三軒茶屋の名店マネージャーに聞く、今までのダウンとは違う『水沢ダウン』が流行っている理由(音声付き)。

INTERVIEW 2016.11.17
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老舗ブランドを多く取り扱いながらも「老舗と今っぽいのを着てたら、それは提案の幅につながるじゃないですか。」と喝破するのは、三軒茶屋の名店SELECT STORE SEPTISのショップマネージャー小山さん。STYLERユーザーの“ほしい”に納得感を醸成しているのも、新旧知るバランス感から生まれる眼力があるからこそ。

各回様々なブランドにその眼力を発揮してもらう本企画も第三回。CONVERSEJOHN SMEDLEYに続いて、今回は横一線に見えたダウン市場に新たな一石を投じたDESCENTE ALLTERRAINの水沢ダウンについて語ってもらいました。冬本番を前に、これまでのダウンジャケットとの違いを知ってください。

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最近よく見る、水沢ダウン。

スタイラー編集部 ライターS(以下、S):最近よく見ますね、水沢ダウン。Yahoo!知恵袋でも「どこで取り扱ってるのか?」とか「先行会はいつですか?」とか「サイズ感はどうですか?」とか、確実に手に入れたい人が質問されているのを見て勢いがあるなと。だって、あの値段をネットで買ってもらうってすごくないですか?一つの現象ですよ。

SEPTIS 小山さん(以下、小山):うちでもすごく売れてますね。店頭でもネットでも。9月からすごいスピード感で動いてますから。

S:でも最初は2010年のバンクーバーオリンピックで日本選手団に着てもらうために作られたらしいですよ。

小山:それはものすごく説得力ありますね。

S:ソチオリンピックでも着てたらしいんですけど…、っていうのを最近知ったんですよ。商品として僕らに届く以前から水沢ダウンが実在したって結構面白いなと思って。いやそりゃそうなんですけど、気づいたら多くの人に浸透しているパワーってすごいなって思います。その秘密を知りたいなと。

小山:うちでは3年前ぐらいからやっていて、毎年毎年「今年はどうだ?」と思いながらやってたんですけどね。その時はまだこれほどの反応はなかったですけど…。

S:あぁたしかに僕もその時は存在を知らなかったですね。それでは2年前から反応が出だしたとか?

小山:そうですね。去年は特に反応が良かったです。

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「寒くない」にはテクノロジーが必要だった。


S:ダウンってデザインが唯一の差別化の要因で「如何に温かいか?」を競っていてそれほど差異を感じない方も多いと思うんですけど、その中でも水沢がなんでここまで広がったと思いますか?

小山:実用性だと思いますよ。

S:実用性。

小山:温かいのはもちろんですけど、うちのお客さんを見ていれば実用性も含めた効率性に惹かれてるような気がします。

S:効率性。

小山:ダウンそのものの暖かさはもちろんなんですけど、熱を吸収して温める機能があるんです。テクノロジーです。だから今の時代に合ってますよね。昔からあったものが現代にフィットしたような感じだと思います。

S:あぁ、なるほど。それは大枠としてのフィットですよね。なんでも効率化される時代ですからね。

小山:そうです。だって未だに羽毛を入れ込んで温めるアイテムって原始的じゃないですか。だから当然時代が変遷してフィットする人が多くなった。その意味で売れるべくして売れたアイテムだと思います。

S:その時代と比べたら今はITに限らず交通の利便性も発達してそれに乗ることがありますけど、電車の中で着てても問題ないですか?

小山:それも問題ないです。ベンチレーションで熱を逃がすこともできるので。室内入ったら「あつっ!」とか、室外出て「さむっ!」とか嫌じゃないですか?

