CCPをメディアでよく目にするようになりました。特に遠山さんがいま着ている「オーバーシャツ」。この前はテレビにも取材されたようです。

遠山:タイムリーなアイテムだからね。でも自分たちからはメディアにアプローチしていないって言ってた。

編集部:取り上げたいメディアも多いと思いますよ。

遠山:全部向こうからなんだって。あの人たちは自分から「取り上げてください!」みたいなことは絶対やらないからね。誰々に紹介されて一緒に飲んで…みたいなね。もうそういうのは良いって。

編集部:そういうやりとりが裏ではあるんですね。

遠山:ある。いろいろあるのよ(笑)。

編集部:これ、新型コロナのマスク需要を受けてCCPが緊急に作ったみたいですが、遠山が初めて見たのはいつですか?

遠山:20SSの展示会には出てたんだよ。

編集部:あれ、展示会って一般的には納期の半年前じゃないんですか?

遠山:あの人たちは違うんだよね。だいたい納期の2~3ヶ月前にやってる。

編集部:つまり、20SSの展示会が行われたのは…、今年?

遠山:今年も今年よ。たしか、一月だったかな。オーバーシャツに限っては「来月から納品が始まります」っていう感じ。これだけ早くあげるからオーダーするならすぐくれって。

編集部:まさに緊急ですね。オーバーシャツを見た時の第一印象はどうでしたか?

遠山:あの人たちらしいな〜、って。特におれはこういうものを見慣れているからそうなると思うけど。

編集部:やっぱり世の中のマスク需要にお店として応えるためにセレクトしたんですか?

遠山:それももちろんあるけど、単純に自分が着たいっていう理由が大きいかな。実際、かっこいいし。あとね、自分が花粉症ってのもある(笑)。

編集部:花粉症対策としても使えるんですよね。

遠山:うん。マスクはあまりつけたくないからね。そもそもあまりかっこいいものではないと思ってるのよ。だからこういうアイテムはありがたい。抵抗がないしね、むしろ身に付けたい。

編集部:ヒーローへの憧れがあるんですかね。日本のヒーローは口を隠すじゃないですか。反対にアメリカのヒーローは目を隠す傾向がある。

遠山:あ〜たしかに。おれは忍者派かな(笑)。

編集部:たしか以前のスナップでも…。

遠山:あれね(笑)。

編集部:懐かしいです。その節はありがとうございました(笑)。

CCPの通称ニンジャパーカーを着用する遠山さん(2018年撮影)

 

「ユーザー目線でしっかり作り込むから新しいデザインも生まれる」

(00:13:38)

編集部:実際の使い心地はどうですか?

遠山:うん、最高だね。実際の機能うんぬんもそうだけど、かっこいいから着るときにテンションが上がる。

編集部:LampaさんのECサイトでも「最高なアイテム」と書かれていましたね。

遠山:あ、書いた書いた。

LampaのECサイトにて遠山氏が書いた「オーバーシャツ」の説明文

 

編集部:「CCPならではの立体的なパターンメイキング」とも書かれていました。

遠山:口周りのダーツ使いが特徴なんだよね。ほら、マスクとかもつまんでるじゃない。

編集部:線が入ってるわけですね。

「ここね」(遠山氏)

遠山:そう。これでフィット感を向上させているわけ。でも、口元を単純にカーブさせて作ってるブランドも多い。ユーザー目線に立ってしっかり作り込むブランドってあまりないと思うな。だからこそ一般的にはないデザインも生まれる。

編集部:デザインの源は対象に没入することだと。

遠山:あの人たちは知り合いも多いし、身近にいる自転車に乗ってる人たちをすごい意識してると思う。

編集部:面白いですね。

遠山:過去には「20d(トゥエンティダーツ)」っていうパンツも作ってたからね。20箇所にダーツを入れて3Dシルエットのパンツで、どこから見てもキマって見えるっていう。まったく新しいよね。

編集部:変態的とも言えますね(笑)。

遠山氏が着用した様子。サイドから中央に向かってダーツが入っているのが確認できる(要拡大)。

首元にはドローコードが配されている。絞ることでフィッティングの調整が可能。遠山氏いわく、「絞っても全然苦しくない。ダーツによって空間が絶妙に空いているから。普通にマスクをしてる感じ」とのこと。

 

遠山:CCPの服全般に言えることはね、普通の工場はあまりやりたくないなと思う服を作ってるんだろうなって。だって、これなんて胸元に縦のポケットつけてるからね。

編集部:おお、隠しポケットみたいですね。

前身頃中央に配されたスリット。内側にはジップポケットを配している。

遠山:「なにこれ? どうなってんの? なんでこんなところにポケットつけてるの?」ってワクワクするデザインだよね。しかも、取ってつけたようなデザインじゃなく、しっかり意味がある。

編集部:というと?

遠山:この中にね、また一つポケットがあるんだよね。ちょうどスマホが入るサイズ感のものが。だから、ここに入れてもスマホが動かない。着心地も損なわない。面白いよね。

編集部:使ってみたくなるディテールですね。実際、遠山さんも使ってます?

遠山:いや、使っていない。普段、ケータイを持たないからね(笑)。

編集部:え。

遠山:ガラケーだし。もうそろそろスマホ買おうかと思ってんだけどね。

編集部:今すぐ買いましょう(笑)。

遠山:そうだよねぇ。3Gも終わっちゃうし。次は5Gでしょ?

