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#スタイラー編集部の愛用品。フラッシュバックさせる、OLD PHIGVELのキャスケット。
ファッションでは欠かせないのに。
帽子はきまって被らない。小学生の時に、「熱中症対策だから」「防寒対策だから」と親に言われてキャップや二ット帽を被ったことぐらい。自分で服装を選ぶ歳になってからも、頭に被るものといったら原付きに乗る時のヘルメット。僕にとって◯◯対策という意味合いが強いぶん、ファッションとしてまるで縁がなかったのが帽子というアイテムです。
でも一方で、帽子はトレンドとして名乗りをあげないものの、ファッションシーンにおいて欠かせないアイテムであるだけに、どこかもどかしく思う自分もいたわけです。
そんな中ゆらゆらと下町 十条を歩いていたら、まさかまさかの古着屋を発見。試しに入ってみると、店主が「今、閉店セール中なんですよ。」と一言目から右ストレートのような言葉を浴びせてきます。閉店…。素直に喜べず、いたたまれない気持ちを抱えながらも店内を物色。
そこで僕にとって一際輝いて見えたのが、こちらのキャスケット。気嫌いしていた帽子がなぜか一番良く見えた。もどかしさの原因は、ただ欲しい物に巡りあえていなかったと、そこで確信しました。
驚くべきは、ブランド。『PHIGVEL(フィグベル)』だったんです。そしてあまり大声では言いづらいのですが、お値段は1,500円。我ながらお買い物上手。ヨーロピアンな面構えといい、スベリがレザーといい、ブランドの堅実さが垣間見えます。被っていく中で気づいたのは、アイテム単体で2通りの表情を出してくれるんですよね。「ニューシネマパラダイス」のあの子供のように正当に被ってもいい、つばを後ろにしてベレー帽っぽく被ってもいい。今では週に2、3回で登場してくる一軍メンバーです。
帽子へのもどかしさは晴れたけど、気になるのは、あの古着屋の店主。今ごろ何をしているだろうか…あぁもどかしい…。
Text.Syun Saito