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FASHION

【 Interview -ファッション業界で働く- 】パリ・服飾学生 Natsuko Takato

ファッション好きなら一度は覗いてみたいファッション業界。【 Interview -ファッション業界で働く- 】はファッション業界で働く方々に、ファッションに目覚めたきっかけや今の仕事に就いた経緯、お仕事の魅力などを伺うインタビュー連載です。第5回は番外編。パリの名門服飾学校 Ecole de la Chambre Syndicale de la Couture Parisienne の学生、高遠 菜都子さんに登場していただきます。

現在、Ecole de la Chambre Syndicale de la Couture Parisienne(エコール・ドゥ・ラ・シャンブル・サンディカル・ドゥ・ラ・クチュール・パリジェンヌ)、通称・サンディカの4年に在籍する菜都子さん。サンディカはISSEY MIYAKEの三宅一生、YVES SAINT LAURENTのイヴ・サンローランなど、誰もが知っているデザイナーを多く輩出している名門校。間も無く始まる卒業制作に備え、今はインスピレーションをかき集めている最中だそう。日本から遠く離れたパリで夢に向かって突き進むんでいる彼女に、あまり知られていない海外の服飾学校の実情や進路について伺いました。

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Interview

— まずはじめに、ファッションに興味を持ったきっかけを教えてください。

二番目にやりたいことがファッションだったからです。一番は医者。小さい頃から医者になりたかったのですが、決められた答えに向かってただ知識を詰め込んでいく受験のシステムに嫌気がさして、まったく違う分野に行こうと思ったんです。ある時、64歳で新人医師になった女性のドキュメンタリーを見て「本当にやりたいことを叶えるのに年齢なんて関係ない、本当にやりたいんだったら思い立った時にやれば良い」と思い、医者になろうという思いは消えました。

じゃあ何をしたいかと考えたら、まずファッションが頭に浮かんだ。小さい頃から家族と一緒に美術館に行っていたし、感性を刺激するものを見るのが好きでした。色が好きなのも大きいかもしれません。今まで学んだことのない、周りの人も口出しできないような未知の分野に挑戦したくて、ファッションの道を歩み始めました。

— 随分と思い切った舵取りですね。なぜ今ここにいるのか、なんとなくわかる気がします。ファッションを学ぶ場としてまず選んだのは?

二番目だってやるからには極めようと思い、服飾を学べる日本の一般大学に入りました。そこには一年間在籍したのですが、受験の時にも感じた「答えありきの教育」に違和感を覚えて中退。その後、販売員として様々な価格帯、客層の店を経験するうちに、服作りそのものに興味が出てきました。そしてある日起きたとき、唐突にフランス行きを決意。

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— とんでもない振り切り方!漠然としたファッションへの興味が服作りへ向いたのは、販売員として現場の空気や消費者の行動・欲望を体感したからなんですね。思い立ってから渡仏までの期間は?すぐに今の学校で学び始めたのですか?

日本でフランス語入門コースに三か月間通って、自分でビザを手配。決意から半年ほどで渡仏しました。語学学校に半年間通ったのち、Studio Berçot(ステュディオ ベルソー)へ入学。ここはデッサンや美的感覚を研ぎ澄ますことに重きをおく学校だったので、授業も少なく、自由な時間で美術館に行ったり友人とクラブへ出かけたり、インスピレーションの集め方と表現の仕方を学べた気がします。

2年間フルで通った後、「ERES(エレス)」というランジェリーと水着のブランドで半年間インターンを経験。アートディレクターのすぐ下で働けたことは大きかったです。そのあとソニアリキエルの刺繍部門でインターンをしました。でもインターンを通して、今後自分がデザイナーとしてやっていく時にアイデアだけではなくそれを形にするテクニックの必要性を感じて、もう一度学ぶ環境に身を置こうと思いサンディカへ入学しました。

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— 多くの場合、雑務ばかりやらされる日本とは違って、フランスではインターンでも実務を任せてもらえるんですね。そこで感じたのが、技術と創造性のバランスが重要だということ。次のステージ、サンディカではどのようなことを学んでいますか?

