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FACYが選ぶ2022年に観た日本ドラマ【特別企画】

今年も残すところ数日。皆様はFACYからのクリスマスプレゼントの3億円で良い買い物できましたでしょうか?次回は1月のお年玉企画を楽しみにお待ち下さい。年末年始はお店も休んでるし、自宅でやることもないと悩んでいるあなたのために、FACYは自宅で過ごすための特別企画をお送りします。第4回目は「年末年始に観るべき日本ドラマ」です。2021年の『大豆田とわ子』を経糸に、2022年の『初恋の悪魔』、『エルピス』、『鎌倉殿の13人』を緯糸にして取り上げています。2022年の内容を見たくない人は飛ばしてください。それぞれ配信サービスで視聴もできるため是非ご確認を。FACYの特別企画で、実りある年末年始を過ごし、初売りにはプレミアムショップの商品を、問い合わせ、取り置き、即日配送できるFACYを使いましょう。

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 大豆田とわ子と三人の元夫/ 坂元裕二

『大豆田とわこと3人の元夫』は大変不思議な作品です。よくSNSでも話題になるように、一見物語の本筋と関わりのない会話が散りばめられていますが、その会話の端々から多角的に人物や物語を照らすような構成になっているからです。大変不思議というのは、普通のテレビドラマだと何らかのテーマがあり、人物も台詞も全てそこから演繹的に作られます。要は視聴者に向けたお約束の世界。一方、『大豆田』は逆の作りになっています。上記のように会話やシーンから反射的にテーマが分かるようになっているので、お約束が見えにくくなっています。

あらずじを紹介すると、主役の松たか子は建築会社社長で、大変にトレンディな生活をしています。仕事はデザインや構造に定評のある会社ですし、住んでいる家ももちろんおしゃれ。離婚を3回行っている恋多き女性です。更には、元夫も全員サラリーマンではなく、東京でしゃれた仕事についています。そんな松たか子と元夫を中心に、スラップスティックな日常を描いた都会派コメディになっている、というのは早急過ぎます。近年の坂元裕二作品では、このようなトレンディな設定は多くないです。例えば、『最高の離婚』では、動物好きのインテリオタクの瑛太は、たしかにおしゃれな中目黒で暮しています。ただし、その日常を支えているのは、直接の言及はないですが、親の世代まで中目黒で営んだクリーニング屋をマンションの開発事業に売却しており、その金で姉夫婦が近くでカフェを営んでいるし、自分にも身入りがあるのが分かるようになっています。自分は、それに加えて、自動販売機に缶を補充する物流業に就いており、一方のヒロイン尾野真千子は、静岡の農家出身で、2人の価値観のギャップやすれ違いには、生まれによる経済格差が背景にあることが分かります。大ヒット映画『花束みたいな恋をした』では、もっと直接的に描かれており、主人公の麦(菅田将暉)は新潟県三条出身。親から仕送りを止められたのを期に、EC向けの物流会社の営業になりました。 一方の、絹(有村架純)は、都内の広告代理店勤務の高給サラリーマンの娘で、やはり、すれ違いの背景として、都市と地方の経済格差が描かれています。ここからも、単に都会のおしゃれなドラマではないことが分かります。

