FASHION
香港で見たファッション。週末弾丸トリップの話《水曜のケセラセラ》
こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》第10回目。前回はお仕事で愛用しているアイテムを紹介しました。今回は3月のパリに続いて旅のお話。先日弾丸で行ってきた香港で感じたファッションのあれこれをだらだら綴っていきます。
華金を満喫する人々を足早に追い越し向かうは成田。人生初のアジア旅行に若干怯えながらも、4時間のフライトであっという間に香港に上陸。気温32度。日本ではあと1ヶ月ほどで感じるであろう蒸し暑さに包まれながら、新開拓の地に胸を弾ませる深夜2時。この後、数々の試練が待ち受けていることもつゆ知らず…(試練の話はカット)
香港ガールズは日本女子と似ている?
世界の中でもおしゃれに対して貪欲で敏感と言われている日本の女の子たち。果たして本当にそうなのか?と疑問だったのですが、どうやら本当らしい。安く、可愛くおしゃれを楽しむことに関しては世界の女の子たちのお手本になるほど、日本女子のファッション偏差値の高さは群を抜いているようです。それを証明するかのように、日本のファッショントレンドやブランドも多く見かけました。ファッションビルに入っているようなトレンドブランドから独自のデザインを貫くハイエンドなブランドまで、着々と日本のファッションは世界へ進出しているみたいです。
香港ガールズ達もファッション誌で情報収集。香港中にあるセブンイレブンに並ぶ雑誌の中にも日本のファッション誌がありました。街中を見渡すと確かに日本の若い女の子たちと同じような格好(今言えるのか微妙だけど青文字系ファッション)をした女の子達を見かけます。
中環(セントラル)付近には観光客や地元の若者と思われるアジア人が多く、ファストファッションなどで程よくトレンドを取り入れたカジュアルな装い(やはりオフショルダーはこちらでも多数目撃!)。
深夜に尖沙咀(チムサーチョイ)エリアのナイトスポットであるナッツフォードテラスに出向いたところ、夜遊び帰りの若者たちに遭遇。イケイケ女子たちの格好も、どこか渋谷ギャルズっぽい感じでした。ブランドで全身固めているような格好をしている人は少なめ。
若手クリエイター発信の場 「PMQ」
若手クリエイターが集まると噂のスポット「PMQ」へ。香港島の中心地・中環(セントラル)から少し歩いた坂の上に現れるおしゃれな建物、実は1951年に建てられた元警察宿舎です。長年廃墟だったこの建物は2014年に改装を終え、香港ファッション・カルチャー最先端の地として再出発を遂げました。
真っ白な壁に映えるターキッシュブルーのアクセントがPMQのトレードマーク。元は宿舎の一室だった空間をそのままショップとして利用しています。コの字型の建物は対岸を見渡してみると、まるで学校の文化祭に来ているような雰囲気に。
入居しているショップは100以上。若手ファッションブランドの店舗やギャラリーを併設したカフェ、フード系の本専門のライブラリースペースやハイセンスなレストランなど、衣食住の刺激的な情報がぎゅっと凝縮された空間になっています。
かなりの部屋数があるのでじっくりと回るには2時間ほど必要。日本にはまだ入ってきていない香港、他アジアの若手クリエイターのアイテムを発掘するにはぴったりの場所です。疲れたら空中庭園で休むのもアリ。
香港セレクトショップ巡り
ハイエンドなファッション事情も観察すべく香港の老舗高級セレクトショップ Lane Crawford(レーンクロフォード)へ。高級セレショとなるとブランドが限られてくるのでラインナップにあまり差はないのだけど、日本になくて香港にあるのは若手ラグジュアリーブランド。
Maticevski や ROSIE ASSOULIN、ISA ARFEN、DELPOZO など、日本ではなかなかお目にかかれないブランドを拝むことができます。確かに装飾性やお値段(だいたい10万超える)を考えるとパーティーシーンが少ない日本では着る機会がなさそうなものばかりだけど、生で見て触るという体験は何にも代えがたい。こういった日本で手に入りづらいブランドこそファッションレンタルサービスで借りれると良いのだけどなぁ。
sacai や toga、FACETASMなど、世界で注目されている日本ブランドもがっつり展開されていました。Lane Crawford ではブランドごとにラックを分けて展開していたのですが、ジャパニーズブランドで集められているのは、嬉しいような複雑なような。ただ、単なるラグジュアリーではない、他とは混じらない、というのが日本ブランドの良さなのでもあります。
I.T は日本でいうと CANDY / Sister のようなエッジィなブランドが集うセレクトショップ。HYKE や muveil など日本でも人気のブランドから Ujoh と言った若手ブランドまで、日本ブランドの品揃えがかなり豊富です。
気になったのがショウウィンドウ下の(支)というマーク。これは ALIPAY という中国最大規模のオンライン決済サービスを使える証です。ALIPAY を使うとネット上での支払いはもちろん、あらかじめ自分の口座にチャージしておけばリアル店舗でもスマホで簡単決済が可能。しかし1着2万円はくだらない洋服をスマホで楽々決済なんて、日本ではあまりない感覚。Suica に1万円入っているだけで大金を持ち歩いている気がしてしまうのに….
最後は高級セレクトショップ JOYCE へ。Lane Crawfordが伊勢丹だとしたら、JOYCE は日本の RESTIR でしょうか。メゾンキツネのイメージビジュアルを撮ったことでも話題の中国人フォトグラファー REN HANG( @renhangrenhang )のインスタレーションが行われていました。
「ラグジュアリーとは何か」という話を昔しましたが、これだけミドル〜ハイのラグジュアリーブランドが売られている中、街中で着ている人はもちろん見かけず。聞いたところによると、これらのブランドは中国本土の富裕層が主に買っていくのだとか。あまりイメージはなかったのだけど、西洋的なパーティー文化も日本より盛んだそうで、日本では派手すぎて売れないコレクションピースが中国ではごっそり売れていく、と日本人デザイナーさんがおっしゃっていました。しかも、着る用ではなく文字通りコレクション用として買う人も多いらしい。
結論、私にとっての日常は誰かにとってのラグジュアリーで、私にとってのラグジュアリーは誰かにとっての日常なのだなぁ、と謎に世界の広さを痛感したのでありました。
おまけに…香港(珍)百景
と、言うほどでもない、日常の光景なのですが、見慣れない風景というものは「ぎょ!」っとするまさしく珍百景。初香港で目撃した名物光景をお届けします。
竹。バンブー。ばん…?鉄骨ではありません。工事の足場がバンブー is so デンジャラス。香港名物・竹の足場だそうです。危なっかしいけど美しい。(下に、留め具のゴムが落ちているよ…)
街中突然セクシーダンディー。 そうだよね、気温30度超えだもんね。半裸くらいなっちゃうよね。それにしても脱ぎっぷりがいいです、おじさまたち。水辺でもないのに上半身裸の男性をこんなに見ることができるとは。ありがたくはない。
「現代のニュー・ルック!」編集長はそう叫びました。荷物を運んでいるおばさま、竹笠がお似合いでかっこいい。しかしこんなに大きな段ボールを抱えることができるなんて、おばさま強し。
以上、だらだら香港旅行記でした。ヨーロッパに行きすぎてスノッブ街道まっしぐらだったけど、アジアも刺激的で楽しい。今回は弾丸すぎたので、次はゆっくりディープスポットを巡りたいなと思います。そして、現実へ….
Text. Azu Satoh