LIFE & CULTURE
高松で甘い寄り道を。木型工房「豆花」で和三盆の落雁作り体験
和三盆というとどんなイメージを持つでしょうか。サラサラとした粒子の細かい上品な砂糖、高級な和菓子に使われる材料とった印象があるかもしれません。和三盆の代表的な産地である高松で和三盆を使った落雁作りを体験をしてきました。
高松駅からバスで10分ほど、路地裏の奥に潜むのは美味しい隠れ家。木型工房「豆花」は日本でも数少ない菓子木型を作る工房、そして木型を使用して和菓子作りを体験できる教室です。
木型作りは江戸時代から200年続く伝統工芸の一つ。和菓子を作るためには欠かせない道具なのです。繊細な和菓子の見た目からもわかるように、木に彫られるのはたくさんの細かな曲線や計算された凹凸。全て手作業で掘られています。
白壁に木型が飾られたDIY的空間はまるで宇宙船の中のよう。内装は作家のカミイケタクヤ氏によるものだそう。伝統工芸と現代アートが混じり合う空間は普通の体験教室とは少し違った空気感。いざ和三盆体験の開始です。
和三盆を結ぶ
まずは木型に押し込む和三盆をサラサラの状態に漉して色付けをしていきます。ボウルに入った和三盆と色付け用の水、木型が並んだ作業机も手作り感ある温かな風合い。
色つけと砂糖をまとめるための水を足して、まとまるまでこねた後ざるでサラサラに漉していきます。大体5分ほどで準備完了。
たくさんある木型の中から作りたいものを選んでいきましょう。一人分の和三盆で大体4つの木型、12個の落雁ができます。
お盆期間限定で出していた蓮の花の木型にチャレンジ。柄が細かいので砂糖が固まっていないうちにギュッギュと詰めていかないとうまく形になりません。それにしてもこの繊細な柄!
粒子が細かくサラサラなので、思ったよりもたくさん詰まって砂糖がみるみる吸い込まれていきます。
上部にはみ出た部分を木ベラで削り落とせば完成はもうすぐそこ。
二重になっている木型の上部、薄い板の左を持ち上げながら右端をヘラでトントン叩いて木型から抜いていきます。木型から抜けたら上部の板をくるりとひっくり返して完成!しっかり詰めた分、見事に蓮の柄が浮き出てきました。
お盆の蓮の花、夏の貝殻、コアラ、うさぎ、おまけでぶどうと紅葉も作ってみました。時間が経つにつれ砂糖が乾いてきて複雑な柄は作りにくくなってくるので、簡単な柄を後回しにするのがポイント。
きりりと甘い和三盆
作業場の奥は小さな茶室になっていて、ここで完成した和三盆の落雁をいただくことに。ずらりと並べられた木型は驚くほど大きく繊細です。一体どんな祝いの席に出る干菓子なのでしょうか。
お持ち帰り用の箱には12個ほどしか入らないので、作りすぎた分を小皿に乗せて試食タイム。お抹茶とともにいただきましょう。
きりりと甘い和三盆は高松に来たら是非味わいたいご当地食材のひとつ。心落ち着くアートのような空間でピンと背筋を伸ばして、和三盆の甘さと伝統を体感してみてはいかがでしょうか。
Text. Azu Satoh