美的な混沌を堪能しませんか?ローカルで作品を作り続けるアブラハム・クルズヴィエイガスの「水の三部作 2」が銀座エルメスギャラリーにて開催中。

ギンザシックスを筆頭にいつだって話題に事欠かない東京・銀座エリア。その銀座にあるエルメス・フォーラムでは現在、メキシコシティを拠点に活動するアブラハム・クルズヴィエイガスの個展「水の三部作 2」が開催中です。世界三都市を回って行われる本個展の第2章の土地に選んだ東京で、彼が生み出した作品たちは日本人なら見ておくべきものばかりでした。

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座

前回記事: 三者三様の描く “関係” をあなたはどう見る?エルメス銀座にて〈曖昧な関係〉展が開催中

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座

アブラハム・クルズヴィエイガス プロフィール


1968年、メキシコシティ生まれ。メキシコ国立自治大学で教育学を学ぶ傍ら、ガブリエル・オロスコの主宰する『Taller de los Viernes(金曜のワークショップ)』(1987〜92年)に参加。現在メキシコシティ在住。「Autoconstrucción(自己構築)」という概念に基づき、その場を解釈し、即興的に制作する手法は、幼少期を過ごしたメキシコシティ郊外のアフスコに暮らす人々のセルフ・ビルドの手法に影響を受けている。主な個展に『Empty Lot』(テート・モダン、2015年)、『Abraham Cruzvillegas: The Autoconstrucción Suites』(ウォーカー・アート・センター、2013年;ハウス・デア・クンスト、2014年)など。また、ドクメンタ13(2012年)やヴェネチア・ビエンナーレ(2003年)など、多数の国際展に参加。

作品の素材のほとんどは日本で集めたもの


パリ、ロッテルダム、そして東京という三都市を回る本個展は、彼の “その土地のローカルな素材を取り入れる” という作風がいかんなく発揮されています。作品の素材は日本語の新聞紙や雑誌の切り抜き、ブルーシートを細かく切ったもの、廃材や鉄くずなど。一見私たちがゴミ箱に投げ入れてしまいがちなものたちばかりなのです。ほかにも動物の排泄物や植物など、作品の大きさに関わらず、あらゆる素材を使われているのが写真からもわかると思います。中にはなんと五円玉まで!

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座

日本にあるものを使って作られているにもかかわらず、ピンク / ブルー / グリーンといった目にも鮮やかな彩りが効いているせいか、どこか日本的とはかけ離れているところがまた興味深い。特にイサム・ノグチや3.11の本が並べられていると、アイデンティティについて考えずにはいられられないかもしれません。

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座

幼少期を過ごしたメキシコシティ郊外アフスコにおける「セルフ・ビルディング」運動や、密集したマーケットなどにみる「美的な乱雑さ(混沌)」をルーツとしている彼自身、自身の制作や作品たちのあり方を「Autoconstrucción(自己構築)」と形容しているのだそう。今回でいえば、日本や東京の歴史 / 政治 / 社会 / 経済の要素を孕む素材を使いながらも、まったく新しい作品として昇華させているのです。たしかに、考えられて作っているというより気持ちの赴くままに作成したかのような勢いのある作品という印象をもつかと思います。

他国で異邦人だからできる稀有な表現は、東京で忙しなく生きるわたしたちこそ、観るべき作品かもしれませんね。

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座

アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」 エルメス ギャラリー 銀座






「水の三部作 2」アブラハム・クルズヴィエイガス展


期間: 2017年4月21日(金)~7月2日(日) ※会期中無休
開館時間: 月~土 11:00~20:00(最終入場は19:30まで) / 日 11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
入場料: 無料

会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム
東京都中央区銀座5-4-1 8階(Google Mapsで飛ぶ

主催: エルメス財団
協力: kurimanzutto
後援: 在日メキシコ大使館

HP


©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
text. Midori Tokioka


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