FASHION
【 Interview -ファッション業界で働く- 】CONTE-NU ディレクター 渡邊咲
ファッション好きなら一度は覗いてみたい、ファッション業界。【 Interview -ファッション業界で働く- 】はファッション業界で働く方々に、ファッションに目覚めたきっかけや今の仕事に就いた経緯、お仕事の魅力などを伺うインタビュー連載です。第2回はCONTE-NU ディレクター 渡邊咲さんに登場していただきます。
原宿の喧騒から少し離れた千駄ヶ谷。ファッション関係の事務所が多いこの地域に店を構える「CONTE-NU」は、シンプルな中にどこか個性が光るアイテムが揃うセレクトショップ。ストリートの遊び心を忘れていない大人たちに向けたプロダクトを国内外からセレクト。メンズを中心に、エッジの効いたレディースブランドや海外から買い付けてきたアンティークジュエリーなども並びます。
ディレクター兼店長の渡邊さんは、日々店頭に立ちながらバイイングや店のディレクションも手がけています。以前は化粧品関係の仕事に就き、広報や輸出などの業務を行っていたそう。ダンス関係の事業を展開するオーナーと二人三脚で昨年7月、クリーンな店構えの小さなセレクトショップをオープンさせました。
Interview
— もともとダンスの事業をやられていたそうですが、なぜアパレルのセレクトショップをオープンさせようと思ったのですか?
「CONTE-NU」を運営している有限会社ワークルは、渋谷、原宿、代々木等を中心にダンススペースや音楽レーベルなどを運営していて、ストリートダンスカルチャーの中でやってきた会社です。私自身もダンスのコミュニティで活動していた経験がありますが、この業界は範囲が限られた世界だと感じることもあり、他のジャンルと交われるような事業をやりたいと思っていました。
ステージ上で何を着てどう表現するかなど、ファッションとダンスはとても密接な関係にあります。私もオーナーも洋服好きだったこともあり、何か新しいことをやろうと話していた時、アパレルのセレクトショップを開くことを決めました。
— セレクトショップをやろうと決めてから昨年7月のオープンまで、どれくらいの期間があったんですか?
オープンまでの準備期間は本当に短かったです。去年の3月くらいにやろうとなって、物件を借りたのが5月。物件を探し始めてちょうど良いタイミングでここを見つけました。家がこの辺なんですけど、たまたまこの物件が空いていたんです。
— 決めてからたったの4か月!準備期間があまりない中で、どうやってブランドを集めたんですか?もともとはダンス業界にいたということで、アパレル関係にどうやってつながりを持ったのでしょうか?
やるんだったら自分達が面白いと思うもの、あまり他に置いてないようなものを置きたいと思っていました。単純なTシャツとかなんですけど、ブルックリンのハウス系レーベル「Mister Saturday Night(ミスターサタデーナイト)」、ドイツ・ハンブルグのレーベル「SMALLVILLE(スモールヴィレ)」といった海外の音楽レーベルが出しているアパレル商品など、前から面白いなと思っていたものをまず仕入れました。もともと知っていた関係で集まったものもあれば、前からファンだったところとか全然繋がってないブランドにアタックしたり、飛び込みで営業したところもあります。
— 音楽レーベルのアパレル商品の取り扱いは、音楽と密接な関係にあるCONTE-NUならではですね。他では扱っていないものを見つけてくる情報はどこから得ていますか?
例えばうちで扱っている時計のブランドなんですけど、前に一度海外のセレクトショップで見かけていいなと思っていて、「うちの店に置きたい!」と直接アタックしました。そこで、こんなブランドもどうですかと紹介してもらって新たな出会いがあったりする。こうして出会いが連鎖していくことが多いですね。
— ディレクターという肩書きですが、具体的な仕事内容を教えてください。
スタッフとして毎日店頭に立っていますが、展示会の時期になったらバイイング業務も担当して、買い付けも行っています。前職ではナチュラルコスメの広報や仕入れをしていたんですけど、アパレルのバイイングは初めて。限られた予算の中では取捨選択が必要で、良いと思ったものを全て仕入れられる訳ではないので、頭を悩ますことはありますよね。
接客、バイイング、どちらもやっていて良かったなと思います。自分がいいなと思って仕入れたものが、ふらっとやってきたお客さんに気に入ってもらえて購入に至った時なんかは、本当に嬉しいです。
— 渡邊さんが考える自流ファッション論は?
全体的にガチャガチャにならないように気をつけています。ファッションはジャンルを問わず良いと思ったものが好きなので、色があるのも好きなんですけど、自分のファッションに取り入れる時はその欲を抑えています。
服そのものでもコーディネートのバランスでも「シンプルだけどエッジが効いている」ことに憧れます。
着込んでおしゃれしてます!感が出ているファッションも見るのは好きだけど、自分にはできないなと。童顔なので盛り込みすぎると子供っぽくなっちゃうんです。昔は金髪にしたり色々遊んでいましたけどね(笑)
— シンプルかつエッジィってなかなか難しいですよね。バランスをとるために全体で気をつけているポイントはありますか?何か参考にしている情報源やアイコンなどがあれば教えてください。
アクセサリーを必ず入れます。シンプルな格好の中にキラっとした輝きがあれば、女性らしさが出ますよね。コーディネートの中で女性らしさは大事です。
情報収集はいろんなジャンルの雑誌やSNSを満遍なくチェックしています。意外に近くにいる友達がおしゃれだったりするので、友人の着こなしも参考にしているかな。雑誌とかよりもリアルにその人自身の魅力の引き出し方を感じることができるので。
— これから仕事、プライベートで目標にしていることは?
まずはお店を盛り上げていくこと。ブランドは星の数ほどあるし、世界中で新しいことは常に起きているから、現状に満足せず自分たちの感性に沿った面白いブランドやカルチャーを発信していきたいです。それがお店の盛り上がりにもつながっていけばいいな。
私達はもともとダンス界隈の世界にいたので、ダンスカルチャーがかっこいいんだってことを発信できればいいなと思います。ダンサーって「いまだにダボダボなんですか」みたいな、オシャレなんだけど流行には合ってないよね、というイメージを持たれるので、そこを私たちが扱うブランド、そのブランドが発信する文化的背景を通してカッコ良いイメージに変えていきたい。
元からやっているダンススペースと一緒にいつかイベントなどもお店を巻き込んでやっていきたいなと思いますが、当面はバイイングに力を入れて、まだ世に出ていない面白いものをたくさん見つけていきたい。今に一生懸命で先のことよりも、とにかく突っ走っている感じです。
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Text. Azu Satoh