サンディカでは講師に現役のデザイナーやモデリスト(パタンナー)などもいるので、ファッション業界の生の感覚を分けてもらう機会がたくさんあります。外部から講師を招いて開くカンファレンスもとても刺激的。例えばmiu miuのマーケティング担当者による経営戦略の講義やボン・マルシェ(フランスの老舗百貨店)のアートディレクターによるMD(マーチャンダイジング)の講義など、デザインやアイデアを売る側の人たちによる講義がたくさんあるので、デザインの方法や技術だけでなくビジネスの側面まで全般的に学ぶことができます。

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これは昨年の12月、クロエでクリエイティブディレクターを務めていたこともあるMartin Sitbonによるワークショップの時に出した課題です。「スポーツとフェミニン」というキーワードだけで自由に制作するというもの。私は「ローラースケートガール」をテーマに1週間で仕上げました。こうしたワークショップや課題もたくさんあります。その度に率直な意見やアドバイスをもらえるので、心が折れそうになることもあるけども、日々自分の糧になっています。

— 課題に追われるのはどの国でも同じなんですね。逆に、実際にフランスで学んでみて、日本との違いを感じたことはありますか?

フランス人はファッションに対して教養・理解があるということ。もともとファッションは西洋由来のものだから、彼らは歴史にとても強いんですよね。イメージを見せた時に「それは70年代のサンローランだね」とぱっと出てくる。小さい頃から美術館に行くことにも抵抗がないし、アートに慣れ親しんでいる。ファッションの文化的位置付けがフランスと日本では全く異なっているんです。ファッションに興味を持つ原体験があるかないかという意味で、決定的な違いを感じました。

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2か月半かけて制作したテーラードの課題

— 確かに、ファッションに対する好奇心を掻き立てるきっかけって、日本だとあまりないのかも。今は学生がファッションに夢を抱かないと言われているけども、それは現場を経験したり知る機会が少ないことも原因なんじゃないかなと思います。日本だとコレクションシーズンになるとフィッターやアトリエのお手伝いなど、現場を経験できる服飾学生向けのインターン募集がありますが、パリコレの時期もそうした募集はあるのですか?

サンディカはファッションウィークさえも参加できないくらい授業が忙しいからなかなかできないけど、ベルソーなどはファッションウィークの時期になると募集の紙が廊下に張り出されています。一流のスタッフの中、緊張感のある現場に入ることは好奇心と向上心を持続させる良い経験だと思います。

私はソニアリキエルのインターンが終わってサンディカに入る前、あるブランドのアトリエでショー直前のお直し作業を手伝いました。お直し作業というのはスタイリストやデザイナーの指示によって、ショーのルックを完成させるためアイテムに変更を加える重要な作業。ベルトの色変えたり、ボリューム足したり、大幅なカットをしたり。服をまるまる作ってと言われたことも(笑)ショーは瞬間で魅せるものなので、納得のいくルックが完成するまでどんどん変わっていく。実際にパリコレブランドと関われる貴重な機会なので、毎シーズンどんなに忙しくてもショーの前にはアトリエに顔を出すようにしています。

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モロッコのベルベル民族(Maroc-Les Berbères)をテーマにした3年次の最終課題
model:aya courvoisier / hair & make:Akemi Kishida / photo:Natsuko TAKATO

—優雅に見えるファッションショーも、舞台裏は壮絶なのですね…!さて終盤です。菜都子さんが考える自流ファッション論を教えてください。

まずは自分の体格の変化に服装を合わせることかな。むくんでる日と普通の日じゃ服の見え方が全然違うでしょう?服が一番綺麗に見えて、自分も心地良く着られるものを、コンディションに合わせて選んでいます。

服によって人に与える印象は違うし、場所によって求められる格好や視線も異なってくるから、ファッションって面白い。だから毎日着替える楽しみがあるんですよね。その時の気分で、誰も真似しなさそうな服を着る。あれが菜都子のスタイルねって言われるのが最大級の褒め言葉かも。

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2年次の作品 手編みニット
model:Aya Courvoisier / hair & make up:Rico / photo & styling:Natsuko TAKATO

— ところでずっと気になっていたんですけど、指輪がかわいい!

これ、実はフランスに行こうと決めたきっかけ。Martin Margiela(マルタン・マルジェラ)の鍵を丸めたような指輪。これをもらった時に初めてマルジェラの存在を知って、留学先は彼と縁のあるフランスにしようと思ったんです。初心に戻れるから肌身離さず身に着けています。

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— 素敵なストーリーですね。きっと未来を開く鍵なんでしょう。では最後に、今後の目標を教えてください。

自分のアトリエを開くこと。自分が作業できる場所、発表する場所を作ることが目標。卒業後はメゾンで経験を積むことも考えているけど、早いうちに自分のブランドを立ち上げたいと思っています。できることならフランスにいたい。こっちにいる方がJe me sens bienだから(笑)ファッションを、服を着ることを楽しめて、自分がナチュラルでいられるこの国でまずは頑張っていきたいです。

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Text. Azu Satoh

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