滋賀は湖、日野は泉 ~セレクトショップ「瑠璃色の泉」のコト

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瑠璃色の泉って?

街を歩いたり、ネットサーフィンをしたりしていると、「なんでこの店名?」「どういう意味?」と思う店がある。英字でかっこいい店名をつけることが主流とされる洋服屋は、それが顕著に表れているような気がする。昔のように○○洋品店と記されていれば一目瞭然だが、今では格好がつかないだろう。言いたいのは、洋服屋に漢字はナンセンスなんじゃないか?ということ。

だが滋賀には、そんなステレオタイプを度外視する名の店がある。それが「瑠璃色の泉」だ。奇妙な印象さえも覚える店名だが、売っているのはあくまで洋服。紛れもないセレクトショップだ。

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「僕、英語分からないんで」と、潔く英語が苦手と吐露するのが店主・岸村翔司さん。

「昔から撮られる側は苦手なんすよ。前にテレビの取材があったんですけど、全然ダメだったからか、全カットされたんです。予告編で『こんちわ』って出てきたとこだけ使われて、本編で一切でてこーへん(笑)」みたいな饒舌な関西人。

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店を構えるのは、滋賀の日野。県庁所在地の大津から車で1時間半かかる清閑なところだ。しかし、なぜ中心地から離れた場所でセレクトショップを開こうと思ったのか。人が行き交う中心地のほうが傍から見れば、活気づくように思えるが....。店名の由来の真意も気になるところだが、やはり根本的なところから気になって仕方がない。

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—セレクトショップを開いた理由は?

最近は増えてきたんですけど、元々滋賀に個店(セレクトショップ)がなかったんですよね。でも僕はずっとファッションが好きで、セレクトショップをやりたいなと思っていた。自分がそう思っているんなら、ちょっとでもそう思っている人いるでしょみたいなね。

—元々アポイント制と聞いたんですけど、なにがきっかけで。

多くの人というよりかは限られた人にしっかりと接客できる環境を整えたいなと思って、アポイント制にした感じですかね。

—アポイント制ってけっこう大変じゃないですか?

初めは不安もありましたが、時代的になんでもインターネットじゃないですか。僕もカフェいくにも居酒屋いくにも、まずはネット検索。だからそっちでアピールしていけば問題ないと思いました。

—いまはどうなんですか?

やっていたんですけど、新規のお客さんから「やっぱり入りにくいな」って言われて、土日ちょっと開けようかなって。それで去年くらいに開けて、土日に来た人が「僕、平日休みなんで平日の方がいいんですけど」っていう人が続いて(笑)。じゃあ、平日も開けよって。

—やっぱり目的買いのお客さんが多い?

多いっすね。インターネットで見て、来て、羽織って、決める。来た時点でだいたい決まってますね。これからはそれをちょっと打ち砕いていこうとおもってるんですけど。

—それはまたどうやって?

考え段階ですけど、次の移転先でやろうと思っています。今は想定内での感動しか提供できていないような気がしていて、インターネットがここまで普及していなかったあの頃のような感動を伝えていきたいなと。

—オンラインストアで見えちゃってますからね。

これから予想していなかった出会いとか、面白みとかをできるようなお店にしていこうと思っていますね。今って、全部見えちゃうじゃないですか?透明性が高いというか。だから時代に逆行して不便にしていこうかなって。

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—あと、面白いなと思ったのが「出張販売」?

あれ、2018年5月くらいに始めたんですよ。

—なにがきっかけだったんですか。

新しい試みのひとつとしてやってみたいなって。来店してくれるお客さんが比較的遠方から来られる方が多いんですよ。もちろん滋賀県内で、ですけどね。それでこのシステムを導入することで、喜んでもらえるかなと。もっと新たな出会いを求めてね。

—なにか経験談みたいなの教えてください!

それがまだないんすよね。やっぱり、出張費が高いのかもしれない(笑)。だけど、ギリギリまで削ってるんですけどね。逆にそれで金額みて、これだけ時間とお金をかけてうちに来てくれているんだって感謝を覚えましたね。出張販売に関してはこれからです。

—「滋賀でこのセレクトする~」って思ったのですが、なんでこのセレクトになったのでしょうか?やっぱり岸村さんの趣味嗜好がある感じですかね。

そこが大きいですね。ちゃんと背景があるブランドというか、普通の服は売りたくないというのがあって。クリエイティブ性や芸術性、デザイン性をこだわっているブランドしかいれないですね。単なる服では終わらない何かがあるっていうのがベースにあるところじゃないと。自分自身、絵画や陶器の背景とか作った人の思いとかを知りたくなる性分なので。

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「僕が語るのはあれだけど、当時は背景を語っていない店ばっかりだったんですよ(笑)。しっかりブランドにはシーズンコンセプトがあるのにね。だから、ホームページとかにけっこう書いているのは背景とかを伝えたいから。コレクションとかルックだけをのっけても、面白くないかな」って。(瑠璃色の泉のホームページより)

—個性が強いブランドが揃っていますが、やっぱり滋賀でやっていると、ファンはショップの色に染まっていくんじゃないですか?

