FASHION
「幸せ?」と問いかけてくるクリスマスの話《水曜のケセラセラ》
こんにちは、ROBE編集長のAzuです。気まぐれ連載《水曜のケセラセラ》も気づけば第25回目。前回は自分で服の型紙を組み立ててみた話です。今回はLAST CHRISTMASを脳内BGMに海外クリスマスの様子を楽しんでいただきつつ、クリスマスにまつわる重〜いお話をしましょう。
クリスマスは好きだけど嫌いです。キラキラの街並み、大好きなチキン、あったかいココア、色とりどりのオーナメント、どれを取っても好きな要素ばかりのクリスマス。でも、どこか心に引っかかる、寂しいとも悲しいとも言えない感情が押し寄せてくるのもこの季節なのです。
一緒に遊んでくれる友達もいるし、恋人だっている時はいるし、家族と一緒にチキンの丸焼きを作ったり、なんだかんだ毎年楽しんでいるはずなのに。
ついこの前まで紅葉で彩られていた並木路がまばゆいイルミネーションで飾られた瞬間、その声は聞こえてきます。
「いま、幸せ?」
真っ暗闇の中、急にスポットライトで照らされたように不意を突いて襲ってくる焦燥感。幸せだよ!大丈夫だよ!と大声で叫んでも観衆のヤジでかき消される自信のない意志。
街のどこを切り取ってもドラマのワンシーンのように見えてしまうクリスマスの魔法は、否が応でも私たちを舞台に上げてしまいます。
そっとしておいてほしいのに「人生は光で満ち溢れているんだ!」というちょっぴりうるさい演出に圧迫されて、どこからともなく「この光の中では幸せでいなければならない」という強迫観念が生まれてくるのです。
《本当にいま、幸せなんだろうか。幸せなふりをしているだけなんじゃないか》
毎年この時期になると自問自答を繰り返しています。ちなみに去年はクリスマス直前で恋人にフラれたため、買っておいたプレゼントを箱付きでフリマアプリに出品しましたが売れませんでした。
決してクリスマスに嫌な思い出があるわけではありません。生得ひねくれた性格が年末になると総決算としてより濃く滲み出てくるようで、クリスマスのイルミネーションも歪んで見えるのでした。今年はいかに。
Text : Azu Satoh