 坂元裕二は是枝裕和とも映画を作成中とのこと

確かに、『大豆田』で描かれている日常は、都市のおしゃれな日常にフォーカスを当てています。しかし、その日常を維持するための生活も一緒に描かれます。ここでは、世の「軽妙な会話劇」という評価ではなく、「日本の世代差」を取り扱ったドラマとして注目したいです。例えば、松たか子は、自分から進んで社長になったのではありません。経営するしろくまハウジングは、空間デザインに定評があり、構造も職人気質の会社。付加価値を上げて、高価な商品を取り扱うので、景気拡大期は羽振りが良いですが、後退期はジリ貧です。経営意欲を失った創業社長が引退をする際に、跡目を譲ったのも息子ではなく設計士だった松たか子なのも、企業アイデンティティが現れています。もちろん、松たか子にも「社長になんかなるんじゃなかった」みたいな後悔があります。坂元裕二作品は、最終回の1話前にクライマックスを迎えることがありますが、このドラマでも、経営状態を悪化させたとして退任要求をしてくるPEファンドのオダギリジョーとの対決、恋愛が描かれます。結果として、松たか子は、オダギリジョーを拒絶し、社長を辞めずに日常が続いていきます。これは経済全体が30年近く停滞し、その環境に適応した個人がどのように責任を取るか、という問題に繋がっています。現状維持が目的となっており、社長の役割はその責任を負うことです。何も社長だけではなく、今の時代は国政、地方自治やPTAなど、規模を問わず普通の人は責任など負いたくありません。何も個人が悪いわけではなく、椅子取りゲームの椅子が減っているから、立ち上がりたくないのです。劇中でも、松たか子の娘は、その現実を悟っており、自身の力でキャリアを築くのではなく、医者の息子との結婚を目指していました。

登場人物を世代でまとめると下記のとおりになります。このように3世代に分かれているのは、坂元裕二作品では珍しくなく、日本テレビで放送した『Mother』、『Woman』、『Anone』でも、全て3世代の物語になっています。

60歳以上:大豆田とわこの父母、しろくまハウジング創業社長、PEファンド社長、母の恋人(風吹ジュン):好景気を経験、世間の束縛強い(eg.LGBTはNG、保守的な職業)
40歳前後:大豆田とわこ、三人の元夫、PEファンドマネージャー(オダギリジョー):好景気を経験するが不景気に責任あるポジション獲得、世間の束縛弱い(eg.3回離婚可、都会の横文字系の仕事)
10-30歳:大豆田とわこの娘、部下(高橋メアリージュン):生まれてからずっと不景気、世間の束縛強い(eg.医者の息子と結婚目指す、サラリーマン的なキャリア志向

 「いつまでも続くわけではない」というのは、三人の元夫側の最終回での台詞です。今の恵まれた生活が、上の世代の遺産に依存しており、みんなが現状維持を目指している場合、日常に生きがいやドラマを与えるのは、恋愛や結婚という起伏ではなく、日常やルーティンに潜んでいる何気ない拘りだったりします。ドラマではこれらの瞬間を、『映像研』や『すずめの戸締まり』でも声優を務めた伊藤沙莉がナレーションで彩っています。なにも、マクロの失敗をミクロの主体に取らせるのは、今に始まったことではありません。フレーザーの『金枝篇』にも、ミクロの王殺しによって、マクロの秩序を回復する事例が紹介されています。

 初恋の悪魔/ 坂元裕二

上記を前提に2022年の3作品に触れたいと思います。ここで共通して挙げたいのは、定常化社会での道徳の相対化と責任の暗さです。繰り返しになりますが、2022年の作品の内容に触れているので、避けたい方は飛ばしてください。最初に紹介する『初恋の悪魔』は、同じく坂元裕二作品。神奈川県警境川警察署に所属する4人の主人公は、全員およそ30歳くらい。停職中だったり、総務課だったりで、捜査権限のないものが集まり、自宅で捜査会議を開き、独自に推理を展開するミステリーともコメディとも分類しにくいドラマになっています。

主人公の一人、総務課の仲野太賀は、兄が捜査中の事故で殉職したとされています。しかし、実際は境川警察署長の伊藤英明が、息子の連続殺人を庇うために事故に見せかけて殺害しています。『初恋の悪魔』というタイトルも、刑事だった兄にとって、所長は刑事の生き方を教えてくれたまるで「初恋の人」との台詞からも取られています。表面的には。実は、『初恋の悪魔』は、警察署長の伊藤英明だけではありません。例えば、主人公の一人松岡茉優は、二重人格の生活安全課の刑事。普段は男勝りな刑事の人格ですが、ふとしたきっかけで女子面が強いもう一人が現れます。しかし、急に出てきたもう一人は、自力での生活力があるわけではありません。16歳の頃別人格が家出少女同然に放浪しているところを、少女たちを匿って疑似家族を形成している満島ひかりに保護されて暮らしていました。その満島ひかりが、伊藤英明の息子の罪を被る冤罪で捕まったことが、もう一人の人格が事件にこだわる理由になっています。では、満島ひかりが全くの善人なのかというと、そうではありません。疑似家族での日常を守るため、メルカリで偽ブランド品を売って生活しています。

