そこには「生粋の紳士達」が辿り着く。FREEMANS SPORTING CLUBの「これまでとこれから」

コミュニティの最後が高校、もしくは大学じゃなく、それ以後別のオフラインの場所にあるのは珍しい。

東京・青山には、それ以後に見つけた、その人にとっての最後のコミュニティ、これからさらに繋がるコミュニティとして、紳士を志す男たちが集まる『FREEMANS SPORTING CLUB』が存在する。

今年4月に5周年を迎えた同店。これまでその場所で出来上がってきた習慣や文化、そしてこれからについて、4F構成から成るB1Fレストランフロアで、店長・古茂田さんに話を聞いた。

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2004年、ニューヨークのバワリー地区の路地裏でレストランとして誕生した。ニューヨークという大都会の中心に、古き良き1950年代の生活様式をしつらえ、
慣れ親しんだ我が家のように、仲間達が集える場所を一貫して提供してきた。

2005年には男性のための豊富なワードローブを提供するお店として「FREEMANS SPORTING CLUB」をオープン。それに合わせて、伝統的な理髪店を彷彿とさせるバーバーも併設し、腕の良い理髪師がクラシカルながらも現代のニーズに即したヘアスタイルを提供開始した。

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その後、2013年、「自由なライフスタイルの在り方」を東京という街で楽しんでもらいたいという想いから、カジュアルウェアからテーラー、バーバー・レストランの全ての要素を揃えた館として、東京・青山の路地裏に東京店がオープン。

そこには今、「紳士を志す」という一つの軸で、人が集まっている。

_P6A5040古茂田 貴洋さん/FREEMANS SPORTING CLUB TOKYO 店長
株式会社アーバンリサーチに入社して7年目。フリーマンズスポーティングクラブ東京の店長を務める。趣味はスケート。29歳。

 

変わらず大事にしていること。

ー5周年おめでとうございます。改めてではありますが、FREEMANS SPORTING CLUB(以下、FSC)のコンセプトとは何ですか?

「MADE LOCAL, BUY LOCAL(作り手と使い手の距離を縮める)」です。このコンセプトはもちろんですが、5周年という節目の年になって、ブランド創始者のターボ・ソマーがFSCを作るきっかけになった「みんなが集う場所」というワードに改めて原点回帰しようと思っています。

ー その「みんなが集う場所」が2店舗目の二子玉川に続き、昨年は3店舗目として銀座にも増えましたね。

ほんと、ありがたい限りです。おかげさまで、みるみるうちにスタッフも増えています。日本にいたスタッフだけではなくて、海外で働いていたスタッフも日本に来たりしています。

ー 勢い良く増えているわけですね(笑)。

それに伴って、自分たちがあるべき姿として掲げているジェントルマン像、「こういうものじゃなくていけない」というものが限りなく無くなってきているような気がします。

ー 多様性が生まれていると。

そうです。ただやっぱり全体として「ここは大事にしていこう」というのは常々話していますね。

ー 「ここ」とは何ですか?

例えば、うちの特徴にもなっているお客様がエレベーターに乗る際の気遣い・心遣いですね。エレベーターが階段を少し下がったところにあるのですが、そういったときには「お客さまの荷物を持ってフォローする」というように必ずやるべきこと、大事にすべきことをスタッフ間で決めています。

_P6A4867昨年フリースペースで行われた「フリーマンズノビアガーデン」でFSCに集ったお客さんが書いたメッセージ。

 

入り混じりが起こっている。

ー FSCが日本に上陸してから、バーバーに通う人が圧倒的に増えましたよね。メディアもバーバーをフィーチャーしたりしている。

5年経っても増え続けているように思います。それもあってか、また別の動きも出てきていて。

ーそれはどんな動きですか?

特にこの界隈では、お店とお店の間でお客様の行き来が発生しているんです。面白いですよね。うちの一軒隣りにあるHONOR GATHERINGという日本のブランドさんと継続的にお取り組みをさせてもらっているのですが、その甲斐あってか、隣の顧客さんがうちに来てくれたり、反対にうちの顧客さんが隣のお店に行ったり。そういう入り混じりが起こっているんですよ(笑)。

ーご近所物語ですね。

もうそんな感じです(笑)。しかもそれが今となってはバカにならないくらいの規模で派生していて。

ー有機的なつながりですね。すごい。

そういったつながりがもっと広がると面白いなって思います。この辺りはとくに路面店が多いので、お客さまが来る目的自体もそれに比例して大きくすることができればな、って。

ーまさに「みんなが集う場所」ですね。場所はもちろんですが、お店には各フロアにスペシャリストが集まっているじゃないですか。お店の中の人ってところにフォーカスして来る方もいらっしゃるんですか?

いらっしゃいますね。ブランドとしてもすごくありがたいことです。特にバーバーなんかだとお客様がいらっしゃる回数が重なるごとに髪質や好みを知ることができるので、より的確で満足のいくサービスを提供することができるというのはあります。

_P6A48273F/バーバー
選りすぐりのバーバースタッフが在籍するバーバーフロア。美容室にはない、シェービングも体験することができる。普段はもちろん、結婚式や大事なパーティーの直前なども高いテクニックを有するスタッフの元に訪れる人が多い。

_P6A4817オリジナルポマード
洗面台で映える、バーバーストライプのデザインが入ったオリジナルポマード。ツヤのあるウェットな質感を楽しめる水性のハードタイプ。無香料のため、ポマード特有の強い香りが苦手だった人にも人気。容量110g。

 

MADE LOCAL, BUY LOCAL

ーFSCと言えば、ブランド名にカジュアルウェアを意味する「SPORTING」が堂々と入っているのも見逃せません。

彼らにとっての「SPORTING」とは、キャンプや狩猟、フィッシングやツーリングを指すんです。お店に並ぶ服もやっぱりそういうもモノが中心で。

ー コミュニティに属する人たちを象徴するような服はあったりするのでしょうか?

