あまり知られていない日本時計産業の歴史を振り返る - 19世紀の海外時計輸入からスマートウォッチまで

EDITOR'S 2015.05.18
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グランドセイコー - SEIKO


皆さん、日本時計ブランドがどのような道を歩んできたかをご存知でしょうか?

最近はAppleWatchが発売されたこともあり、生活に溶け込んでいた時計に再度スポットライトが当たっていますが、どのように私たちの生活に時計という機会が入ってきたのか知ることは少ないと思います。

そこで、今回は時計産業の歴史をザッと2000字ほどでまとめたいと思います。日本の時計産業の発展と今日の課題は他にも応用できるところがありますので、教養として日々ご利用ください。

1.海外時計の輸入の始まり(19世紀)


古くは江戸時代、日本にも和時計といった機械式時計がありましたが、それはあくまで工芸品であり、工業製品としての時計の登場は1862年、海外製時計の輸入から始まります。

この時期にはアメリカからの輸入が多く、アメリカでは19世紀末には既に工作機械の自己開発と作業の自動化による量産化の試みが行われていました(ちなみに、この時期の代表的なアメリカの時計ブランドであるWalthamは形を変えながらも現在も存在しています。)。

今日ではあって当たり前のように考えられている国産時計ブランドはまだ誕生もしていません。

2.時計の国産化の始まり(〜1940年代)


1892年、SEIKOの前身となる服部時計店(創業は1881年)が時計工場の精工舎を設立し、輸入代替として掛け時計の生産を始めたのが国産化の始まりでした。自動車や電化製品などの工業と同様に、輸入代替の形で日本の時計産業も誕生しました。

その後、懐中時計の生産も行うようになり、国産品愛用の風潮や軍需拡大(日清戦争、日露戦争など)の後押しも受けて、日本の時計産業は活性化していきました。

3.本格的な高精度時計の大量生産の始まり(1950〜1960年代)


二度の世界大戦に伴う軍需生産は高精度時計の大量生産を促進しました。第二次世界大戦後の精工舎は、敗戦〜1955年の間に大量生産の準備を進め、1956年に初の自社設計による互換性部品に基づく高精度大量生産が可能な“Marvel”を発売しました。

その後も中核部品(ぜんまい、受け石)の国産化を推進し、1961年以降は完全国産時計が生産されるようになります。日本の時計の品質の高さは有名ですが、この時期にその下地が作られたと考えられます。

4.クォーツ革命(1960〜1980年代)


1960年代中頃までは、日本の時計生産量は世界3位となっていましたが、スイスやアメリカと比べそれほど目立った存在ではありませんでした。

ところが、日本時計産業はクォーツ時計(従来の機械式ではなく電力によって動く時計、最初に販売したのは1969年のセイコー・アストロン)で急成長し、1977年には世界トップメーカー9社のうち3社が日本企業(1位セイコー、4位シチズン、8位オリエント)となるまでに大躍進しました。

日本製時計の台頭はクォーツショックと呼ばれる程に世界の時計産業に衝撃を与え、スイスやアメリカで多くの時計会社が倒産や買収、そうでなくてもクォーツ式への転換を迫られました。

この時期が日本の時計史における絶頂期と言うことが出来ます。

※クォーツ時計を最初に発売したのは「ハミルトン社」と表記していましたが、誤記であったため訂正致しました。

5.機械式時計の復権(1990〜2000年代)


クォーツ革命で一気に世界のトップに躍り出た日本の時計産業でしたが、1990年代に入ると徐々に抱えていた課題が大きくなります。
日本の時計は時間を確かめるための実用品として世界を席巻していたのですが、携帯電話の登場によって生活スタイルが変化し、「実用品としての時計」のニーズが失われていきました。

一方で、実用品としての価値を失った時計に残ったのは装飾品としての価値でした。この時期に、機械式時計の装飾品としての価値が見直されるようになり、スイスを中心とした高級時計が再び勢いを盛り返しました。いつの時代もマーケティングやブランディングは重要ですね。

6.スマートウォッチの登場(2010年代〜)


装飾品としての機械式時計が再び台頭して来た中、AppleWatchの発売を皮切りに、時計産業が新たな分岐点に来ていると考えられています。

スマートウォッチと高級時計の市場は別物との認識が強く、スイスの時計ブランドのCEOの多くもそのような発言をしていましたが、AppleWatchの時計としての完成度の高さもあってか、TAG HEUERやBreitlingなどの高級時計ブランドがスマートウォッチへの参入を表明しています。また、低価格の時計を扱うSWATCHも参入しています。

7.これからの時計産業


「実用品としての機械式時計→実用品のクォーツ時計→嗜好品としての機械式時計」と変化してきた時計産業ですが、スマートウォッチの登場によりどれほど変化が起きるのかはまだまだ未知数です。個人的にはこれチャンスに日本ブランドが元気になると嬉しいです!

今回は少し長くて固い記事となってはしまいましたが、日本人の教養としてこのような歴史があったことを知っておくことも良いのではと思います。

今後の時計業界の動きにも是非注目してみて下さい!

Text_STYLER編集部


 
Text&Edit : 編集長Y

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