さらには、他の主人公林遣都にも『初恋の悪魔』があります。林遣都は犯罪マニアのインテリオタクとして描かれており、小さい頃から「冷血な変人」として生きてきました。しかし、そんな彼が初めて心を開いたのが、偶然のように知り合った洋館に住むお婆さんです。このお婆さんとの交流で、「生まれて初めて、人から受け入れられた。僕はこの世界にいてもいい。」と感じましたし、彼が住んでいる洋館もお婆さんから受け継いだものです。では、お婆さんが全くの善人かというとやはり違います。自分の娘と孫が事故でなくなっており、その無念を晴らそうと、市職員を『悪魔のいけにえ』のような地下室で監禁していました。逃げられた後に、次にターゲットにしたのが、警察関係者だったのです。坂元裕二は、『Anone』でも、既に偽札作りを通りして疑似家族を形成していくのを描いていました。今回も、ほぼ全ての『初恋の悪魔』が、家族を大切にするあまり犯罪に手を染めています。善人とも悪人とも言えません。この善悪の境界が溶け合うのをテーマにしたのが、次に紹介する『エルピス』です。

 エルピス/ 渡辺あや

『エルピス』は、足利事件を話の下敷きにしています。元の事件は、1990年に栃木県足利市にあるパチンコ店の駐車場から女の子が行方不明となり、翌朝、近くの河川敷で遺体が発見された殺人・死体遺棄事件です。群馬県との境にあるため、県警同士の連携不足により捜査が散漫になりがちなこと、幼女殺害事件というショッキングな内容から市民の関心も強く、逮捕を焦りがちな環境だったことから、事件と無関係だった菅家さんが逮捕され、千葉刑務所に服役しました。冤罪が証明され、釈放されたのは、2009年のことです。つまり、本作品も冤罪を扱っていることになります。

『エルピス』では、テレビ局を舞台にして、局の顔からスキャンダルによって転落したアナウンサーの長澤まさみと、若手社員の眞栄田郷敦とバディを組んで、足利事件のような冤罪事件を究明するという物語になっています。白眉なのは、善人と悪人の境がないことです。例えば、このバディが第一部で担当する番組は『フライデーボンボン』という深夜の情報バラエティ。あってもなくても気にされないので、視聴率も低空飛行。ただ埋草のように長寿化しています。そのチーフプロデューサーの岡部たかしは、昭和のテレビマンを引きずっており、パワハラやセクハラ、モラハラ発言を長澤まさみにも平気でぶつけます。ただ、単なる嫌な人間なのかと言うとそうではなく、元々報道部にいるころから、政治家の不正を追求しており、これがタブーに触れたことから『フライデーボンボン』に飛ばされました。その後も主人公たちを支える存在としても描かれます。また、長澤まさみが失脚した原因は、報道部の鈴木亮平とのスキャンダルです。鈴木亮平は政治家からも信頼される会社のエースとして、劇中は仕事もプライベートでも周囲の信頼を得ています。しかし、一方では、事件の原因となっている政治家の加護を受けており、政治的目的のためなら手段を選びません。そのような、善人と悪人の境のない登場人物が、様々な背景と目的を有しており、時には敵対する相手とも方向性を合わせて、冤罪事件を解決します。

