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ようやく見つけた「新しいデニム」。こだわる大人も満足する、Euphonica自慢の一本
「持っておくと便利なデニムで色は濃い方が良いです。長く使いたいです(shotaさん / 男性)」
ジーンズの原点といえば、リーバイス。あまりにも501の完成度が高いゆえ、数多あるジーンズがその模倣になってしまうのは仕方がない。とはいえ、デニム好きとしてはそれ以外のジーンズも見てみたいと思うもの。
そもそも労働者のためのパンツという色が濃いジーンズですが、より紳士服に近い、テーラー寄りのジーンズがあるとすればおもしろいと思いませんか? ワークの要素は、子供っぽい印象にもつながりやすいため、テーラー感が増すなら大人っぽさも期待できる。
薦めてくれたのは、商品の背景まで語れる深い知識にファンが多い横浜『Euphonica』の井本氏。事実、同氏もグッとくるアイテムが見つからず、しばらくジーンズ自体の取り扱いをしていなかったんだとか。そんな井本氏をも唸らせた一本があると訊けば、見ないわけには行きません。ぜひお付き合いのほどを。
20世紀初頭のテーラーがジーンズを仕立てたら
「もし20世紀初頭のテーラーがジーンズを仕立てたとしたら、どんな一本ができるのか」 そんなユニークなコンセプトから始まったのが、『ORGUEIIL』のジーンズ。ほぼ妄想にも近いと言えるコンセプトを実際に形にしてしまったのだから恐れ入ります。
20世紀初頭の欧州に実在「しなかった」架空の仕立て職人であるエルムウッド氏。その彼が営むお店の屋号が『ORGUEIIL』とのこと。男はこんな細かい舞台設定にもグッとくるものです。さすがわかっていらっしゃる。
脚のラインは腿の幅がやや細く、テーパードがほぼかからないストレートシルエット。ワイドでもスキニーでもなく、ましてやテーパードでもない、これが意外と今見つからないと同氏は語ります。汎用性が高いので、大人が穿いても無理して頑張った感が出ません。
ジーンズというより往年のトラウザーズのよう
曲線的な前開きの形状が、テーラーで仕立てられた雰囲気を盛り上げます。ボタンは通常のジーンズでよく用いられるメタルボタンを使用せず、ナットの殻を削り出したボタンを採用。こんな工夫によって、ジーンズ特有のワーク感をほどよく軽減。ジーンズを敬遠しがちな方にもオススメできる所以です。
ちなみに細かいですが、ボタンの糸の通し方もそれぞれのボタンで変えている手の凝りよう。これは箇所によって掛かる負荷が違うがゆえ。通常のボタンフライと比べて強度が不安、なんて心配もいりません。
静かに主張するバックポケット
コロンとしたカタチがかわいいバックポケットは、各ブランドならではの主張を入れがちなステッチを省いてシンプルに。打ち抜きリベットがささやかに主張するのみです。大人としては、このくらいの塩梅が使いやすい。
さらに注目なのは、ステッチのピッチの幅が細かく、カラーもよくあるオレンジやイエローではなく、落ち着いたグレーベージュのカラーを採用している点。たかがステッチといえど、全体の印象を左右する大事な要素。このステッチのおかげで、いつものジーンズより俄然大人っぽい印象になるんです。
奥行きのある色落ちを実現するピュアインディゴ
生地はジンバブエコットンを用いた13オンスのセルヴィッジデニム。つまり耳付き。デニム好きならやっぱり惹かれてしまいます。
ピュアインディゴでしっかりと染められ、時間をかけて奥行きのある色落ちを楽しめます。白い部分がやや茶色がかっており、真っ青にならないのもこの生地の特徴。
井本氏が経年変化のサンプルとして、実際半年ほど穿きこんでくれました。左が同氏の私物、右が新品。洗濯回数は比較的頻繁にしたとのこと。色落ちはしますが、あまり変わらないというのが正直な感想だそう。
「それほどまでにピュアインディゴの染めが深いということです。見た目の変化は少なくとも、手触りはとても柔らかくなり、穿きこむごとに着心地が増していきます」
これは従来のデニムの色落ちの早さに不満があった方にもうれしいポイント。また色落ちはゆっくりと言えども、穿きこんで自分のものになっていく楽しさは、やはりデニムのジーンズならではとも言えます。今までのジーンズがしっくりこなかった方はぜひ試してみる価値ありです。
気になる点はFACYで「Euphonica」の井本氏にぶつけてみましょう。丁寧に答えてくれますよ。