S:めんどくさいです。

小山:だからそこらへんも理にかなってますよね。着てるだけで効率的っていう。

S:言い換えたらダウンをいつでも着ていられるってことですね。

小山:そして寒くないってことだと思います。寒くなければそれはもうゲーム終了というか、その季節はクリアしてるじゃないですか。

S:たしかに。それは画期的ですね。個人的な解釈ですが水沢は「如何に温かいか」の逆の「如何に寒くないか」を求めたわけですね。

小山:そうです。だからブランディングも当然違ったわけです。「温かい」には原始的な羽毛が必要だったけど、「寒くない」にはテクノロジーが必要だった。それまでとは違うダウンの価値を示してくれたおかげで分かりやすく人の目に映ったんだと思います。一言で言えば快適だと。

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「ダウンは濡れたら保温効果が下がる」を解決した。


S:デザインも過度な装飾がされてないのでコーディネートにおいても快適ですよね。

小山:ミニマルですよね。まさに機能美です。

S:デサントオルテラインのテーマは「Form Follows Function(デザインは機能性に従事する)」らしいです。要は一致ですよね。

小山:機能がデザインになってるのが個人的にもすごい好きですね。あるべき姿というか。

S:最近は大きな流れとしてもそうですよね。未だにその言葉の意味は的確だったのか、その言葉の意味はなんだったのかは曖昧ですけど、ノームコアっていう言葉もあったじゃないですか。THE・シンプル、みたいな。

小山:うーん、そうですね。まぁそもそもダウンって毎年買い換えるものじゃないですからね。デザインが効きすぎちゃってると来年着れるのかが心配になりますし。水沢が打ち出している機能面で言えば、防水性は最たるものです。ダウンは濡らしちゃいけないじゃないですか。というかそもそもダウンを扱う上で濡らしちゃいけないというのがどこまで浸透してるのか分からないですけど。

S:あー、たしかに。多分浸透してないと思いますよ。

小山:濡れたら保温効果が下がっちゃうんですよ。

S:わお。

小山:中学生とか高校生とかにダウンジャケットをもちろん着てましたけど、表地がナイロンだからむしろ雨の日に着るみたいな(笑)その感覚が残ってる人がまだ多いんじゃないですか。

S:あーそれだ(笑)その年ってナイロンを着ることが多いですかね。みんなそうなんじゃないですか。

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小山:だから水沢は水の侵入を防ぐためにシームレスにしてます。ダウンのパッキングを繋ぐための縫製がそもそも無いっていう。すごくないですか?無しにしてしまう技術の高さは随一だと思います。温かさが第一に重要視されるダウンにおいて、防水によって保温効果が落ちていかないってのは安心ですよ。

あのダウンが、ファッションとして今アツい。


S:「水分で保温効果が下がる」というそもそものダウンの特性を啓蒙すると同時にそれを解決してくれたという意味で、他のブランドとは別のアプローチで市場に食い込んできた水沢ですけど、あともう一つ僕が気になるのはファッションとしてってことです。水沢ダウンにおいてはそれほどモコモコ感がないですが、ダウンってやっぱり着膨れするっていうイメージがあるじゃないですか。それが記号化されちゃってるからファッションとして取り込むのは難しいなーと思うんですけど、どうですか?

小山:あー、どこまでいってもダウンはダウンだってことですよね。でも特に今年はトレンドというか、流れとして「ダウンありだよね」ってなってると思います。野暮ったいイメージをダウンに感じてはいるけどボリューム感があるものが気になっているから後押しされているっていう。

S:話を展開しておいて申し訳ないですが、実は僕もそうなんです(笑)今年は特にブランドからの展開も多いですよね。

小山:多いです。普段出してたっけ?っていうブランドも出してますからね。ダウンのボリューム感が時代に合ってきてるんだと思いますよ。

S:ビッグTも然りですね。でもそれも一つのトレンドとして考えると、来年は着ないんじゃないかと心配になりませんか?

小山:でもダウンは大丈夫だと思いますよ。それこそバブルの時代の肩パッドが飛び出たジャケットとか、あれはデザインじゃないですか。ダウンってもともとゆったりしてるものだからそれ自体がデザインというか。言ったらブーツが流行るみたいなものですよ。

S:あー。なるほど。

小山:新しいものが流行ってるわけじゃなくて、その流行る順番がやって来たっていう。だからゼロになることはないんじゃないですか?

