女性の仕事服はなぜできた?現代にも続く20世紀以前のファッション 《連載:ファッションオタクのサーバエンジニアが見る女性とファッション・スタイルの文化史(1)》

ROBE読者の皆様こんにちは。ryokoと申します。このたび数回にわたってROBEでファッションモード史の連載をさせていただくことになりました。本業はエンジニアをしています。エンジニアといってもインタラクティブなデザイン性の高いWebやアプリ関連のエンジニアではなく、いわゆる企業向けの業務基盤のサーバ設計構築などのエンジニアです。ファッション業界の方の目には触れることのない、華やかさのカケラもない地味な世界で働いています。

ある程度の年齢になってからパリコレを中心としたモードの世界に夢中になってしまいました。そこでモードを身にまとう人々はそれなりの年齢であるにもかかわらず、その辺の若者を凌駕するほど美しかったからです。IT業界のエンジニアが絶対行くことのない、ファッションの専門学校のオープンカレッジで受講してみたり、ファッションの展覧会に行ってみたり、ハイブランドのショップに飛び込んでカットソーやスカートを買ってみたり。モードの世界に没頭してからかれこれ10年経ってしまいました。

エンジニアというファッション業界外の人間だからこそ率直に気づく?
ファッションの本当の姿


以前見た80年代のシャネルのドキュメンタリーで、デザイナーであるカール・ラガーフェルドがココ・シャネルの傑作は晩年に多い要因について、彼女が15年間ファッションの世界から離れていたことを挙げていました。“離れていたことで客観的に自分の作品を見る機会ができたから”だと。

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そこでIT業界のエンジニアというファッション業界外の人間の視点から、愛すべきファッションを見ることでそれに近づけるのではないかと考えています。

また、IT業界は依然『男の職場』であり、ファッション業界は他業界と比べれば『女の職場』です。フェミニズムやジェンダー論に大きな影響を受けたファッションの世界観から、女性として身を置く業界の様々な課題に気づくことができたらとも思っています。

私たちが普段着ている「洋服」って紆余曲折を経てできたものらしい


私達は普段着ているワンピースやパンツスーツといった「仕事服」をビジネスルールのひとつ、「ドレスコード」として何の抵抗もなく身に着けています。それがどんな風にできたのか、19世紀末~現代のヨーロッパ服装史において社会的な影響を与えた代表的なデザイナーを例に、当時の社会背景とそれに影響を受けたファッションの関係を知るようになりました。どうやら当時の社会情勢と女性の社会進出に影響を受け、かなり「いわくつき」で紆余曲折を経てできているようです。

その中で、日本のアパレル文化はなかなか独特なんだということも気づいてしまいました。「和服」が日本のものなら「洋服」は西洋のものなんじゃないの?それなのに私たちは「ドレスコード」やその由来など、本来の「洋装」について教養がほとんどありません。これだけ毎日「洋服」を着ているのに!

本連載では数回にわたり、「女性とファッション・スタイルの文化史」について考えてみようと思います。

20世紀以前のファッション


か弱く繊細な私ってクール!気絶するほど細いウエストが勝ち組の時代


19世紀末まで女性の日常の行動範囲はごく限られており、就職は禁止されていました。女性が活動的なんてありえない、女性が一人で出歩くことすら厳しかった時代です。当時のファッションは一握りの上流階級のものであり、仕事は身分の低い人がすることで、他の使用人に必要なことはやらせて何もしないことが『美学』。 19世紀末に現れたアール・ヌーヴォーという、繊細で優美な曲線による装飾が流行していました。

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装いはというと、重い帽子に長いドレス、コルセットと呼ばれる補整下着によって異常にウエストを細く縛り付けることが美しいとされていました。貞淑な女性としてウエストが細いほど結婚市場での価値が高まり、理想のウエストサイズはなんと45センチ。ちなみに、スタイル抜群で有名なかのブリジッド・バルドーのウエストでさえ49センチだそうです。当時の女性にとって「結婚」は就職と同義なので、それはもう内臓がちぎれようがおかまいなしです。

この時代の小説や映画では女性が失神するシーンなどがたびたび描かれていますが、それは誇張ではなく、本当に“ヤバかった”ってことなんですね。

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昔から「おしゃれはガマン」と言いますが、内臓が変形したり肋骨が曲がったり寿命が縮むなど、健康被害にも苦しみながら…女性ってホントに強い。生命を脅かすかもしれない痛みにも我慢できてしまうのですね。

現代も続く、細いウエストへの呪縛。苦しいけど、やっぱり素敵!?


現在のファッションではロングドレスをそのまま日常で着ることはなくなったものの、華やかで繊細な首元のレースやフリルといったディテールで、その時代の影響の名残をみることができます。当時のファッションはウエストを細くすることでバストやヒップを大きく見せ、男性目線での女性の美しさをとらえていました。現在でもコルセットの愛好者はおり、その殺人的なウエストの細さを維持している人もいますが、そこまででなくとも細いウエストは今でも女性の憧れです。矯正されているようなウエストラインのデザインなど、腰回りの曲線は現代の洋服でも見られます。

そういえばシャネルも2014年のオートクチュールでコルセットを取り入れているんですよね!シャネルは女性をコルセットから解放した人なので、この写真を見たときは衝撃が走りましたが、これはカール・ラガーフェルドなりの皮肉なのでしょう。女性は自立してもか弱く守られたい、縛られたいという矛盾が存在するということなのでしょうか。


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(左)CHANEL 2014 SS(右)ROCHAS 2006 AW


第二回は女性を取り巻く環境が急激に変わっていった時代のひとつである20世紀前半ごろのファッションをテーマに考えます。

今や女性が仕事を持つことはあたりまえですが、そうではなかった時代に、はじめて仕事を手にした女性の気持ちがどのように変わり、ファッションに影響を与えていたのかという所も考えてみたいと思います。

 

Text.  ryoko
Illustration. Sandra



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