「うちでしか買えないものを大事にしたい」大阪のWUNDERに聞く、今セレクトショップをオープンした理由とは?

INTERVIEW 2016.04.20
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大阪は梅田からほど近い、中崎町にお店を構える「WUNDER CONCEPT STORE #201 (ヴンダー コンセプトストア ニマルイチ)」。〈クリーン / ラフ〉〈ドレス / カジュアル〉〈ファッション / リアルクロージング〉をコンセプトに、独自のフィルターを通して、国やジャンルを問わず良質なモノを取り揃えるセレクトショップです。

2015年にオープンしたばかりの同店は、コンセプトに準じて一見相反するような事象の境目にあるものをセレクト。全国においても取り扱いの少ないブランドがあり、店主の熱量を感じずにはいられません。そのどれもが非常にセンスが良く、これからさらに注目されるショップの予感がします。今回はそんな同店の店主・佐藤さんに今この時代にセレクトショップをオープンした理由をディレクターHがインタビュー。果たして、佐藤さんが今セレクトショップをオープンさせた理由とは…?

「うちでしか買えないもの、うちが良いと思って提案するものを大事する」


─ 大阪だと梅田や心斎橋にセレクトショップがあるというイメージがありますが、中崎町にオープンしたことには理由があるんですか?

元々、中崎町のセレクトショップで5、6年働いていたんです。そこでバイイングなどをやっていて。ある時、色々なタイミングが重なって独立という話になって。中崎町では長く働いていたし、人の動きとかも分かっていたので、この場所に出店を決めました。

最近は梅田にファッションビルが乱立してるじゃないですか?ああいうのとは違うところで、うちがビルの二階にあるというのもですけど、目指してきてくれるようなお店にしたいというのはありますね。中崎町という町自体にもそういう性質はあると思います。

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─ 今はセレクトショップの概念も変わってきていて、大手ではセレクトよりもオリジナルの比率が上がっていたりします。WUNDERさんはどういった考えのセレクトショップを目指されているんでしょうか?

あらためて言われると、難しいですね(笑)。今のセレクトショップって、結局ブランドの取り合いになっちゃってる部分があると思っていて。こういうブランドをこう見せたいとか、こういうかっこいい物がある、とかの前に、売れるブランドの取り合いをしてる感じ。それってお店もお客さんも、セレクトしたり買い物する上で面白くないんじゃないかな。あのブランドがある店にはこのブランドもある、みたいなのなんとなく思い当たると思うんですよね。

なので、WUNDERではうちでしか買えないものとか、うちが良いと思って提案するもの、うちならではの組み合わせなんかは大事にしていきたいなと思っています。

─ 大阪でもバッティング云々みたいな話が多いんですね。

めちゃくちゃありますね。だから、最近は都市の中心部に店を作らずに、郊外にあえて出す店も多いです。ブランドを取れるからでしょうけど。お客さんも世間で売れているブランドを選べば安心で、正直服を見て買っていないような気がします。

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─ ブランドのタグだけを見て買っている感じですか?2000年頃だとまだショップ店員の地位が上だった気がしますが、最近は逆にお客さんの方の地位が上がっていますね。

お客さんに合わせるのはもちろんなんですけど、今は合わせすぎというか、情報の供給過多やなとは思いますね。みんな、せーのでウェブショップやめてもいいんちゃう?って思いますもん(笑)。まず自分のところの商圏の人と面と向かってやろうやってめっちゃ思います。

─ 日本のアパレルEC比率は7~8%ほどですが、地方の大きいセレクトショップだとEC比率が50%を超えていたりしているところもあると聞きます。それは良いブランドを取り扱って、都内の人が都内で売り切れているものを買うというのを狙っているそうです。

それはもう別の業態だなと思ってしまいますね。もちろんそういうスタイルのお店があってもいいと思うんですけど、うちの店がやろうとしていることとは違いますね。ただ、やっててお客さんの顔も見えないじゃないですか?僕、実家は鳥取なんですけど、それこそそんな地方にも個人のセレクトショップがあって、そこも断然ネットの売上が多いらしいんですよ。でも、売れるけど面白くないなって思う時はあるとは言ってますね。

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画像だけ見て良いと思って服を買えるなら、僕たちは展示会に行かない


─ WUNDERさんがそこまで来店ということにこだわる理由は何なんでしょうか?