S:ベンチにいる定番アイテムたちがトレンドというバッターボックスに引っ張り出されたみたいな(笑)

小山:だってコンバースだってそうじゃないですか。去年とかすごく流行りましたけど今履いてても問題ない。ダウンはいつ着てても問題ない定番のラインナップだけど、特に今アツいアイテムってことです。だから今が買い時っちゃ買い時ですよね。トレンドを押さえてる、且つ、持ってて損は無いアイテムだと思います。

S:トレンドって面白いですよね。着たことがない、あるいは敬遠してたアイテムを着させてくれるものですから。今年、ダウン、買いですね。

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ファッションとして着るには「ステルス」推し。

S:セプさんでは水沢ダウン以外にもダウンを取り扱っていますけど、水沢はどういった立ち位置で取り扱っていますか?

小山:うちは割とそれぞれの嗜好に合わせて幅広にやれていると思います。中でも水沢はニュートラルな位置にいると思いますよ。一概には言えないですけど、他には野暮ったくなくてスタイリッシュなものを求めてる人はデュベティカ、今年っぽいボリュームアウターを求めてる人はクレセントを、ですかね。水沢はまだあまり時間が経っていないので色が付いてないってことだと思います。

S:ニュートラルが今のところの水沢の特徴と言えるかもしれませんね。それでは今年っぽくあえて着るとすれば、取り扱われてる3型の中でどれが良さそうですか?

小山:個人的には、意外と短丈ですね。

S:え、そっちなんですか。

小山:定番のアンカーっていう型のフーデットもすごい好きなんですけど、ステルスは90’sの雰囲気を持っていて良くないですか?

S:うーん、僕はエレメントが好きです(笑)

小山:丈が長いのは温かくていいですけどね。自転車に乗るときとかもですし、ビジネスとしてもジャケットの裾が出ないのでマッチすると思います。丈が長いとエレガントというか、綺麗にまとまるイメージなので、あえて今年のダウンとすれば違うのかなと。

S:でも小山さん的にはステルス推しだと。

小山:そうですね。今って腰回りがゆったりしてるパンツがトレンド寄りになっているので短丈のほうが良い具合に強調できるんですよね。とことんファッショナブルにやるんならやっぱり短丈でいきたいなって思います。

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S:具体的にはどんな全身イメージを想像していますか?

小山:ワイドパンツにローゲージのニットを着て、です。今年だったら太めのコーデュロイでしょうけど。僕自身男っぽいものが好きなので(笑)あとはダウンのボリューム感に合わせてとことん足元はブーツとかやっちゃってもいいでしょうし。ブーツはサイドゴアで、みたいな感じがカッコイイと思いますよ。

S:ああ、そこサイドゴアなんですね。発想が豊かというか、幅広いですね。小山さんのSTYLERでの提案にはいつも納得されるんですよね(笑)さすがセプさん。参りました。ということで、着こなしも聞いたところでこれにて終了です。続きは店頭で小山さんに、ですかね。本日はありがとうございました。

小山:こちらこそありがとうございました。

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 SEPTISショップマネージャー小山さん


『SELECT STORE SEPTIS』に入って2年でショップマネージャーとなり、今年2016年に4年目突入。お店のフロントマンとして、接客を中心に携わる。趣味は飲み歩き。同店HPの三軒茶屋散策ブログでは、オススメの飲食店などを紹介。STYLERにおいては“ほしい”に寄り添った納得感を誘う秀逸なリプライを連投。今注目の商品情報や、定番アイテムを定番には収まらないスタイリングで提案しているInstgramも必見です。

SELECT STORE SEPTIS
東京都世田谷区三軒茶屋1-41-13
TEL.03-5481-8651 OPEN.13:00-21:00 (土曜・日曜・祝日.12:00-20:00 定休日.水曜日)

Text.Shunsuke Mizoguchi

Text&Edit : ライターS

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