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媚態、意気地、諦め。ワンポイントアイテムの「いき」の構造。
ゴテゴテした服装は粋じゃない。かといってその反対になりすぎては物足りない。その差し引きのバランスがその人のセンス。
そういえば、他国の言葉に置き換えられない「いき」を日本独特の感覚を表した言葉として、その構造はどうなっているのか?を示した著書が『「いき」の構造(九鬼周造)』だった。いわく、「媚態(色気)」が出過ぎないようにする「意気地」と「諦め」のバランスが大切。そしてそれが「いき」だと。
「意気地」と「諦め」はファッションでいうところの「引き算」。ただ引き算するのでなく、「媚態」を感じられるちょうどいい引き算が大事。その意味でコーディネートにワンポイントを加えてくれるアイテムは、粋なスタイルへ一歩近づくためのキーアイテム。その参考にどうぞ。
達観するデジタルウォッチ
“CASIO – カリキュレーター・ウォッチ 海外モデル ¥4,320円(tax inc.)”
リニアな時間軸に倣えば、Apple Watchをはじめとするスマートウォッチが最もナウいとされる時計。それに反して、この手の文字盤が前面に出たものは「ダサい」わけだけど、なんてことはない。これがファッション的には粋なのだ。「いき」を構成する要素でいうところのちょうど「諦め」を担う『CASIO(カシオ)』のカリキュレーター・ウォッチは、綺麗な格好でこそ際立つ。時計で防水なんてほぼ当たり前(のはず)の時代にあって、防水機能を表すWR(Water Resist)の文字がかわいく見えてくる。女性のカジュアルスタイルにも評判との、噂。
自然な色気のアイウェア
“ブルーナボイン – BRAINS No.2 ¥32,400(tax inc.)”
純粋な“丸”メガネが急激に街に溢れ、そろそろカラーレンズも落ち着いてきた頃。次なるデザインのアイウェアが求められる頃合いに登場してくれたのが『ブルーナボイン』のBRAINS No.2。前述した丸メガネを踏襲しながらも、アンティーク市場で最も注目を集めているクラウンパント型(フレーム上部が直線)を採用した一品は、さりげなくナウい。そして、飾り鋲に配されたのはコウモリ。その選択がニクい。自然体でありながら「色気」を感じるデザイン一つで粋なスタイルの完成だ。
本気のチープなキャップ
“COOPERS TOWN – 6 PANELS BASEBALL CAP ¥6,264円(tax inc.)”
世の中にはかっこいいロゴが配されたかっこいいキャップが山ほどあるわけだけど、コーディネートに落とし込んだからといってそのままかっこよくなるわけではない。かっこいいコーディネートにはその反対が時には必要。『COOPERS TOWN(クーパーズ タウン)』の6パネルのベースボールキャップは、そのチープな雰囲気のワンポイントでかっこいい洋服と対峙してくれる。あえて刺繍にしているから本気だ。これで粋の均衡はユニークで保たれる。
白だけど白じゃない
“REEBOK – CLUB C 85 TG ¥12,960(tax inc.)”
中学生の時に学校に履いて行っていたエアーフォースの白、高校の時に履いていたスタンスミスの白と、これまでも足元の定番といったら白のスニーカーだったけど、粋なスタイルの始まりとなる白も持っておきたい。『Reebok(リーボック)』のCLUB C 85 TGは時々一緒に脇道に逸れてくれるスニーカー。スタンスミスと出自が一緒のテニスだけど、聞かなければ分からないさりげなさが良い。同じ白の土俵で「媚態」を飾るのはこのスニーカーしかない。