服は見ないと分からないでしょというところ。それだけですね。だって、画像見て良いなと思って買えるなら、僕達は東京まで展示会行かないですもん(笑)。

─ そうですよね(笑)。私も前職でバイヤーをやっていた頃は休みを使ってブランド10〜20くらい周ってました。そこで服はもちろん、デザイナーの思いとか、生産背景を聞いて、発注して。それがないと服が分からないのはもちろん、つまらないんですよね。

情報だけが先行しすぎてる感がありますよね。でも、しょうがない部分もあるかな。僕も欲しいものあったら、やっぱりまずネットで探しますもん。探すだけ探して、出来るだけ実物見て買いますけどね。そういう意味では服も同じようにまずネットから、というのも理解しないとなとは思います。

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─ 逆に今来店されるのはどういったお客様が多いんですか?

それこそネットで服は買われへんわという人とか、あと単純にこういうテイストが好きとか色々ですけど、やっぱり一番は、うちが提案しているものを買いたいとか、もっと言うと僕から買いたいって思ってくれている人やろうなと思っています。そんなお客さん、大事にしなきゃダメでしょ。変なこと出来ませんよね。

お店とお客さんだって、結局は人と人だと思うんです。これだけ色々な物が溢れている時代だからこそ、あの人がいるからとか、あの人のところでとか。そういうの大切にしていきたいですよね。

はじめてご来店頂いたお客さんに、こいつ無理やり買わせようとしてる…みたいな警戒心たっぷりの目を向けられることも多いですから(笑)。僕としてはわざわざお店まで来てくれてるんだから親身になってあげたいのに、拒絶されてる感じ。結構傷つきますよ(笑)。

ちょっと話は変わりますが、僕は大阪出身ではないんです。それで大阪のファッション文化って結構特殊だと思っていて、大阪っぽいファッションってあるんですよね。

─ それはどういうファッション何ですか?

ベースはアメカジなんですよ。東京の人に比べて悪い意味でなく野暮ったい、全体的にシルエットが太いんです。東京の人はシュッとしてるけど、大阪の人は泥臭い部分も好きで、僕も大学でこっちに出てきて、そういう大阪のファッションは通ってるんです。でも、僕の根本はアメカジではないんですよね。

そんな中で、大阪の個人店を見ていくと、やっぱりベースがアメカジなとこが多いんですよね。特に僕らよりちょっと上、30後半から40代という人は絶対どっかアメカジやるんです。で、僕ら世代30前半とかはどんどんそれが抜けていってる世代、というかそれだけじゃない世代かな。そういうところで他の店と差別化されるって言われるし、東京っぽいですねって言われることすごく多いんですよね。良いのか悪いのか分からないですけど、そういう違いは良さとして出していきたいなと思います。

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─ 鳥取出身で東京ブランドも好きだけど、最終的に大阪での出店を選んだ理由というのは何なんでしょうか?

やっぱりずっと大阪にいたからですね。いざお店やろうっていう時に、東京も考えましたよ。でも、セレクトショップってその土地に根付くものだと思っていて、知らない土地でやるべきものじゃないと思っているんです。

─ 個人的にWUNDERさんの並びというか置いてあるブランドは好きで、編集部でもセレクト良いなというのが話題になります。バイイングのこだわりなどはあるんでしょうか?

基本的には時代に消費されないものというのを意識はしています。実は店にめちゃくちゃ若いブランドってそんなになくて。最近の服は軽いのが多くて、洋服感がないようなのが増えているように感じてて。服を着るというよりも、体に乗っけてる感じ。流行なのかな。それはそれで良いと思うんですけど、僕の店では洋服ですよって言えるものを着てもらいたいという思いでセレクトしてますね。

─ 佐藤さんが思う、洋服ってどういうものなんでしょうか?

いわゆるメンズのファッション、ジャケットとシャツみたいなところの話ですね。根本の意識の話ですけど。アメカジよりはトラッドベースでの考え方が強いとは思います。単純に、そっちのほうがかっこいいと思ってますね。

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─ 元々、佐藤さんがトラッドのルーツをお持ちなんですか?

中学のときはストリートな感じが流行ってて、STUSSYとか着てたんですよ。ダボダボで(笑)。服は好きで自分で良いと思うものを選んで着るっていうことは田舎に住みながらも中学生なりにやってたんですけど、何かのタイミングで15〜16くらいでめちゃくちゃ細いパンツを穿くタイミングがあったんですよ。めっちゃええやんと思って。ゆるくてダボダボだけじゃなくて、こういうものもあるんやと思って、本当に目覚めたのはそこからかもしれません。

今後セレクトショップはなくなって、自社ブランド化されていく?