脚本の渡辺あやは、NHKの朝ドラ『カーネーション』でも、このような人物造形で高い評価を得ました。大正の岸和田から始まり、和装の時代から洋装の時代をデザイナー兼経営者として駆け抜けた小篠綾子の生涯を扱っています。コシノ3姉妹の母として有名でしょうか。小篠綾子の実話に基づいているので、演じる尾野真千子は、綾野剛を愛人として囲っています。更には、主人公の親は、小林薫が演じていますが、呉服商なのに販売代金の回収は不得手。娘に回収に行かせます。では、娘に頭が上がらないかと言うと全くそうではなく、戦前の理不尽さや暴力を体現した父親になっています。しかし、尾野真千子のキャリアの節目節目には支援するような行動を見せており、大変複雑な人物です。一人の中に善と悪が共存する、そもそも体内にいる善玉菌と悪玉菌のように、善玉も増えすぎると悪玉になるし、悪玉が善玉になることもある。このような人間観は、2022年の大河ドラマにも見られました。

鎌倉殿の13人/ 三谷幸喜

アニメの回でも触れましたが、山田尚子『平家物語』も作られました。こちらは滅亡する平家側から平安末期が明るい色調で描かれています。『鎌倉殿の13人』は、当然平家を討ち滅ぼし、鎌倉幕府を興した源氏側。更には源頼朝を担ぎ、その鎌倉幕府を引き継いだ北条家が主役になっています。しかし、源氏の権威を引き継ぎ、歴史的には勝者の北条家が明るく描かれるかというと、全くの逆になっています。というのも、小栗旬演じる小四郎(後の北条義時)は、もともとは静岡の小豪族の次男として、時には家族や幼馴染と冗談を交わしながら、明るく暮らしていました。描写も最初はコメディ然としています。しかし、物語のちょうど中盤に興した幕府と、実体として同一化している北条家を守ろうとすれば、守ろうとするほど、自分は悪事に手を染めることになり、暗い決断が続きます。これは『初恋の悪魔』で、家族の犯罪を隠すために、更なる犯罪を重ねていった伊藤英明とシンクロします。

このような義時像というのは、実は最初のものではありません。例えば1979年の大河ドラマ『草燃える』でも同じ北条家を扱っており、松平健演じる純朴な小四郎が、やはり政争を通じて冷徹な権力者に変化していく様が描かれました。小栗旬も松平健も守ろうとした「北条家」という人間関係に狂わされ、命を落とすものが続出します。少し脇に逸れますが、日本の作品の題名は、個人名を付けるのが少ないと言われます。ディケンズの『David Copperfield』も、戦前には『男の一生』。谷崎潤一郎の『細雪』も、英語圏では『The Makioka Sisters』となります。これは文化的に個人主義が弱い日本の特性を表していると考えられます。個人よりも、集団の力学が優先される結果、自意識の塊であるはずの近代文学でさえ個人名を付けにくいと。人間関係に狂わされる『鎌倉殿の13人』も、さしずめ『The Hojo Family』といったところでしょうか。

ドラマの歴史を振り返ると、70年代からそれ以前のホームドラマの否定が起きます。これは日本の経済成長に合わせて、家族よりもむしろ個人が優先されるようになり、視聴空間もこれに合わせて核家族化するからです。例えば、75年の倉本聰『前略おふくろ様』はちょうど移行期の作品で、舞台は深川の料亭なので一見人情物、ホームドラマに見えます。ただし、そのような人間関係は、既に当時フィクションになっており、劇中(特に2)でも徐々に人間関係が、核家族化や日本人のホワイトカラー化によって壊されていくのがユーモラスに描かれます。しかし、2000年前後の木皿泉『すいか』や宮藤官九郎『木更津キャッツアイ』といった作品から、むしろ家族の価値を見直したり、血の繋がりのない疑似家族が中心となった物語が多くなります。もちろん、これは日本の経済停滞や、少子高齢化が背景です。その更に20年後に、家族と、それを守る責任の暗さが描かれたのが、2022年のドラマの特徴ではないでしょうか。

いかがでしょうか?よくファッションメディアでは、内輪受けで始めたベストバイ企画を惰性で続けていますが、やってる本人もつまらないものです。特別企画はコンテンツにまとめました。是非、FACYの特別企画で、実りある年末年始を過ごし、初売りにはプレミアムショップの商品を、問い合わせ、取り置き、即日配送できるFACYをダウンロードを。

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