 

「一年後も小っ恥ずかしくない」

(00:33:54)

編集部:実際、どうやって着てます? 未来的なデザインで、難しそうに見えるのですが。

遠山:襟が高いし、半袖っていうのが難しく感じさせる要因だよね。面積が狭いとそこにフォーカスしちゃうから、特徴的なデザインだと余計。あ、これ俺の考えね。

編集部:その意味でいくと、ブラックのロンTでぼかす方法もありですか?

遠山:うん、いいかもね。俺はグレーのロンT着ちゃってるけど。下はデニムで、気負わず。それぐらいのノリで着たほうがかっこいいかなって思う。

 

(遠山氏が提案するスタイルその1)

ハット(Expansion)、パンツ(Brena)、シューズ(SUICOKE)

 

(遠山氏が提案するスタイルその2)

キャップ(私物)、インナー(CCP)、パンツ(CCP)、シューズ(SUICOKE)

 

遠山:ただ、やっぱり慣れていない人は抵抗はあるかもね。わかる。でもまぁね…、なんでもそうだけど着てみないとね。失敗しないとやっぱり次のステップにいけないから。

編集部:なるほど。

遠山:失敗もその時の失敗であって、その時の自分がジャッジしてることだから。あとの自分から見たら似合ってたりすることもあるからね。

編集部:店頭で試着してて時間が経てば見慣れてくる現象に似てますね。

遠山:でもね、これは間違いないアイテムだと思う。いわゆるトレンドアイテムとは違って、一年後に着て「うわ、小っ恥ずかしいわ」とはならない。

編集部:確信があると。

遠山:あの人たちがよく聞いてる音楽ってテクノとかトランスなんだけど、ちゃんとソウルも詳しい。ただ単に電子音楽だけやってるだけじゃなくて、ソウルも知っている人たちがやってるテクノ。だからレトロな感じもある。バランスが取れてるんだよね。

編集部:バランスが取れているからこそ、一年後に着ても小っ恥ずかしくないと。

遠山:そう。誤解を恐れずに言えば、ファッションファッションしてる人たちが作ってるわけじゃないからね。もちろん知識はむちゃくちゃある。うちのブランドの中でも年齢的にも、キャリア的にも一番長いんじゃないかな。だから、ファッションでも勝負できる。できるんだけど、あえてそういうやり方をしてない。

編集部:いぶし銀的なブランドですね。

遠山:うん。しっかりユーザーのことを考えて値段も折り合いをつけてる感じもあるし。やっぱりデザインの力で勝負してる感がある。

編集部:昨年のアウターも、ミドル価格帯のブランドだと7〜8万円が多い中、5万円代でしたね。

遠山:でしょ? 他のブランドさんによく聞かれるけど値段を言うとやっぱりびっくりするからね。「え? これでそんなに安いんですか?」って。

編集部:それはLampaさんにとっても名誉ですね。

 

 

「あ、気が合うなー」

(00:52:12)

編集部:ちなみに、CCPは取り扱って何年ぐらいになるんですか?

遠山:10年ぐらいやってるとは思うんだけどね。

編集部:取り扱うきっかけはなんだったんですか?

遠山:知り合いのブランドの人が新しい卸先が決まったよって言ってて。名前を聞いたらちょうど気になってたお店だったの。で、実際に行ったらCCPが置いてあって、そこで初めて見て。「なんだこれ?すげーな!」って。すぐ電話したよね、「やりたいです」って。

編集部:その時見たアイテムはどんな感じのものだったんですか?

遠山:未来的というかなんというか。立体裁断が入っていたのは間違いない。

編集部:詳しくは見てないんですか?

遠山:いや、そこまで見てないね。パッと見だよ、パッと見。ガラス越しでね。

編集部:すごい…。当時って、今ほどアウトドアブランドとかスポーツブランドがファッションとして認識されていなかったと思うんですけど、やり始めた時と今とでお客さんの反応は変わりました?

遠山:だいぶ変わったとは思う。CCPでいえば、やっぱりタグに「cycling wear」と書いてあるから「自転車に乗らないんでいらないです」と言って拒否するお客さんもいた。「あ、いいです。ママチャリなんで」みたいな。でも「おれもママチャリだよ?!」ってね(笑)。

編集部:こっちはママチャリでも着てるんだぞと。

遠山:だって、関係ないでしょ! 別に動くっていうことに関してはそんなに変わらないじゃんって思う。

編集部:まぁたしかに…。

遠山:その反対に今は「ママチャリなんで」みたいなことは無くなったかな。ファッションっていう大きな括りの中に入ったんだと思う。ノースフェイスとかと並んでね、サイクリングもその仲間。

編集部:たしかに、今は何も抵抗なく街で着てますね。

遠山:おれはスケボーをやるんならスケボー用のウェア着たくないと思っちゃうから。

編集部:逆パターンですね。何を着るんですか。

遠山:スーツだね。

編集部:既成概念をぶち壊しますね。

遠山:ぶち壊したいね。なんかね、その通りに受けてるのが嫌なんだよね。そうじゃないだろうって、別の見方もあるだろうって。

編集部:サイクリングを背景とするCCPをセレクトするのもそういう意味があるんですね。

遠山:うん。そうしたことによって生まれる何かが面白いと思うんだよね。セレクトするってそういうことだろうし。だからCCPの人たちと話してると思うよね。「あ、気が合うなー」って。多分ね、どっちもひねくれてんだろうね(笑)。

 

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