LIFE & CULTURE
『舘鼻則孝 リ・シンク展』で描かれているのは、日本人としての再考。表参道ヒルズで8月20日まで開催中
流行りの遊びにいそしむのもいいけれど、表参道ヒルズでわずか1週間のみ開催中の『舘鼻則孝 リ・シンク展』へ行ってみませんか?「リ・シンク=見直す」ことを作品を通じて向かうのは、もしかしたら自分自身のルーツかもしれません。
江戸のアヴァンギャルド“花魁”
大学の卒業制作として生まれた「ヒールレスシューズ」をレディ・ガガが着用したことで一躍世界的アーティストとしてアートシーンに登場した舘鼻則孝さん。それから8年余りが経過し、藝大時代の染色・花魁研究から始まりこれまでの系譜を見つめ直す展示が表参道ヒルズで開催中です。
「RETHINK」ーークリエイションにおいて「見直す」という行為を最初に行ったのは、今から8年前、大学の卒業制作に取り組んだ時期でした。大学という守られたコミュニティーから社会に出るためのハードルの一つを乗り越えるにあたり、一人の作家として新しい何かを生み出すために、私は初めて自分のルーツを見直しました。
私のルーツ、それは家族や生まれ育った土地、自分の幼少期の記憶などの個人史的なものであり、大学時代に取り組んだ日本の工芸であり、西洋化された現代の日本の起点となる江戸・明治という時代でもありました。ルーツを見直すべく、それまでに自分のなかに培われてきた様ざまな引き出しを開けていった結果、生まれたものが『ヒールレスシューズ』(2010年)です。 −−舘鼻 則孝(文:石田 潤)
デザイナーを志した高校生当時、海外に留学してファッションを学ぶことを想定していたそうですが、“外国人にとって自分が異邦人” であることに気づき、日本人としての成し得るファッションを追求すべく、東京藝術大学にて染色を専攻。追究していくなかで、江戸時代にアヴァンギャルドな存在として生まれた “花魁” に惹かれ、徐々にいまのスタイルが確立されていったという。
会場自体は30分もあれば回りきれる規模感であるものの、作品ひとつひとつを鑑賞するだけで軽く1時間は経過するボリューム感。特にレディ・ガガに贈ったというヒールレスシューズは、煌びやかな見た目に思わず言葉を失いそうに。
目で舌で愉しめる展覧会
今回の展覧会では、多くの作品が飾られている一方で、エンターテイメントとしても愉しめる要素が散りばめられています。いくつか見ていきましょう。
– TORAYA CAFE 限定コラボスイーツ
今回展覧会はエントランスフリーとなっていますが、数量限定のTORAYA CAFEとのコラボメニューが無料配布されます。和テイストが火照った身体を冷ましてくれる苺×あんペーストの「リ・シンク展限定あんペーストかき氷」とほんのり温かい「リ・シンク展限定あんボーロ」はゲット必至です。
– 花魁によるパフォーマンス
舘鼻さん自身の作品に多大な影響を与えたという “花魁” 。本展覧会では本物の花魁による会場内の練り歩きも大きな目玉のひとつです。そのパフォーマンスで使用するかんざしやキセルなど、随所に舘鼻則孝さん自身の作品が織り込まれています。その麗しい姿に同性たれど思わず目を奪われること請け負いです。(各日3回公演予定)
– プルームテック体験コーナーも
今回のJT Rethinkプロジェクトでも協賛しているJTとは2015年に電子タバコ「プルームテック」でコラボレート。会場内には、実際に「プルームテック」が愉しめる特設コーナーも用意されています。スモーカーではなくとも、つい持ちたいと思ってしまうラグジュアリーな見た目は、持っているだけで贅沢な印象。花魁の艶かしい色気に触発されたなら、験してみるのはありかも??同コーナーにて受注受付も行っています。
そのほか今回の展覧会特別ムービーが鑑賞できたり、物販コーナーあり、と会場規模からの予想をはるかに超えるボリュームで彼の頭の中の変遷をまるで垣間見るような構成となっています。
この展覧会を通して改めて感じるのは、“オリジナルであることの絶対さ”。強いて言えば、それまでの〈舘鼻 則孝〉自身の構成要素を洗い出し、向き合い、認め、作品に昇華させたという一本の確固たる筋の通った凛とした強さのようなものでした。それを能動的に取り組む行為こそ、〈舘鼻 則孝〉が〈舘鼻 則孝〉である確固たる理由のように感じられてなりません。
翻って、自分のルーツって?最近、情報を鵜呑みにしてはいないかな?なんてことを、避暑がてら、ふと「リ・シンク」してみてはいかがでしょう。うだる暑さがつづく夏の日に、静かに熱い時間となるかもしれません。
舘鼻 則孝 プロフィール
1985年、東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母の影響で幼少期から手でものをつくることを覚える。東京藝術大学では絵画や彫刻を学び、後年は染織を専攻する。遊女に関する文化研究とともに日本の伝統的な染色技法である友禅染を用いた着物や下駄の制作をする。現在はアーティストとして、国内外の展覧会へ参加する他、伝統工芸士との創作活動にも精力的に取り組んでいる。作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館など、世界の著名な美術館に永久収蔵されている。
舘鼻則孝 リ・シンク展
期間 〜8月20日(日) ※開催中
時間 11:00-19:00(最終日 16:00閉場)
会場 表参道ヒルズ スペースオー(Google Mapsへ飛ぶ)
料金 無料(限定スイーツ 数量限定・無料配布)
#NoritakaTatehana #Rethink #OmotesandoHills