タグからブローチへ。「福紋」で勝負する、老舗織ネームメーカー「フクイ」の挑戦



「その服、どこの?」そう聞かれてタグを確認しようと、首元をわさわさと探したことはありませんか?この小さな布に込められているのは“ブランドロゴ”というパーソナリティを象徴する、とても大切なメッセージ。このメッセージをわかりやすく、快適に伝える役割がタグにはあるのです。

実はタグをメインに製造している会社があります。その業界にいないとなかなか知ることができない「周りのお仕事」。タグの他にも、例えば品質表示、下げ札、ボタンやリボンなどの服飾資材を専門で扱う会社もあります。私たちが普段身に付ける洋服はこうした縁の下の力持ちがいてこそ出来上がってくのです。

タグに託した夢と挑戦


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そんな縁の下の力持ち、老舗織ネームメーカー「株式会社フクイ」が2013年に立ち上げたのがオリジナルブランド「福紋 FUKUMON」。株式会社フクイは織ネーム(織り物でつくられたタグ)の名産地、福井県の織ネーム工場が1952年に東京に進出し創業した織ネームメーカーです。

織ネームや下げ札などを作ってきたフクイが新たに始めたブローチ制作は、長年培ってきた「副資材でブランドを表現する」力を「つける人自身のキャラクターを表現する力」に昇華させた試みだと言います。縁の下の力持ちから自らのブランド持ち表舞台へ飛び立つ、夢への挑戦でした。

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ショールームで出迎えてくれたのはキュートなイラスト。美術系大学出身のアートディレクターが描いているそう。よーく見ると、福紋のタグブローチが隠れています。

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贈答用に作られた織ネームのプチ案内板に、思わずクスリ。改めてじっくり見ると、細かく文字や柄が織られた繊細な織物であることに気がつきます。

パーソナリティをタグ付けする


現在展開しているのは10種類。「Mild Henjin」「MY PACE Forever」「50%Gentleman」など、ウィットに富んだ言葉が織られています。本来のタグがブランドのロゴを表すように、福紋を身につける人それぞれのパーソナリティを表すタグでありたいという願いが込められているそう。「MY PACE Forever」というブローチを見たら、「この人は猫みたいに自由な人なんだな」と一瞬で分かりますよね。

マイペースHP
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チャーミングな言葉は全部で10種類。すべて2色で1セットになっているので、お揃いで“タグ付け”しても可愛いですね。専用の化粧箱は引き手もタグ製というこだわりぶり。1セット税込2,160円で、間もなく公開されるONLINE SHOPで販売予定とのこと。

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織ネームができるまで


織りネームはその名の通り、小さな織物。指ほど細い巾にブランドロゴがはっきり見えるように織っていくのはとても繊細な作業です。どうやって作っているのかを尋ねると、貴重な図面を見せてくださいました。左下の小さいタグが実際に織られて出来た作品です。図面のモザイクアートのように塗りつぶされている部分が糸を通す部分になっています。下に見えるのが織り機のパーツ。穴が空いている紙板が機械の動き方を決めます。その一枚が図面のヨコ方向一行分に相当し、この図面に沿って何枚もの紙板が連なり、糸が織り込まれていくわけです。

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現在はPCで図面を作成しているようですが、この大きさの図面を作るだけでも相当な労力がかかりそう。そういえば、レースの美術館で見た巨大なレース織り機にも同様の木板が備え付けられていました。

視覚障がい者のための色識別タグ


フクイはタグブローチの福紋だけでなく、特殊なタグの開発にも力を入れています。驚いたのが「いろポチ」という視覚障がい者のために作られた、触感で色を識別することができるタグ。素材、形だけでなく、色も洋服の楽しみの一つ。その日の気分を表したり、気持ちをコントロールするのに色は重要な役割を果たします。先天的に全盲の方でも、「情熱的な赤」「落ち着いた青」といった表現を聞くことによって色と感情の関係は理解しているそうで、色を選びコーディネートを楽しんでもらいたいという思いから、日本女子大学被服学科、佐川賢博士の原案を元に開発されました。

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マンセル表色系の色相環を元に、赤から赤紫の10か所に突起を配置し、実際の服の色に近い部分に穴を開けることで色を示しています。真ん中には白、灰色、黒の突起を作ることで彩度も表現できる。例えば紺色だったら青と黒の部分に穴を開けて示すのだとか。色名を点字で表示しないことで、言語が違っても通じるユニバーサルデザインになりました。

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「いろポチ」は日本点字図書館やFAXでの注文で販売中。縫い付けたりアイロンで接着することで手持ちの服に装着することができます。

タグの可能性は無限大。普段気にも留めない首元のタグを、帰ったら服を裏返して見てみてください。そこには一枚の繊細な織物によって、パーソナリティがタグ付けされているかもしれません。
福紋 FUKUMON

福井県の織ネーム工場が東京に進出し、1952年に東京で新たに創業したタグメーカー、株式会社フクイによるオリジナルブランド。普段は脇役になっている服の織りネームを主役にしたいという想いから生まれた。従来は洋服のブランドを表していたタグを、着ける人のキャラクターを表す“パーソナルタグ”に仕立て、思わずフフフと微笑んでしまうような言葉を匠の技術で表現している。

HP / Facebook




Text. Azu Satoh


 


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