そうですね。通販もそうですけど、お客さんは比較的トータルで買っていく方が多いですね。ネット通販の方も、前買ったコレとコレ合わせたらどうですか?みたいな問い合わせが多かったり、サイトにスタイリングを定期的に掲載しているので、それを参考に買われる方が多いです。

—うまいブランドセレクトだなって。

人が集まる都心とは違う田舎ということもあって、めっちゃ考えました。お店をする前に軸をしっかりと立てて、それに沿うブランドのみをセレクトしようと。でも始めた時はそれに縛られ過ぎて、セレクトブランドも結局大人の事情で3ブランドぐらいしか集まらなくなっちゃいました。さらに自分は実際に羽織ってみて感覚的に良いと感じる服しか仕入れないので、オープン当時はスッカラカンな状態で営業していました(笑)。

IMGP4935日野は近江商人によって栄えた街。瑠璃色の泉への道中は、駄菓子屋や昔ながらのお弁当屋、近江せんべいの工場などが並ぶ。ちなみに日野駅まで行くときは、近江鉄道の一日パスを買うとお得。


—日野に店を置いた理由ってなんですか?やっぱり日野駅から近いとか?

駅はほんま関係なくて、車移動を前提に考えていました。強いていうなら空気感かな。とにかくゆっくりしてほしいみたいな。そしたら、お客さんの滞在時間がとにかく長くて、8時間ぐらいいる方がいるんです。

—もう一緒にご飯食べてるじゃないですか。

そのくらいゆっくり見てもらえるようにと思っていたのでね(笑)。

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—「瑠璃色の泉」の店名の由来は?

「なんで漢字なん?」って、みんなに言われる。答えは単純で僕が英語分からないんで。英語使ったお洒落な感じの名前っていいですやん(笑)。

—なんですかそれ(笑)

お洒落でいいんですけど、英語の語学力がないんで僕の考えている思いを英語にしてしまうと、変換したときにほんまは違う意味になってしまいそうで怖かった。それだったら、日本語でやったほうが自分も納得するし、自分の考えている背景とイメージが名前にできるかなと思って。

—それで、なんで瑠璃色の泉にしたんですか?(笑)

そうっすね(笑)。瑠璃色って紫よりの青みたいな色じゃないですか。それで、色ってそれぞれイメージがあるんですよ。

—赤だったら明るいとか、熱いとか。

そうそう。それで紫は芸術とか感性とかムードとか。で、青が落ち着きとか知的とか上品とかがあって、そういうのが泉のように湧き出てくる場所というように付けています。

—てっきり松田聖子の「瑠璃色の地球」かと。

それわからないです(笑)

—それか琵琶湖にひっかけたと思いました。

それも言われる。そういう想いを色に変換して漢字にして名前にした感じ。

—それを英語にしようとして失敗したと(笑

うん(笑)。その当時英語の店が多くて憧れてたんですけど、英語の語学力がないものだから、読めんくてそれがストレスだったんです。やっぱりパッと見で記憶に残るような店名にしようという意味でもね。

—日本人なら日本語でみたいな。ある意味インパクトありますよ。

逆にね。そういってもらえるとありがたい。かっこつけるのが苦手ですから。

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—休日とか使って、他のセレクトショップに行かれないんですか?

あんまし見ないですね。最近は特に。

—そこには理由があるんですか?

服屋という中に収まりたくないからですかね。展示会で東京に行く機会はありますけど、時間あっても見に行かないですね。見に行くんだったら、ギャラリーとか飲食店。ちょっと変わったことやってるところ。

—そこからインスパイアされるみたいな。

なんかいろんな業種見て、新しいやり方を常に模索していますね。出張販売もスーパーマーケットからパクってますからね。田舎だけかな、コンビニとかスーパーで出張販売やってるんすよ。スーパーまで買いに行けない人に向けて、電話で欲しいモノを言って届けてくれるみたいな。

—なるほど。

できる限りいろんなところにアンテナを張って、服屋限定ではそんな見に行かないかな。前は休みの日に絶対京都・大阪をまわっていたけどね。全部メモしてこういう提案して、こういう取扱いしててコーディネートこんなんでって。でも、もうせんでいいかって。

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—同じブランドセレクトしているところは気になったりしないんですか?どんなスタイリングを提案してるのかみたいな。

ブランドの並びは気にするけど、スタイリングは気にしないですね。見るとそれに寄っちゃう可能性があるんで。そこに関しては、自分の中から出てくるものを素直に表現するようにしていますね。

—なにかイベントを考えたりは?

いまは考えてないですね。やりたいことはいっぱいあるんですけど。やるなら次の場所が決まったらそこでって感じ。

—けっこう次の店の構想きまっているんですね。

初めはブレブレでしたが、いろんな人と喋りながら構想を固めてきています。普通のセレクトショップとはちょっと違う、出会いが提供できる場にしたいなと思っています。

—諸々楽しみにしてます(笑)

うまくいったらね(笑)

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瑠璃色の泉。そこは店主の想いが色となって反映された名前だった。その想いは店名だけでなく空間としても表現され、来る人をついつい長居させてしまう。そのもとに並んだブランドアイテムも、東京で見るそれらとはまた違った表情をしていた。

個店ならではの個性が際立った店。かっこいいより伝えたいを表現した店。それがココ。「営業時間なんてあるようでないので、遊びに来てください」と気さくに声を掛けてくれたので、アポの電話はいれず、しれーっとお邪魔しよう。そのときは次のお店になっているかもしれないけどね。

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瑠璃色の泉には、感性が高まるような作品たちが並び、手にされたお客様が、豊かなライフスタイルをお送りできるようなサービスを提案しています。

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