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FACYが選ぶ2022年に観た日本映画【特別企画】

今年も残すところ数日。皆様はFACYからのクリスマスプレゼントの3億円で良い買い物できましたでしょうか?次回は1月のお年玉企画を楽しみにお待ち下さい。年末年始はお店も休んでるし、自宅でやることもないと悩んでいるあなたのために、FACYは自宅で過ごすための特別企画をお送りします。第2回目は「年末年始に観るべき日本映画」です。映画評論家の蓮實重彦が日本映画を「第三の黄金期」を迎えつつあると評し出したのは、2018年頃で、これは1970年代に教えていた立教大学の学生、黒沢清や青山真治、塩田明彦が映画監督になっただけではなく、教える側になり、その教え子が世に出るようになってからです。今回は、濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』を中心に日本映画を3作紹介します。全て、アマゾンプライムで観られるので是非。FACYの特別企画で、実りある年末年始を過ごし、初売りにはプレミアムショップの商品を、問い合わせ、取り置き、即日配送できるFACYを使いましょう。

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ドライブ・マイ・カー(Drive My Car)/ 濱口竜介

まずは、米アカデミー賞の作品賞にもノミネートされ、見事外国語映画賞は受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』から。様々な口コミから難解な映画だと思うかも知れませんが、話の筋は実はシンプル。西島秀俊演じる主人公の俳優は、妻(霧島れいか)の浮気の理由がわからないまま死別をしており、これがきっかけで俳優から演出家に転身。特にチェーホフ『ワーリャ伯父さん』のワーリャを演じることを避けてきました。数年後、俳優が国際演劇祭で『ワーリャ伯父さん』の演出するために広島に訪れ、宿泊先と劇場間の運転を任せる若い女性(三浦透子)との交流を通して、自分と向き合い、演劇を通して「人間」として回復するという物語です。

シンプルなのに、難解な印象を持たれるのは、この映画が非常に多層的なテキストになっているからです。まず、映画『ドライブ・マイ・カー』の以前に、村上春樹の原作短編小説「ドライブ・マイ・カー」があります。更には、映画には、チェーホフの『ワーリャ伯父さん』が重要な意味を持って借用されていますし、実は他にも様々なテキストとなるものが存在します。最低でも3層のテキストを元に演じている役者を、映画ではカメラに収めることになるので、表面では主人公の俳優兼演出家の日常が、「シンプルな話」として進行しているのに、観客にとっては裏では何が凄いことが起こっているような迫力を感じさせます。

チェーホフを題材にした3時間近い映画でも短く感じる

ちなみに本作を「多視点的」で「オープン」な映画だから、昨今のポリティカル・コレクトネスに適合した映画で素晴らしいとする評価もあります。例えば、村上春樹の原作では、団塊の世代の男性が主人公で、物語の中心にそのナルシズムがあり、女性の登場人物はそれを際立たせる小道具でしかない。対する映画『ドライブ・マイ・カー』は、女性やアジア諸国の人々を描くことによって、より価値が多様な現代に適応しており、原作を超えたとする見立てです。実は逆です。多言語演劇という題材は、他で温めていたアイディアを本作に流用したものなので、元から多様性(ダイバーシティ)を意識したものではありません。多言語というのは、むしろ分断を意味し、身体言語を通じた映劇によって、自分や他人と向き合う話になっています。また、多視点的だが単層的な作品と、単視点的(カメラ)だが複層的な作品では意味が異なります。

もちろん、これは濱口竜介監督の独特の演出手法とも関連します。監督は、リハーサルでは演技や感情の起伏なしで、台本をひたすら読ませることで有名です。これはオリジナルというわけではなく、ジャン・ルノワールの「イタリア式本読み」を取り入れています。更には、本来映像にはする予定のない、脚本周囲の多量のテキスト作成し、俳優に読み込みを要求します。俳優が初めて演技をするのは、ほぼ本番ということです。ここで、初めて登場人物の人格をこの世に出すため、俳優陣としてもキャラクターを複数の層にわたって深掘して演じることができるし、フィルムにもそれが記録されてしまいます。

上記の演出法で「凄いことが起きた!」と演出家自身が言う

短編小説を3時間の映画にしているので、当然改変点は多数存在します。ここでは、注目の改変点として、「物語の舞台」と「主人公の演劇の関わり方」を挙げます。実は、村上春樹の原作小説は、物語の舞台がほとんど東京で完結しています。かつ、情景も夜。一方、映画では、主な舞台を広島県にある海辺の町に変更し、原作にはない国際演劇祭をも導入しています。夜とは逆に、透き通るような明るさで日常が進行しますが、物語の内容が実際に明るいかと言うとそうではありません。というのも、国際演劇祭の周辺では、物騒なものがチラつきます。元々、死別した妻との間の子供も亡くなっていますし、これがきっかけで妻は浮気をするようになっています。他の登場人物でも、母親の家庭内暴力とその報復で傷ついてますし、若手俳優(岡田将生)による路上での殺人と逮捕もショッキングです。実はサスペンスやミステリー映画よりも裏では、死を取り扱った映画になっています。透き通るような明るい日常の裏で、ドライな終末的世界描かれるのは、東京藝術大学で指導に当たっていた黒沢清の傑作Vシネマ『蜘蛛の瞳』(子供が殺された哀川翔が復讐を果たし、その後の日常を描かれるが、実は既に最初から世界が狂っているという映画)が近いです。