一つはスタッフ自身も着ているカバーオールです。東京店がオープン以来、継続的にリリースされているアイテムで、バーバースタッフの着用を想定した作っているんですよね。バーバースタッフには右利きの人間が多いので、切った髪が入らないよう右ポケットの位置を表側から内側にアップデートしています。

_P6A5084 バーバースタッフカバーオール
左胸にはバーバーストライプデザインのピスネームが入っている。

あとは、今は店頭に置いていないのですが、ISLE OF MANです。グレートブリテン島とアイルランド島に囲まれた島のことをISLE OF MAN(マン島)と呼ぶのですが、そこで行われるバイクのレース用のジャケットですね。

ーなるほど。

もともとはターボ・ソマーの友人から「そのレースに出るから作ってくれ」と言ってできたものなんです。もう10年近く作り続けていますね。

ーまさに「MADE LOCAL, BUY LOCAL」ですね。

東京でも起こっていることはやっぱりニューヨークでもリアルになされていて。そして日本のお客様にも愛されています。ISLE OF MANはオープンして5年経って以来、ベストセラーのアウターウェアーなんです。

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キャンプシャツ
キャンプの要素を含んだキャンプシャツも代表的なアイテム。前身頃に配された大きな4つのポケットが特徴。ボックスシルエットでカバーオールに近い感覚で着用することができる。


_P6A49291F/カジュアル
館へのメインの入り口となるカジュアルウェアのフロア。アメカジには欠かせないチノパンやデニム、カバーオールなどのアイテムが並ぶ。中には、日本の伝統「刺し子」の生地を使用したアイテムも。ソマー氏が「日本の文化も取り入れていきたい」とし、日本生産の製品を本国でも逆輸入という形で販売されていることもある。

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「そんなこともあったよね」

ー5年を経て、古茂田さんにとっての思い出深いエピソードは何ですか?

やっぱり5年経って、当時から通っていたお客様と話した内容は思い出深いですね。いまでこそバーバーのスタッフの募集はどんどん来ますが、その時ってまだこのような業態でのバーバーで働くという価値観がなかったんですよね。それこそ美容師1/100ぐらいの人しかいないと言われていましたから。

ーーおお…。

スタッフも今ほどいなくて。お店はてんてこ舞いでしたね…。

ーバーバースタッフの矢谷さんも5周年を振り返ってのブログでリアルな背景を書かれていましたね。

「そこまで言うか!」って感じでしたけどね(笑)。でもそんなこともあって、5周年を迎えてお客様と「そんなこともあったよね(笑)」なんて話していましたね。

ー素敵ですね。

異業種が集まった店舗ゆえ、スタッフ同士の理解も、他フロアの仕事を経験することで進んだように思います。

ー理解した先の化学反応は何かありましたか?

店舗の中で、それぞれの業種のことを深く理解しようという空気感が生まれましたね。すごく個人的な話になってしまうのですが、自分は髭をもともと生やしてなかったんですよ(笑)。

ー面白いです(笑)。

他のスタッフが伸ばしているので自分もやってみようと思って…今に至ります。シェービングのセットにも興味を持ち始めて、泡立てるブラシをお金かけて買った覚えがありますね(笑)。

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戻ってくる場所としての『FSC』

ー改めてですが、FSCはどのような場所ですか?

みんなが集いやすい場所というのはもちろんあります。そこにやっぱり「格好つけて」じゃないですけど、ある種着る洋服を気張って来てくれる方も多いですね。

ーそういう場所って今となっては貴重かもしれませんね。「よそ行き用」という言葉も言われなくなって。

お客様が「格好つけて」来てくれるので、スタッフも「見られてるぞ」っていう意識がより強まりますね。

ーFSCのスタッフがコミュニティーのマネージャーになってるのかもしれませんね。 「こういう振る舞いが必要なんだと」。それこそ「紳士」としての模範がお客様の目に写っているんだと思います。今後の展望はありますか?

お客さまやスタッフが同じ空間で10から20年一緒にいれるのが理想かもしれません。ただそれはやっぱり難しいかもしれないんですけど、他の場所に行ったとしてもまた遊びに来たり、そこからコミュニティが繋がったりすれば、より良いのかなって思いますね。




あとがき

FSCから始まるコミュニティがそのまた別のコミュニティへ、そのまた別のコミュニティがさらに別のコミュニティへと、FSCを起点にその輪はどんどん広がっている。それは、FSCの「紳士」を軸にした文化に対する信頼感が生んでいるに違いない。

ひとくちにコミュニティと言えど、それをどうやって発展させていくのかは別の問題。誰かが旗を立て、紳士としての「振る舞い」や暗黙のルールを作り上げて体現してきたからこそ、5年経ってもFSCに人が集まり、発展し続ける。

FSC にはカジュアルウェアやバーバーだけでなく、テーラーのフロアやレストランフロアもある。紳士がトータルで楽しめる場所として構成されてはいるが、入り口はどこだっていい。東京・青山にいる頼れる紳士が快く迎えてくれるはずだ。

FREEMANS SPORTING CLUB TOKYO



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クラシカルでありながら、現代のニーズを反映した 真のアメリカントラッドを追求し、ニューヨークで欠くことのできない存在となった「FREEMANS SPORTING CLUB」の日本初のフラッグシップショップ。

住所:東京都渋谷区神宮前 5-46-4 イイダアネックス表参道
電話番号:03-6805-0490







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