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LIFE & CULTURE

エルメス フォーラムの記念すべき第50回目はジャズ界の巨匠セロニアス・モンクに捧ぐ、エマニュエル・ソーニエ展

2001年からはじまった銀座メゾンエルメス フォーラムの記念すべき50回目の展示は、アーティストそして美術学校での教師として名を馳せるフランスの彫刻家、エマニュエル・ソーニエ。今年2月にパリのパレ・ド・トーキョーで開催された個展『Black Dancing』から発展し、構成されています。

まるで楽章のように構成されるtempo Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ

ジャズピアニストのセロニアス・モンクへのオマージュとして構想されています。殊に、1963年のモンク来日公演からインスピレーションを受けた本展は、楽曲同様に3章構成。それぞれtempoⅠ、tempoⅡ、tempoⅢを見ていきましょう。

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

・tempoⅠ

“即興性” をテーマに作られたこの作品、タイトルにある〈A T M〉の文字がみえるだろうか?ちなみに前述『Black Dancing』の時は、時計の長針・短針として表現している(展示の風景はこちらをチェック…12時10分?)。黒い構成物の大部分は木、そしてA-T-Mの部部分はインク・ガラスになります。フランス国内の4ヶ所の海辺で、アシスタントたちと一緒に、15〜450cmの枝を拾い集めてきている。焼き付けた木に彫刻して空間に配したインスタレーションで、まったく違う姿に蘇らせました。自由に即興すること/生き生きと蘇らせること、を表現している。一目見ただけでは木とは思えぬ変わり様は、間近で(触れられないけれども)見て確かめてみて。

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

・tempoⅡ

“エマニュエル・ソーニエの頭の中を組み解いたような作品群” が集められているtempoⅡ。ソーニエと彼のパートナーが所有する60年代から現在までの絵画、写真、オブジェたちが所狭しと展示されています。それはまるでソーニエの頭の中を旅するかのような感覚。なかには1963年のモンク来日公演の映像や、ソーニエと作家・小川洋子さんとの対談を記録した貴重な映像も。

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

・tempoⅢ

2010年代に制作された3作品が並ぶtempoⅢ。ピアノの鍵盤、と鍵、が掛け合わあわされた作品『キー(Keys)』は130リットル/本の水が入った巨大なガラス管が目を引きます。ガラス管を地上から浮かせるべく敷き詰められた黒い本は、ソーニエについての著書『存在の条件』100冊!本作はパレ・ド・トーキョーでもエントランスに展示された作品。

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

細いステンレスが突き刺されただけで上のステンレス板を支えている作品『トランス(Trans)』は、覗き込むことで無限の世界が広がります。時間や影、そこにあるリズムから導かれる私たちの存在について表した作品。

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

そして最後は、釣りカゴの中心に置かれたインクで黒くなったガラス管が印象的な『ブル(Bul)』天井から吊るされたカゴたちは、少し触れるだけでゆらゆらと揺れます。まるでカゴたちがダンスをするかのように。

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

身近な出来事や惨事から生み出されるソーニエの彫刻作品たちが、鑑賞者に与える影響は、一貫して “考える” ことへの誘いです。それは厳粛であることについて、感性について、他者との関わりや自分自身の関係について、そして目の前の現実について−−、と多岐に渡ります。

ガラスを水や黒いインクで満たしたオブジェはまるで人間そのものの姿のようにも見受けられ、薄い膜に覆われた/閉じ込められた人間の身体の重量と、透明になったその存在の脆さや儚さを暗示しているかのよう。

「形をつくる上での緊張感」「学生ともフラットに接する人柄」「アートを超え政治・哲学の側面から彫刻のあり方を模索する思慮深さ」といった他己評価を受けるソーニエの作品こそ、百聞は一見にしかず。感じるままに鑑賞してみて。

銀座メゾンエルメス 「ATM tempo I/II/III セロニアス・モンクに捧ぐ」エマニュエル・ソーニエ展

エマニュエル・ソーニエ(Emmanuel Saulnier)

1952年、フランス、パリ生まれ。さまざまな地理的、歴史的文脈における記憶あるいは忘却、また危うい均衡の上に成り立つ現代社会における人間の実存について、彫刻作品や有志の協働者との出版活動などを通じて探究している。現在フランス(パリ)およびトルコ在住。2002年からパリ国立高等美術学校の教鞭も執る。主な個展に「Black Dancing」(パレ・ド・トーキョー、2017年)、「Emmanuel Saulnier / Odilon Redon」(オルセー美術館、2007年)、「Place blanche, Place noire」(アトリエ・ブランクーシ、ポンピドゥー・センター、2004年)など。「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」(ポンピドゥー・センター・メス、森美術館、 2015年)や「Traces du Sacré」(ポンピドゥー・センター、2008年)などのグループ展にも参加。2010〜2014年、エルメス財団のアーティスト・イン・レジデンスにメンターとしてアーティストを推薦。

“How can we avoid bringing in the omnipresence of tensions that cross over landscapes? What to do, when everything can fall apart violently? What to establish? Or hold onto? …” Emmanuel Saulnier

「ATM tempo Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ セロニアス・モンクに捧ぐ」 エマニュエル・ソーニエ展

会期 2017年10月31日(火)まで ※開催中

Open  月~土曜 11:00~20:00(最終入場19:30)
日曜 11:00~19:00(最終入場18:30)
会期中無休
料金 無料

会場 銀座メゾンエルメス フォーラム(Google Mapsへ飛ぶ

主催 エルメス財団
後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

公式サイト

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