もう一つの重要な改変点。「主人公の演劇の関わり方」は、原作では主人公は一貫して俳優です。対して、映画では、妻の死がきっかけとなり、俳優から演出家になり、物語の進行とともにまた俳優へと戻っています。劇中でも、「人生に大きな後悔を抱えながら生きていくワーリャ役は耐えられない」という台詞まであることから、監督が意図的に主人公と演劇の距離を設計したことが分かります。女性運転士との交流を通して、自分(と自分が認識している世界)と向き合うことを決め、俳優として演じたワーリャを通じて自分の人生を癒やす(世界を回復する)ものになっているのが物語の山場です。この点では、最終的にも、主人公とその世界に救いのない『蜘蛛の瞳』と逆になっています。実際に、日本での評価は「多様性」が多かったのに対し、アメリカでの受容は「終末からの再生」が多かったそうです。

他にも撮影の四宮秀俊への絶賛が

“三宅:(みさきは)若いのに、若くない。終わっている。
三浦:高槻も「一回スキャンダルで干された役者」っていう設定で、共通しますね。
濱口:「われわれは終わった後を生きている」。
(キネマ旬報No.1871 鼎談「濱口竜介×三宅唱×三浦哲哉」”

.『ゴジラ』や『日本沈没』のように、空襲や原爆のイメージがある戦後の終末イメージはリアリティを持って表現されてきました。一方、近年の日本の娯楽作品に見られる終末の風景は、総じて明るく、欧米のポストアポカリプスものとも一線を画しています。次に紹介する大九明子『私をくいとめて』も、そんな終末的な日常を描いた先端的作品です。

私をくいとめて(Tempura)/ 大九明子

濱口監督が黒沢清の教え子なら、『私をくいとめて』の大九明子監督は、映画美学校で青山真治のゼミに通っていたとのことです。『私をくいとめて』は、綿矢りさが朝日新聞に連載していた小説を映画化したもので、これを映画化するにあたり見事に肉付けされています。のん演じる冷食メーカーに一般職として勤める主人公は、仕事もプライベートも人との距離のとり方が分からないお一人様。元々クリエーター志望でしたが、現実ともギャップが大きすぎるので、慰めにもう一人の人格A(AnswerのA)とコミュニケーションしながら世間を泳いでいます。実は大九監督は、綿矢りさ原作は二作目で、一作目『勝手にふるえてろ』は、松岡茉優演じる妄想癖が女の子が、普通の男(渡辺大知)と付き合えるようになる話でした。今作も、そんな自意識と世間のバランスに悩む主人公が、取引先の男性社員(林遣都)との恋愛に苦しむのがテーマかと思いきや、『ドライブ・マイ・カー』と同じように現代人の救済に触れています。

劇中のAという人格は、最初は自己を再帰的に客観視する「もう一人の自分」程度に見えますが、どうも違います。終盤にかけて、徐々にAの階層が上がっていき単なる別人格ではなくなっていきますし、主人公も一般職のOLの日常と、依代のような精神状態を行ったり来たりし、非常に危うい。前作では目的だった、「普通の男」との恋愛が成就しても物語は終わりません。同じく長期停滞に陥ったイタリアがわりと陽気に描かれている一方、舞台の日本は不幸でないが幸福でもない終末的な定常化社会として描かれています。そんな世間を泳ぐ際に、「丁度いい」救いを与えてくれるのがAでした。ラストにのんから林遣都への台詞「よろしく頼みます」は、誰の言葉でしょうか。

さがす/ 片山慎三

片山慎三監督は、韓国の映画監督ポン・ジュノの『TOKYO!』、『母なる証明』で助監督を務めています。この記事で紹介した二作とも、世界でも先端的な終末ものを取り上げてきましたが、『さがす』でフォーカスしたいのは、犯罪が日常化することによる、道徳の相対化です。『さがす』は、大阪に住む監督の父が実際に指名手配犯を見かけた、という経験から脚本が作られています。なので、物語は、大阪の下町で暮らしている主人公(伊藤蒼)と、その父(佐藤二朗)の「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」という会話から始まります。その後、父親が姿を消したことを不安思った主人公は、逆に父親が殺人犯に殺されたのではないかと思い、父親を「さがす」ことになりますが、これはほんの導入です。娘の視点、父親の視点、殺人犯の視点で物語は目まぐるしく進みます。

注目して欲しいのは、本来明るく描いてもおかしくない、親子の日常風景は暗い映像になっており、一方、犯罪に手を染めれば染めるほど、映像も明るくなり、登場人物の気分も高揚していきます。これは、監督の前作『岬の兄妹』でも全く同じような設計がなされています。これは現代のある現象を映し出しています。というのも、現代日本の犯罪は、副業化しています。例えば、最近、振り込め詐欺の名簿屋として、有名な居酒屋が逮捕されました。主たる事業は居酒屋で、副業として振り込め詐欺に名簿を提供していたからです。鈴木大介『振り込め犯罪結社』にもこのような事例が多く取り上げられています。もちろん、劇中で直接明言はしませんが、犯罪が救いとして描かれるのはどのような社会でしょうか。この問題は、特別企画第四回目「年末年始に観るべき日本ドラマ」に続きます。

いかがでしょうか?よくファッションメディアでは、内輪受けで始めたベストバイ企画を惰性で続けていますが、やってる本人もつまらないものです。特別企画はコンテンツにまとめました。是非、FACYの特別企画で、実りある年末年始を過ごし、初売りにはプレミアムショップの商品を、問い合わせ、取り置き、即日配送できるFACYをダウンロードを。

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-ドライブ・マイ・カー
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