─ アメカジベースではないということもあり、オープンしたときに思い浮かべたところと実際違うところなどあるんじゃないでしょうか?

最初は合わせにいかないといけないかなと思ってましたけど、蓋を開けてみたらそうじゃない方が売れてましたね。だから、そっちを伸ばす方が良いなと。逆に、置きに行ったら全然反応がないとかありますね。あと、中崎町やし最初若い子が多いかなと思ってたけど、思ったより20代後半からのお客さんがついてくれていますね。

─ お店は全て一人でやられているんですよね。ゼロベースで始められて、苦労された部分とか、ここはやってみないとわからなかったところとかありましたか?

僕ね、器用貧乏でやったら意外とある程度まではすぐにできちゃう方なんですよ(笑)。なので逆に苦労してる部分もあるんですけどね。だから、やる前はWUNDERっていうのは大枠のプロジェクト名で、お店以外のこともやろうと思ってたんです。だからお店の屋号に「コンセプトストア」とかつけてるんですけど、ただ、実際いざお店開いたらそれ以外のことに手も頭もまわらなくて(笑)。

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─ 他に何を考えられていたんですか?

例えば、自社ブランドを作るとか、卸売りをやるとか。それとも全く別業界に踏み込んで、例えば飲食店をやるとか。あとあれ、専門学校の講師。憧れですね(笑)。とにかく自分がやることやし、ショップだけにこだわる必要はないなとずっと思ってて。なんでもできるという頭は持っておこうと。

あと、個人的に知り合いのイベントとかでフードの出店とかしてたんですよ。料理好きやって、遊びですけど出店してて(笑)。

店の下に、コモンカフェって誰でも借りれるカフェがあるんです。オーナーさんがいて、店主が日替わりでお店をやるスペースなんですけど、カフェでもいいし、演劇やってる日もあるし。お店を始める前に、そこで僕も2回くらいパーティー的なことをやったらみんな来てくれて。少ないながらも収益になって、みんな満足して帰って嬉しいと、ウィンウィンやんと(笑)。そういうこともいろんな可能性があって良いなと思ったんですけど、全然手が回ってないですね。

─ 佐藤さんの考えもそうですが、セレクトショップの価値観って年々変わってきてるように思います。今後セレクトショップがこうなるんじゃないか、みたいな予想はありますか?

なくなったり?(笑)。というのは冗談ですけど、正直その危機感というか、需要と供給のバランスが崩れているのは間違いないですからね。
あと自社ブランド化はされていくと思います。個人の店でも生産し始める。オリジナルになっていくやろうなとは何となく。まあ、全部そうなってしまうときっとお店もお客さんも困るんでしょうけどね(笑)。

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─ お店はどういった形で知って来られる方が多いですか?

最初はInstagramが多かったけど、今はウェブも増えてきています。ただ、みんなせっかくお店まで来てくれたなら正直もっと服を見ていってほしいですね。試着しますか?と聞いたら、着たら欲しくなるんでとか言われて、何しにきてんねんみたいな(笑)。試着って本当に発見が多いから、買う買わない別にして是非してほしいんですけどね。

─ そういった方へのメッセージをお願いできますか?(笑)

もっといろんな経験をしてほしいなと思いますね。例えば、3万円の服があったとして、それが解せないならなぜそれが3万円するのかをスタッフに聞いたらいい。そして試着する。着てみて、三千円のシャツとの違いを自分の中で整理してほしいですね。ご飯とかも一緒で一回高いとこ行ってみて、幅を持ってほしいですね。そのあとで、選べばいいと思います。服は買わなくても試着ができるのが良いところですからね(笑)。

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─ 最後に今後WUNDERでやっていきたいことをお聞きしたいです。

それこそ、卸売もやりたいですし、ウィメンズもやりたいですし、何でもやりたいです(笑)あ、ぜひ専門学校の講師も(笑)。僕、お店をやってる人、って見られるのが嫌なんですよ。僕としては、まず最初にお店を始めただけですっていう感覚です。

だから、今は手が回ってないですが、いろいろとやっていきたいとは常に思っていますよ。まぁ、できるかは別ですけどね(笑)

WUNDER - ショッププロフィール


WUNDER(ヴンダー)
大阪府大阪市北区中崎西1-1-6 吉村ビル2F(Google Map
TEL.06 6131 9697 OPEN.12:00〜20:00(水曜定休日)

Photo, Interview.Director H, Edit.Yuya Iwasaki

Text&Edit : 編集長Y

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